第六話「after 50 years.」

時は流星のようにあっという間に流れる。

その先にあるのは希望なのだろうか。それとも、悲劇なのだろうか。

誰にもわからないことがこの世にはたくさんある。

例えばこんなこと。


「美月……今日はあの子の誕生日だ」

「ええ、そうね」

「あれ以来どうしてるのかな」

「きっと幸せに過ごしているはずよ。だって、私たちの子供だもの」

「ああ、もちろん心配とかはしていないんだけれども……ね?」

彼女は空を見上げる。夜空には、青く美しく輝く地球。そしてその大きな星を囲う輝く小さな小さな星たち。

「まあ、マコトが心配になる気持ちも分かるわ」

「あんなことを経験させちゃったもんなぁ。現代の日本ではあり得ないよ。」

「ふふっ。そうね……でも、マコトもちょっぴり楽しかったりしたでしょ?」

「う……うん。あれは、新鮮で心地よかった」

僕はそう言って、彼女を抱き寄せた。互いの体温を感じる。

「これからも……一緒にいてくれる?」

僕は彼女に問いかける。

「もちろん」


50年前。僕らは結婚し、新しい日々を経験した。

50年前。新しい生活が始まった。

50年前。希望を得た。

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