第9話 基本セット

その後は、宝箱や罠はラックルの指示に従い、攻略。


大きな宝箱を見つけたけれど、ラックルが首を振る。


「引き返そう。あれは恐らく、ガーゴイル」


ラックルが告げる。

宝箱の両脇に、悪魔像が並んでいる。


ガーゴイル

 レベル:100

 強さ:強い

 備考:魔法抵抗


もう片方はただの像か。

いけるんじゃね?


近づくと、ガーゴイルが動き出す。

焦って、ラックルが叫ぶ。


「馬鹿!何で言う事聞かないの?!・・・キミだけでも逃げて!」


「何とかなるよ、あれくらいなら」


色欲増魔デウスブースト2回重ねがけ!


ギイイイイイイイイ


光の剣がガーゴイルを滅多刺しにする。

そのまま崩れていくガーゴイル。


「ほら」


得意気にラックルに言うと、


「な・・・な・・・何あの威力?!」


驚いている。


「さっき話した通り、色欲増魔デウスブーストの効果だな。2回重ねがけだけど」


「・・・強いね。物好きだけじゃなく、欲しがる国もいそうだ。ガーゴイルを魔法でゴリ押しとは・・・」


ラックルが頭を振る。


「とりあえず、宝箱を回収しよう」


ラックルが宝箱を開け、財宝や武具を取り出す。


財宝

 価値:高い

 価格:5千万G


ウルズの錫杖

 価値:高い

 強度:極めて硬い

 魔力強化:非常に強い

 価格:3億G


ユグドラの短剣

 価値:高い

 切れ味:非常に良い

 魔力強化:強い

 盗賊技能強化:強い

 価格:3億G


「財宝が全部で5千万G。杖がウルズの錫杖で、武器にもなり、魔力強化もする。価格は3億程。短剣がユグドラの短剣で、切れ味が良いのと、魔力強化、盗賊技能強化がある。価格は同じく3億」


「・・・凄いね、一瞬でそこまで分かるとは、よほど勉強・・・いやいや、待って、そんなレベルの詳しさじゃないよね?!」


何だか一人乗りツッコミしている。


「いや、ただの鑑定だよ。何変な事言ってるんだ?」


異世界物の常識だろうに。

見た事無いのだろうか。


「鑑定・・・?いや、そんなレベルじゃなくて・・・そう、何か固有スキルでも持ってるのかってレベルの詳しさなんだけど!」


とりあえず落ち着け。


「だから、固有スキルの鑑定だって。異世界物の常識だろ?」


「何そのスキル?!持ってる固有スキルって魔法ブーストだけじゃ無かったの?!異世界物の常識って何?!」


ラックルが叫ぶ。

勉強不足だなあ・・・


「・・・だから、鑑定と言語理解は異世界物の基本セットなんだってば。試しに、小説投稿サイトで異世界物を適当に読んでみ?10個読んだら、その内9個は出てくると思う。本当は空間収納とモテ、美少女ヒロインもセットなんだけど、その辺りはバグだろうね」


ラックルが再び叫ぶ。


「言語理解って何?!それも持ってるの?!小説投稿サイト、もう見れないよ?!多分10分の9は言い過ぎだと思う!小説と現実を一緒にしないで!空間収納って何!その顔も慣れたら意外と悪くないよ!『美』少女じゃなくて悪かったね!」


律儀に全部拾うから、会話のテンポが若干悪い。

確かに、今更勉強しろって言ってもきついか。

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