第10話 奴隷市場

「どうどう・・・まあ、あれだ。とりあえずスキルで調べたから、価値や効果は大きく違わないと思う。どう分ける?」


ラックルは疲れた様子で、


「・・・そうだね、財宝は売ってお金に。武器は、キミが錫杖、僕が短剣を貰って良いかな?」


「うん、それで構わないよ」


錫杖は便利そうだから、売らずに使おう。


色欲増魔デウスブーストも減ったので、今日は帰還して解散する事にした。


--


「奴隷を見たい?」


困ったような顔で、ラックルが聞き返す。

此処は宿屋の自室。

ラックルも俺も、ベッドに腰掛けている。


「うん。お金が大分貯まったからさ、そろそろ誰か買えないかと思って」


「・・・そうだね、人族なら、そこそこ可愛い娘も買えると思う・・・くれぐれも、言い方に注意してね?」


「言い方って・・・素直に、何時でも何処でも、その身体を好きにさせろって伝えるだけだよな?勿論、宿屋とかではそれ以上に楽しませて貰うけど」


「うん、その時点で言葉遣い既におかしいよね。多分、キスとかハグとかで良いんだよね?」


「うむ。キスやハグで貯まるのは実験済みだ。貯める上限に達したら、効果の低いチャージから順に押し出されるらしい。一連の行為は纏めて1つのチャージと扱われるようだ。一晩かけて行為すれば効果はかなり・・・ん、どうした?」


何だか、ラックルが顔を赤くして、目が泳いでいる。


「いや、想像して・・・いや、何でも無いよ」


行為を想像して照れたのだろうか。

ヤサ男に見えて、実はウブなのかも知れない。

エルフの年齢と性的成長ってどうなっているんだろう。


「キスする、というのを分かりやすくするなら、熱く濡れたお前の唇を差し出せとか」


「もう素直にキスって表現した方が良いと思うな!」


「いや、そこまで直接的表現を使うと、相手が戸惑うと思うぞ?」


俺は気遣いが出来るおっさんだからな。


「絶対そのまま言った方が良いよ!伝わり辛い!」


うーむ。

イケメンのラックルが言うならそうなのかも知れないけど・・・でもこいつ意外と恋愛経験少なそうだしなあ。


「とりあえず、奴隷市場?に連れて行って欲しい」


「分かったよ。人族の市場は・・・」


ラックルがメモを見始める。


「いや、違う。エルフの市場だ」


ラックルが嫌な顔をする。


「キミ、良く僕にそれを頼むね・・・まあ、前に構わないと言ったしね。了解。連れて行くよ」


ラックルは溜息をつくと、立ち上がり、


「そうそう。市場では奴隷制度を否定したりする発言は絶対しない事。それと、主人が奴隷をどう扱っていようと、邪魔したり否定しない事」


「うむ、了解した」


俺自身、酷い事をする訳だしな。

ラックルは、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。


--


「これが奴隷市場・・・」


壮観だった。

流石エルフ。

男も女も、みんな美人だ。


「競りの形式と、値段が決まっている場合の2種類が有る。安い奴隷と、最高級の奴隷は、値段が決まっている場合が多い」


渋い顔で解説するラックル。

ふーむ。


「あ、この娘気に入った、この娘にする」


「ちょ」

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