6.沈黙は承諾と取ろう
言われただけでは、到底信じなかっただろう。しかし
あれは確かに、和希や
幸は、素っ気無く、腕にはめた銀色を
飾りも何もない、アクセサリーショップに置いてあってもおかしくないような、シンプルすぎる幅広のそれ。
「これは、俺を抑えるためのものだ。昔はただの
「振り…」
「ああ。別物だから、振りだろう。あいつが無理を言って、これも研究の
わかるだろうと、言うような目が、和希を見下ろした。
わかるだろう、と。到底、ただの女子高生が関わることではないのだと。
和希は、一度だけ、呼吸を整えるために深呼吸をした。
雨の、土の匂いがする。ここは、現在まで育った、見慣れた自分の家だ。大丈夫と、胸のうちで呟く。この一言が、これらの全てを失う元となっても。
今のここは、和希の知る、確かな場所だ。
「質問に答えてもらいたいんだけど、いいかな」
「――?」
「沈黙は承諾と取ろう」
明らかに意外そうな幸の様子を無視して、真っ直ぐに視線を向ける。怖くない、わけではない。
「杉岡さんが殺されたと、さっきからキミは言っている。どんな状態で?」
「…俺を
「それで?」
「それで…?」
「近くに加害者がいたのなら、キミが杉岡さんを
「何が言いたい」
苛立たしげに睨み付けてくるが、その瞳は、ヒトのそれだ。教室で見かける、同級生。
さっきの姿は夢だと、思い込もうとすればできるだろう。
「杉岡さんは、彼らを抑えるだけの力があったわけだろう? それが何に起因していたのかは知らないけど、何か強みがあったのだとすれば、そう
「あいつが生きてると…? そんなはずがない……!」
「何故?」
返事はなく、幸が、必死に考えているのが判った。望みを持ちたいと願いつつも、それが外れてしまったら一層の絶望が襲うと、それを恐れているかのようだ。
希望は、時として恐怖を育てる。それでも、
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