第7話 意識が遠く・・・

「こいつ、下層の魔物が上がって来ちゃったんだな。稀にあるんだ。それで初心者がやられちゃう」


ラックルはそう言うと、構えをとる。


ゴオオオオ!


火炎球を適当に飛ばして、両方燃やす。

素材剥いだりするには、燃やさない方が良いんだろうか。


「ちょ、キミ何したの?!」


ラックルがこっちに詰め寄ってくる。

やば、やっぱり燃やしちゃ駄目だった。


「ついそういう気分だったので燃やしました。倒す手段は何でも良かった。今は次は風にしようと反省してます」


「や、倒す手段は何でも良いけど、詠唱速度と威力がおかしいよね!」


詠唱?

俺がきょとんとしていると、何か納得したように言う。


「ああ、そうか、固有スキルか。了解。深くは聞かないよ。ただ、魔力にも限りがあるし、力の温存は考えてね」


別に固有スキルは使ってないし、魔力って限りが有るものなのかな?

ああ、ダンジョン内だと回復しないのかも知れない。

外と同じ感じで使うと駄目なのかな。


次に来たのは・・・リザードマン。


ヴァリ


電撃の魔法で黒焦げにする。


スケルトンは光の槍、ゾンビは火葬、炎の精霊は吹雪で。


「・・・詳細は聞かないけど、キミの固有スキル凄いね。凄まじい詠唱速度、高い威力、それに魔力効率も高いのかな?」


ラックルが呻く。


「属性特化勧めたけど、結局万遍なく使っているのか。それも固有スキルの効果かな」


ぶつぶつ続けるラックル。

まだ固有スキル使ってないですよ?


「固有スキルは基本一人一つだし、よほど多様性に富んだ・・・魔法向上とかそんなのだろうか」


汎用性有りそうで良いなあ、それ。

固有スキルが1つ・・・異世界基本セット、鑑定と異世界言語理解は別枠だな。

空間収納もつけてほしい。

バグだろうか。


「ラックル、あれが宝箱か?」


「うん、待っててね」


ラックルが宝箱に駆け寄り、調べ・・・開ける。

中から、金貨、宝石が出てくる。


「ハズレでもないけど、当たりでもないね」


財宝

 価値:そこそこ

 相場:300万G


「300万G、結構な収入だね」


俺が言うと、ラックルが関心したように言う。


「うん、それくらいだね。もう物の価値判断つくようになったんだ。凄いね」


鑑定しただけだけどね。


「とりあえず持っておいて、後で分配だね」


俺は宝箱の中身を、バックパックの布袋に入れ、バックパックに戻す。


「・・・今、布袋の大きさと、入れた量釣り合ってなかったような・・・」


ラックルが怪訝そうに言う。


「袋内部の空間がちょっと拡張してるからね」


全体を拡張するより、小袋を拡張しながら入れ、更にバックパックを拡張した方が、トータルではたくさん入る。


「・・・もうアーティファクトを手に入れたのか、凄いな」


ただの時空魔法だけどね。

あ、もう一つ宝箱。

今度は俺が。


ザシュッ


箱から飛び出た槍が、俺を貫く。

とっさに急所は外したが、意識が遠く・・・

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