6.手を貸してくれないか
「確認くらい、するべきだろう。接触する気があるのなら、家に戻ったときを狙うかもしれない。おっと、今すぐに戻る、というのは無しだ」
「
「キミの生活くらい、
「そうだとしても、すぐに行くべきだろう」
「
全ては、
そうして実のところ、推測ばかりで、今にもこの場に踏み入られることがないとは限らないのだが、休息が必要なのは判りきった事だ。
幸は、しかめっ
何、と、首を
「…怖くは、ないのか」
「怖くない、とは言えないね」
困惑する風の幸に、苦笑を返す。
「どの程度の危険なのかしらないけど、ボクは、死を願うほど
「違う。…俺を。恐れないのか」
「何? 恐れおののいて平伏した方が良かった?」
「茶化すな」
「はいはい」
肩をすくめ、唇の端に浮かんでいた笑みを消す。表情のない幸を、真っ直ぐに見つめた。
「声を上げないよう努力するとは言ったけど、もし、あの状態で顔でも
和希の口調は、一貫して落ち着いている。
「でも、ボクは『長良幸』を知っているからね。キミ自体を怖いとは思わない。そのことで、縁を切りたいとは思わない」
「何故――」
「さあ。そう訊かれても困る。
にこりと微笑み、そうして、和希は、当然のように手を伸ばした。幸は、それをぼんやりと眺めやった。
「部屋に案内したいんだけど、腰が抜けたらしいんだ。手を貸してくれないか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます