第19話 王女様

「リョータ様、ようこそおいで下さいました・・・どうでしょうか?」


城から1人、少女が出て来た。

か・・・可愛い。


透き通る様な金髪、エルフ特有の長い耳。

目は宝石の様な蒼。

凛々しい目つきだが、可愛さを損なうどころか、むしろ増している。

胸はそれなりに有る、形も良い。

服は薄い緑のふんわりしたドレス。

凄く可愛い。

頭には花の王冠が乗っている。


・・・完璧過ぎる。

好みど真ん中だ。


「キミが王女様・・・確かに、美しい。至高の美しさだ」


思わず声を漏らす。


「ふみゅ?!」


王女様がびくっとして、腰が砕けた様に崩れる。

慌てて駆け寄り、抱き締めて支える。


「ふぁ・・・ご・・・ごめんなさい・・・」


顔を真っ赤にして、涙目で見上げてくる。

男性慣れしてない、とかなのだろうか。


「リョータに褒められ慣れてないから、びっくりしちゃって・・・」


そりゃ初対面だからね!

というか、さり気なく呼び捨てになってる。


「大丈夫・・・ですか?」


「う・・・うん、立てるよ」


よろよろ、と離れ、立ち上がる王女様。


「失礼しました。私はこの国の王女、リーンです。同胞を救って下さったリョータ様に御礼を述べさせて頂きたく、お招きしました」


「これは・・・恐縮です。貴方の美しい姿を見ただけでも、最高の褒美を頂きました」


適当な事を言って、好感度を上げておこう。


「ひゃう?!」


また倒れかけるリーン。

慌てて支える。


リーンが恨めしそうに上目遣いで、


「キミ・・・は!何でこんな時だけ、そういうずるい事言うかな!」


こんな時って・・・初対面なのだけど。

とりあえず、意外と手応えは有るのだろうか?

それとも手のひらで転がされているだけか。


「と言うか・・・キミは気付かないの?!」


何をだろう。

この美しさには当然気づいているのだけど。


「王女様、お言葉が・・・」


ミトルスが眉をひそめる。


「あ・・・失礼しました」


リーンが、恥ずかしそうに言うと、俺から離れ、体制を整えた。


--


城に入って、料理でおもてなし。

エルフでも、普通に肉類が出るようだ。

そういえば、ラックルも普通に肉食べてるよなあ。


豪華ではないが、素材の味を活かしつつ、丁寧に仕上げてあり、美味しい。


あまり身分差にも厳しくないようだ。

ミトルスも同じテーブルで食べている。


「なるほど・・・サラマンダーが・・・それであの量を集められたのですね」


食事の席で話をねだるのは、リーン・・・ではなく、ミトルス。

リーンも話を聞いて頷いたりしているので、興味がない訳ではないと思うのだけど。


「ああ。ラックルなんて恐怖のあまりおもらしを」


「してないよね?!」


何故か話を盛る度に、リーンからツッコミが入る。

キミ、ツッコミの才能有るね。


尚、固有スキルは伏せている。

何処で誰が聞いているか分からないしね。

ラックルも、誰にも話してないって言ってたし。


「でさ、鑑定したら800レベルとか出てさ。笑えるよね」


「だから、鑑定も誰にも言っちゃ駄目だってば!!」


リーンがテーブルに手をついて勢い良く立ち上がる。

だから基本セットはノーカンだってば。

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