第15話 何も言うまい

海賊船ダンジョンは、やはり沈没船だった。

骸骨、ゾンビ、ゴースト、魚、蛸・・・アンデッド+海産物だ。


聖属性の光でアンデッドを、雷の魔法で海産物を倒していく。


「ねえ、リョータ。さっきからアンデッドを撃ってる魔法何?光にしてはやけに効果大きいような」


聖属性だよ。

アンデッド特効有ると思ってやってみた。


「気をつけて、そこにギロチントラップが有る」


おっと、有難う。


「リョータ、何か反応返して欲しい・・・」


「ちゃんと心の中で返事してるぞ?」


「口に出して欲しいな」


「昨日行った娼館の女性も同じ事を言ってたなあ」


無言で色々試してたら、文句言われた。

どうしてもスキルとの関係を気にしてしまって。

まあ、確かに黙ってるのは良くないな、ちゃんと返事しよう・・・あれ。


「どうした、ラックル、目が泳いでるぞ?」


「キミが・・・!昼間から変な事言うからだろ!そういう意味で言ったんじゃないからね!変態!」


・・・凄い言われようだ。

娼館とか言ったからか。


「それよりラックル、また宝箱だぞ」


「うん」


ラックルが宝箱を解錠する。

中身は・・・


財宝

 価格:600万G


紅水晶銀

 量:5g


「紅水晶銀が5g、それ以外は纏めて60万Gくらいらしい」


「やっぱりなかなか集まらないね。これでもよく出てる方だと思うけど」


袋から赤い羊が顔を出し、紅水晶銀だけ選り分けて食べている。


「この下着は何?」


ラックルがブラジャーを持って尋ねる。


「・・・ラックルって、女性物の下着は平気で扱うんだな」


娼館の話とかするとすぐに顔を赤くしてるのに、そういうのは大丈夫なんだな。


ラックルは呆れたように言う。


「流石に、女性物の下着を恥ずかしがったりはしないよ」


どういう事?!

何故性別を限定した。

お前は男性用の下着なら恥ずかしがるのかよ。

無論、自分が身に着けた物なら恥ずかしいだろうけど。


「そ、そうか・・・まあ、鑑定するよ」


ブラジャーオブユニバース

 種別:ブラジャー

 サイズ:フリー

 丈夫さ:極めて丈夫

 着心地:極めて良い

 魔力強化:そこそこ

 備考:内部の空間を拡張し、

    外から見ると胸が小さくなる。

 価格:200万G


ゴミじゃないか。


「えっと・・・丈夫で着心地良くて、サイズが自由らしい。魔力がそこそこ上がる。価格は何故か200万もするらしい・・・ただ」


「ただ?」


ラックルが小首を傾げる。


「内部が空間制御してあり、胸が小さく見えるらしい。ゴミだね」


「素晴らしいじゃないか!」


ええ・・・


「大きく見せるなら分かるけど、小さく見せるのは需要がないだろう?」


「何を言ってるんだ。胸って邪魔なんだぞ。エルフでも、射手は片方の胸を切ったりする人もいるし。これは素晴らしい物だ」


ブラジャーを握り締めるラックル。

うん、絵面的に問題あるけど、いいや。


「どちらにせよ、紅水晶銀以外は、全部ラックルの取り分にしようと思う。そのブラジャーも貰ってくれ。効果が分からないアイテムが有れば鑑定するよ」


「む・・・そこまで貰う訳には。でも、この下着は欲しい」


気に入ったんだ。

実はラックルの部屋に行くと、大量の女性用下着が飾ってあったり・・・?

まあ、何も言うまい。

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