エピローグ
桐生龍次
エピローグ
もういいや。
そう思った。心から。
だって、どうしようもないのだから。今更足掻いても惨めだろう?
まあ、強いて思うなら、もう一度家族とメシ食いたかった。
ダチ公と思いっきり遊びたかった。
豪華客船で世界一周なんてのもしたかったなぁ。
それか、こじんまりとした異国の田舎でひっそりと暮らすのもアリだったか。
…クッソ、「一片の悔いなし」なんて言えるわけ無ぇ。
後悔ばっかだよ、なにもかも。
まあ、でもいいだろう。
足掻いたって無駄だ。こんな状況じゃ。
のんきに辞世の句とか考える暇はないし、今できるとしたら、なんだろう。
刹那という長い時間をかけて考えた。
せめて、残らなくても遺言くらいは言いてぇし、終わる奴らの
なら、どうしようか。
やがて、結論は出た。
…振動が伝わる。「俺ら」の番はすぐだな。
…来世って、あんのかなぁ。
流石にないかなぁ。なんせ。
世界は終わるんだもの。
巨大な隕石が無機質に、無慈悲に、この
救いなんてない。だって、既に落ちたのだから。
ここが終わるのもすぐだ。それくらい分かる。
しっかしアレだな、本当に人が終わりを迎える時ってのは、時間がゆっくりに感じるんだな。
何もかもがスローモーションだ。
まあ、そんなスローモーションももうじき終わる。
そしたらまあ、死者の世界に呼ばれるか、全ての認識は闇に堕ちるかだ。
どちらにせよ、回避は出来ない。
んじゃ、最後に一言だけ言うか。
「さよなら」
一言言って、右を向けば終わりがすぐそこだった。
ああ、俺って逝くんだな。
嫌だな。死にたくなかったな。
まだまだ、やりたいことあったさ。
それはもう、山ほどあんのに。
せっかく俺だtt
エピローグ 桐生龍次 @Ryu-G-Carlos
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