7.さっちゃーん
ごくごく自然に目を覚ますと、
そんなことをしなくても、一方的な約束でも、守ってくれるだろうから――というのはただの楽観的な願望に過ぎないのだが、ちゃんといてくれるような気がしていた。
またそれとは別に、幸が心身ともに消耗しているだろうことは確実で、日が昇る頃には目覚める和希よりも先に、目を覚まして出て行く可能性は少ない、と踏んでもいた。
ちなみに、和希の部屋の向かいが幸に
「おっはよーございまーす」
コントのノリで勢いよく開けた
まだ眠っているのか、布団は盛り上がっている。
「…映画やなんかだと、こういうのは、既にも抜けの空でした、ってのが定例なんだよなあ…」
不吉なことを呟きながら、そっと、頭に当たる方の布団をめくる。
足があった。
無言で、しばし固まった後でそっと元に戻して、今度は逆の方を、慎重に持ち上げる。
頭があった。
凄い寝相だ。布団に大きな乱れは見られないのに、百八十度回転。枕を足元に置く習慣でもない限り、やはり寝相の問題だろう。
「さっちゃーん、朝ですよー」
「…ん」
「着替え出してあるから。洗面所は、出て右」
「…んん」
ちゃんと覚醒しているのかは怪しいが、とりあえず、差し当たっての要件だけ
とにかく、まだいることだけは確認できた。
軽やかに身を起こした和希は、ふと思いついて、再び幸の耳元にひざまづく。
「単独行動取ったら、どうなるか。ちゃんとわかってることを願うよ?」
睡眠学習並みの刷り込みだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます