第41話 建築依頼

マイナミ商会社屋建設が進むある日、いすみはエドガルドに呼び出され、護衛役の長谷部とともに、アルテ・ギルドの事務所に赴いた。


「この王都の印刷ギルドの幹部。アリエトから、建築依頼が来た。依頼内容は自邸の建築だが、君たちが現在、行っている工法で建ててほしいとのことだ。」


アルテ・ギルドの執務室で、対峙したいすみに、エドガルドが伝える。

この世界の建築に必要な最重要パーツ。ゲイアサプライアは、高価なため、この世界では普通の人々が自邸を建てるということは、あまり一般的ではなく、今回の依頼のような、ギルドの重要職についているものや、、一部の裕福な商人のような層の人々しか、個人的に建設の依頼をしてくることはない。


で。ということは、小規模ゲイアサプライヤを活用した方法ということですね。」


「そうだ。現在の自邸のゲイアサプライヤの効力が間もなく切れるため、が終わってしまいそうなのだ。」


「そこで、君たちの行っている、安価な小規模ゲイアサプライヤを用いた工法を聞いたので、今回はその工法で建て直したいうことだ。

あの工法であれば、安いゲイアサプライヤをこまめに交換するだけで、気に入った自邸を、長期間、維持できるから、今よりも長期的に住むことができるだろう。」


エドガルドやアウグストには、小規模出力のゲイアサプライヤを使用して、建物を建てることのコストパフォーマンスやメリットについて、ある時をカンセツ技の宴境に、彼らの諜報活動が、下火になったタイミングで、レクチャーを行っていた。


急にそんなことを始めた、いすみの意図を読み取ったエドガルドは、その内容を、今後、建築を行いそうな商人や、ギルド幹部に「営業」をかけていたので、その効果が出てきたようだ。


また、一般的に使われているゲイアサプライヤは、おおむね、<子供が生まれて、成人する>ぐらいのタイミングで、効力が切れてしまうようなので、今回、依頼してきた施主のような、悩みを持つ者も多い。

そのあたりも突いた、エドガルドの営業の成果だった。


「わかりました。ただ、私どもで請け負うのではなく、アルテ・ギルドで請け負うようにしてください。」


「なに?君たちの工法だし、君たち自身の商売になるのに、それでよいのか?」


請け負いをアルテ・ギルドでよい。といういすみの言葉に、エドガルドは驚く。

アルテ・ギルドに来た依頼ではあるが、施主はマイナミ商会の工法を指定してきた訳だし、徹底的な秘密主義をつらぬくイスミ達だから、この仕事は自分達が請け負う。と言うだろう。と思っていた。

請け負えば、これをきっかけにして、自分達のところに、直接、仕事が舞い込み、彼らは、財をなしていくだろうが、特に、無理に自分たちで請け負うことなく、マイナミ商会に設計・施工共に請け負わせ、アルテ・ギルドサイドでは、なにがしかのマージンを受け取る形態で、商売にしていくのも悪くないと考えていた。


「ええ、今回は、私たちはあくまでも、アルテ・ギルドから、建築仕事を請け負ったという形にしてください。かかる費用の見積もりはお出ししますので、のせる利益等に関しては、口出ししません。」


「それと、今回の建築に関しては、設計段階から、アルテ・ギルドの方に関わっていただいて結構です。」


今までの秘密主義から、うってかわったいすみのやり方に、エドガルドは戸惑う。


「いいのか?打ち合わせ段階から関わると言うことは、そちらのやり方についても、知れてしまうのだぞ?」


「ええ、構いませんよ、そもそも、私たちは、よね?」


同行してきた長谷部と目配せして、アルカイックスマイル怪しい微笑を端正な顔立ちに浮かべ、いすみはしらじらしく言う。

















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