第47話 レッドカード

「力亡き存在よ、その弱き身捧げ、我が利と為せ──犠牲の羊デコイ!」


囮の魔法を発動。

羊が召喚される。


ガシャーン、ガシャーン


足音を立てて駆ける。


「よし・・・あれで気を引いて、そのうちに」


みんなを振り返り、言う。


羊が早速接敵。

敵は・・・紋章獣。


ガアア


激しく噛み合い、転がる。


キシャアアア


もう一体の羊が死角から突進、致命傷を与える。


機能停止を確認し、次の獲物を探して駆け出す。


ぴょこぴょこ


「・・・なるほど、あれがリョータ様の主力なのですね。聞きしに勝る強さです。確かに万軍に値する」


エルフの一人が言う。

いや、あれデコイだから。

紋章獣如き相手に2体がかりの時点で駄目でしょ。


「リョータ、あの扉の奥が、第一晶室」


ラックルが指し示す。


「幾つ部屋が有るんだ?」


俺の問いに、


「2〜30だと思う」


ラックルが答える。

多いわ。


「・・・中央制御的なのはないの?」


「ないね」


ラックルが断言する。

く・・・


「あなた、法皇座の下に神央玉が有ります。そこに行けば私が他の紋様呪核宝晶にアクセス出来ますわ」


メメモムが言う。

おおっ。


「良し、その手で行こう」


エルフ使えない・・・

ふい、とエルフ達が視線を逸らす。

この人達此処で帰還させた方が良いのでは。


「何者だ!」


僧兵達が立ち塞がる。

レベルは・・・2000オーバー!


「彼奴等は・・・強い。此処は無理をせず引き返すべきです」


エルフの提言。


キアアアアアアア


イファナが超音波を発し、僧兵達が怯む。


ヒュンヒュン


目にも止まらない速さでムニスが飛び込み、昏倒させる。


「縛」


メメモムが光の縄で僧兵を縛り上げた。


エルフ使えない。


「よし、先を急ごう」


ラックルが誤魔化すかのように先を促す。

エルフ達返したい。


法皇の間。


「予感がします・・・中に何か潜んでいそうです。注意して下さい」


エルフが注意を促す。


「中には誰もいませんにゃ」


イファナの発言を受け、安心して扉を開ける。

囮に気を取られて出ていったんじゃね?


メメモムが法皇の座に歩み寄り、操作。

椅子が横に移動し、隠し通路が現れる。


「中には警護の機構も有りますわ、注意して下さい」


メメモムが注意を促す。


「よし・・・みんな、気をつけてくれ」


注意を促し、進む。


ガシャン


純白のパーツが組み合わさった、機構人形がぞろぞろやってくる。


神機兵

 レベル:3200

 強さ:極めて強い

 攻撃力:最強

 防御力:最強

 備考:無詠唱


「此処は我々が!」


エルフ達が前に出ようとする。


羊風は疾く去るエスケープ!」


羊達を呼び出し、


「退場」


ラジャラジャ


羊達が軽快な音を立てて、エルフの精鋭達を運んで行った。


「ああっ」


ラックルが叫ぶ。


「当然の判断じゃ。アレに向かおうとするとは」


ムニスが半眼で呻く。


とにかく・・・アレをどうにかしないと。


色欲増魔デウスブースト──第ニ席イファナ!」


そして・・・何とか足止めを・・・!


「来い・・・三毛羊もふるもの!」


純白の羊が出てくる。

あれ、強そうじゃない。


「マスター、御命令を」


碧色に輝く目でこちらを見て、指示を促す。

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