第11話 ラフィエル、君に決めた

ピカイチの魅力を放つ女性のもとに歩み寄る。

こう、運命的なものを感じた。

ハーレム第一号は君に決めた。


蒼い長髪、美しい耳、透き通る様な・・・しかし憂いに満ちた紅い目。

猿ぐつわを噛まされている為、声は聴けない。

隣にいるラックルに気付き、目を丸くする。

知り合いだろうか?


「・・・彼女は・・・ラフィエルは、エルフの貴族。確かに美人だけど・・・」


ラックルが悲しそうに言う。


「だけど?」


「値段を見て」


ひい、ふう、みい、よお・・・え。


「百億・・・?」


「うん。彼女一人買うだけで、他のエルフが100人買えるね」


なるほど・・・


「ラックル」


「うん?」


「お金が必要だ。お金を稼ごう」


「ちょ?!」


「予約とかって出来るのかな?」


「・・・それは出来ないかなあ・・・個人的に親しければ別だろうけど」


「良し・・・早く稼ごう!」


「・・・厳しいと思うけどね・・・」


ラックルは複雑な表情を浮かべた。


--


やはりお金儲けと言えばダンジョン。

もう前回の様な失敗はしない。

ラックルに先頭を任せる。


ガアッ


ダンジョンフロッグが牙を光らせて襲いかかる、が、


ゴウッ


用意しておいた火炎球で焼きガエルになる。


「・・・結局、何でキミの魔法、そんなに早くて強いの?どんな詠唱なの?」


「詠唱、とは?」


ラックルが変な顔をする。


「いや、手のひらに火を灯す、くらいの魔法なら全てイメージでできるけど。強い魔法なら、呪文で世界にはたらきかけつつ、外で魔法を組み立てるよね?」


「そんな方法知らないぞ。教わってないし」


ラックルが頭を振る。


「イメージ容量が凄く大きいのだろうか・・・固有スキルでどうにかしてるなら分かるけど」


シャアッ


ムカデが襲いかかる。


ジャギジャギ


光の槍がムカデを貫く。


「・・・多数の属性を使い分けているのも良く分からない・・・絶対絞った方が強いはずなのに」


「まあ、どれも強いから良いんじゃないか?」


「まあね」


ゴアッ


ガーゴイルが襲いかかる。


ゴッ


雷を纏った羊が、ガーゴイルを貫く。


「待って、今流れ作業で何倒したの。というか、何今の魔法、複数の属性感じたんだけど。というか何か未知の力を感じたというか羊に見えたんだけど」


「落ち着け。ガーゴイルと羊と雷だ」


「いや、意味が分からないというか、答えを聞きたかったんじゃないというか」


混乱した様子で支離滅裂な事を言う。

落ち着け。


「それより、また宝箱だぞ」


「あ、開けてくるね!」


ラックルが箱を開ける。


財宝

 価格:一千万G


「しめて一千万Gか、安いな」


「いや、普通に大金だからね?」


バックパックから羊を出し、財宝を仕舞う。

羊をバックパックに仕舞う。


「バックパックから羊が出てきたのが疑問だし、財宝食べたのも良く分からないし、そのバックパックは羊が入るには小さい・・・げほっ、はーはー、小さいし、何で羊か分からない」


「ツッコミが長過ぎて大変そうだから、息継ぎしながら落ち着いてしたら良いと思う」


「う、うん・・・」


ちょっと恥ずかしそうにラックルが言う。


*********************


2018/06/06

火炎級→火炎球

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る