第30話 恐れを知らぬ者

邪教徒が駆るのは、呪印機。

悪魔を力の源とし、紋章機にも抗しうる存在だ。


羊のうち一匹が駆け抜け、脚を破壊。

転んだところを別の羊が引き出し、他の羊が受け取って魔力縄で縛る。


金色の呪印機は少し強い。

数体で連携して壊し、中身を引き出す。


捕らえられた敵を見ると、人間と魔族が半々といったところか。

リザードマン等も一部混じっている。


猫人に迫っていた者、行為中の者も、捕まえてある。

被害者の猫人のケアも怠らない。

メーメー言ってるだけで、通じているか怪しいけど。


ラックルは、俺が後ろに背負っている。

押し付けたり、首筋にいたずらしたり、ノリノリのようだ。

・・・なんか王女様を思い出すんだよなあ。


ん?

あれは。


呪印獣(アールファ)

 レベル:1200

 強さ:相当強い

 防御:極めて高い

 攻撃:極めて高い

 備考:ウドゥカの謎を解かない者に特攻


呪印獣(シーガマ)

 レベル:1200

 強さ:相当強い

 防御:極めて高い

 攻撃:極めて高い

 備考:リリアの宝玉を掲げよ


なんかいる。


色欲増魔デウスブースト色欲増魔デウスブースト色欲増魔デウスブースト色欲増魔デウスブースト・・・


ゴウッ


一体は聖+炎で焼却。


ヴァリ


一体は、聖+雷で感電死。


30分程かけて、制圧が完了した。


「あまり強いのがいなくて助かったよ」


「キミがサクサク倒しちゃっただけで、本来は1つの国が陥とされても不思議じゃないくらいの過剰戦力だからね?」


ラックルが呆れた様な口調で言う。

前のエルフの村救った時の方が苦労したけどなあ。


羊がたっと駆け寄ってきて、メーメー鳴く。


ふんふん。


なるほど、分からん。


「何って言ってるの?」


ラックルが尋ねる。

いや、そう言われても、羊の言葉分かりません。

異世界言語理解も効果無いようだ。

・・・そもそも君達、実はメーメー言ってるだけじゃないだろうね?


ラックルから死角になる場所で、羊がカンペを掲げている。


『猫人の王女様が連れ去られた。4女』


なるほど。


「うん、猫人の王女様?が連れ去られたらしいね。4女らしい」


ラックルが目を見開く。


「何で・・・イファナが?!そうか・・・奴等の襲撃の目的は彼女・・・それでこれだけの軍勢を・・・!」


ラックルががっくり膝をつく。

実は婚約者とか?


「リョータ・・・お願いだ。彼女を助けて欲しい。イファナは親友なんだ!」


「構わないよ」


猫人の王女様も見てみたいし。

猫人、村人達も本当に綺麗だ。

是非お近付きになりたい。


「イファナさんは、ラックルの婚約者とか?」


「同性だよ?!親友だって」


むう。

とりあえず、フリーならハーレムもワンチャン・・・無理か。


とりあえず・・・襲撃者を処理して、向かおう。


--


「あかんで、姉ちゃん。奴等、誓約書ちゃんと読みよるねん。きっちり、すっきり書かないと、署名拒否して死を選びはるわ」


まあ、一族郎党消されかねないあんなもの、普通は署名しないよな。


「・・・面倒な人達だね。時間無いのに・・・」


普通だって。


「ほら、奴等悪魔とか信じてはりますやろ?その際契約とかするから、こういうの慎重なんですわ。どうとでも拡大解釈出来る表現があったら、一発アウトですわ」


今から契約させられるのが悪魔だし、完全に正しいんじゃね?


「悪魔なんてお伽話を信じて・・・可哀想な奴等だね。実際には、最後の文言はブラフなのに」


君、良く御大を前にして、『なんて』とか、『お伽話』とか言えたね。

おっちゃん、内心汗だくだくだよ。

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