第36話 だが男だ
「リョータ、チャージは足りてるの?」
ラックルが美しい声で尋ねてくれる。
ラックルはエルフだ。
美しい金髪、女性らしい柔らかい身体、豊かな胸、ふんわりとした可愛らしい服・・・
だが男だ。
固有スキル、性別制限解除により、女性用衣服を違和感なく着こなせ・・・それだけでは無く、大きな胸、柔らかい身体・・・そういった女性の身体も装備できるらしい。
ただし、外せなくなっている可能性が有る。
最近は自分を女性だと言い始めたり、里のエルフ達も付き合って王女様と呼んだりしている。
男性と女性の定義に関して考えさせられる。
ラックルは俺と同じ地球、恐らく日本からの転生者なので、転生前は女性だった可能性もある。
鋭く蒼い目。
初めて会った時は少し冷たい印象があったが、今は美しさと頼もしさしか感じない。
ラックルは大切な親友だ。
「大丈夫、足りてるよ」
チャージとは、俺の固有スキル、
女性と性的行為をしたらチャージがストック。
それを消費して、魔法の威力を跳ね上げる事が出来る。
女性との相性、性的行為の程度、お互いの感情・・・そういった要素で効果が変動する。
ストック数は何故か3個から増えない。
「え、足りてるの?!最近してないよね?」
ラックルが驚いて尋ねる。
スキルの影響か、ラックルが相手でもチャージが貯まるようだ。
一応補足しておくと、キスやハグだ。
それでも、娼館で1晩楽しんだ時よりも強いチャージが貯まるから驚きだ。
「・・・まさか、ミトルス・・・?」
ラックルが顔を曇らせ尋ねる。
ミトルスはエルフのお姉さんで、鍛冶師だ。
奴隷だったのだが、俺が買い取って、解放した。
一度は逃げられたけど、今はハーレム要員第二席・・・いや、第三席に入ってくれると約束済。
「ミトルスは、最近は駄目だね・・・ミトルスとはできてないよ」
この前ラックルに漏らしたのが、王女様に伝わったのだろうか。
ミトルスに恨みがましい目で見られた。
王女様をハーレムに迎えるまではお預け。
軽い行為しかしていない。
「そもそも、ミトルスとは利害が一致しただけなんだけどね。奴隷時代の後遺症で、時々我慢出来なくなるらしい。薬とかも抜けきってないみたいで・・・遊びに行った時とかしか起きないので、かなり抑制は出来てるみたいだけど。俺の方は勿論、ご馳走様だし」
ラックルは溜息をつくと、
「・・・キミ、それ騙されてるからね?女性の言葉をあっさり信用しちゃ駄目だよ。ミトルスは労働奴隷だったし、性的な事はしていなかった筈・・・勿論、最初捕まった時には色々されたのだけど」
呆れた様に言った。
いや、ミトルスが嘘をつく理由はないし、そうでもなければおっさんとどうこうしようとはしないだろうから、君が知らないだけだと思うよ。
・・・ひょっとしてこれもプライベートな内容だったか。
俺の口が軽すぎるな。
また謝らないと。
今度何か宝石でもプレゼントするか。
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