第四話「天の川と君。」

「ボクと...一緒に暮らしませんか!」


うわぁ...言っちゃったよ...。

再開初日でいきなりプロポーズしていること自体ヤバイのに...


「......」


 ほら、美月ちゃんも黙っちゃった...

 やっぱり、いきなり一緒に暮らそうって言われると困るのかなー...

 もしかしてこれは...結婚初日で離婚するパターンなのか!?そんなの嫌だよ神様!


「誠くん......」

「あっ、はいっ!」

 万が一、離婚を切り出されても体が耐えられるように僕は背筋をピンと伸ばして石のように固まる。


「夫婦なんだから、一緒に住んで当たり前なん...じゃない...?」

 彼女がややうつむいて恥ずかしそうに僕の質問に答えた。うわぁ、可愛い。

「ということは......一緒に暮らしてくれるという事...?」

「もちろん。だって、私達は夫婦だもの」

「迷惑かけてしまうかもしれないけど、どうぞ末永くよろしくおねがいします」

 彼女がやわらかい笑顔を見せながら丁寧にお辞儀をしたので、僕も反射的にお辞儀をしながら返事をする。

「こちらこそ、よろしくおねがいします」



                    ーーーーー



「一緒に暮らすにしても......この部屋には二人が住めるほどのものが無いな......」

 僕は部屋の中を見回す。ちなみに部屋の広さは十分にある。もしお客さんが来ても大丈夫なようにするために、念の為二人でも暮らせるような部屋を選んだのだ。


 この家は一部屋のように見えるが、間仕切りをガラガラっと引っ張ってくると二部屋に分離する仕組みになっていて、リビングとして使っている部屋には食卓と椅子が三脚あって、台所は端の方に。もう一つの個室のような部屋の中にはシングルベッドが一つとパソコンが置かれている仕事用のデスク。ちなみに、玄関からリビングへと続く廊下にはトイレとお風呂、洗面所もある。


 しかし、これほどしっかりした家でも欠点はある。それは女物の少なさだ。

 この家には今日まで女の子が来たことがない。つまり女の子が居るということを想定されていないのだ。

 風呂場にはもちろん男向けのメンソールシャンプー。歯ブラシはもちろん一本。そしてベッドは......シングルだ。


「そっかー」

 彼女が残念そうにしょぼんとする。

 僕は低知能な頭を全力で働かせる。

「うん。これが一番最適な方法だな......」

「ねえ美月ちゃん!」

「ん?」

「必要な物、今から一緒に買いに行こう!」

「い、今から!?大丈夫?仕事とかで疲れてるんじゃない?」

「ううん!全然大丈夫!君のためなら、僕は何でもやるさ!」

 そう言ったとたんに彼女が顔を赤くする。あれ?

「そ、そう......じゃあ、よろしくお願いします......!」



                    ーーーーーー


 

 僕は彼女と一緒に玄関から出る。

 そこには、さっきプロポーズしたときと全く変わらない美しい天の川が広がっていた。

「うわぁ、綺麗......!」

「ねー」

 本当に、綺麗だ。星一つ一つが命を持っているように光を出している。

 ふと横を見ると、天の川の光に照らされた美月ちゃんがいる。


 僕たちはきっと、これから何年もの時・を共に過ごすだろう。

 その時・の中には嬉しいこと、楽しいことがあって、もちろん辛いこともあると思う。

 でも、どんなことがあっても僕は君のそばにいて、君を支えたい。


 とりあえず、イオンモール行こっか。

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