第22話 心の準備

ヴァリ


雷の魔法で、駆動系を焼き切る。

機能停止した紋章機から盗賊を引き出し、拘束魔法で縛る。

他二人も同様だ。

1日は保つだろう。


「・・・やば、ストックが」


思わず呟くと、リーンが顔を上げ、


「リョータ・・・向こうの物陰で・・・チャージを・・・」


--


流石王女様、といった感じだ。

昨日あれだけ色々して貯めたチャージを、あっさり上回った。

というか貯まりすぎだ。

相性が良いのだろうか。


リーンは・・・真っ赤になって膨れている。


「ううう・・・キミは・・・どうしていきなり入れるかな!心の準備があるし、まずはちゃんと言ってから!」


「・・・無茶を言わないで欲しい。あの状況じゃ無理だ。王女様があまりにも可愛いから、止められなかったんだ」


「・・・可愛い・・・かな・・・?」


「勿論、凄く可愛かったよ」


「う・・・うん・・・」


ぽふ、と顔を埋めてくる。


「でも・・・!立て続けに3回も!」


確かに余韻とかそういうのには浸ってないけど・・・


「チャージが3回だから、仕方がない。でも、本当に凄く強いチャージが貯まったよ。有り難う。王女様との相性が凄く良いみたいだ」


「・・・あ、相性良いのかな・・・へへ」


ぽふぽふ、と顔をすりつけてくる。


舌を入れたとは言え、まさかキスで此処まで貯まるとは。

本当にリーンとの相性は良いようだ。

もしくは、リーンの魔力が凄まじいからとか・・・それもあるかも知れない。


「貴様、何処から来た!」


盗賊達がたくさんくる。

さっきの銀色の紋章機が6体に・・・金色の紋章機が1体。


「・・・そんな・・・!レジェンド級を動員しているなんて・・・!村が持ちこたえられない筈だ・・・」


リーンががっくりと膝を着く。


色欲増魔デウスブースト、発動。


フォンッ


光の円盤が無数に飛び、紋章機達を解体した。

断続的に使い、3回使い切る。


「えっ」


リーンが呻く。

えって言われても。

だから、キミとのチャージが強かったんだって。


出てきた盗賊達を拘束する。


・・・奥から、水色のキメラっぽい魔物が出てくる。


ガアアアア


咆吼をあげる。


「・・・そんな・・・まさか・・・紋章獣?!」


リーンが絶望の声をあげる。


紋章獣(リヴァーレア)

 レベル:1200

 強さ:絶望的

 防御:最強

 攻撃:最強


強そう。


「リーン」


リーンを抱き寄せ、唇を奪う。


「ん・・・!」


色欲増魔デウスブースト色欲増魔デウスブースト色欲増魔デウスブースト色欲増魔デウスブースト色欲増魔デウスブースト・・・


来たれ円卓の羊シープオブラウンズ!」


13匹の羊が飛び出る。

ある羊は紋章獣と戦い、ある羊は後ろで応援し、ある羊は他の盗賊を捕まえて縛り上げ、ある羊は囚われたエルフを助け出して声をかけてやり(めー、めーと)、ある羊は服を奪われたエルフの為に服を縫い、ある羊は出来上がった服にアイロンをかけ、ある羊は夕食の準備をする。

死闘の末、終に紋章獣は倒れた。


「・・・ぎりぎりの戦いだったな」


俺が安堵の呻きを漏らすと、


「・・・何だか、羊さん達、結構余裕が見えたんだけど・・・」


リーンが乱れた服を直しつつ、呻く。

や、俺が乱したんじゃないよ、リーンが自分で乱したんだよ。

羊さん達が頑張ったの、キミがそういう事するからだよ。

ちなみに、今はチャージが3つ貯まった状態だ。


リーンが解放されたエルフ達と話し、一段落。

後は・・・捕まえた盗賊達の処置。

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