第6話 ダンジョン

職業の話を聞いた。

ステータスへの職補正や、スキルの伸びやすさ、職業ギルドで魔法やスキルを教えて貰える・・・色々メリットがあるようだ。

むしろ職業に就いてない事を不思議がられた。

やっぱり魔法使いかなー。


ん、あれは。


「おーい、ラックル」


「おや、無事かい、リョータ」


ラックルが微笑みを向ける。


「あの時は有り難う。お陰様で、何とかなってるよ」


「それは良かった。そろそろゴブリン退治とかを受けてもいい頃合いかもね」


・・・ゴブリン?


「昨日はフォレストウルフを倒したけど?」


「何で?!」


え・・・?


「・・・刺激が欲しくて?」


「危険過ぎるよね!」


・・・いや、一応適正レベルっすよ?


「・・・まあ、無理はしないように、ね」


呆れたように言うラックル。


「それより、ある程度お金も貯まったし、食事でも招待しようか?」


借りは返しておかないとな。


「ん、確かに昼はまだだね。御願いしようかな」


宿屋の一階がお食事処。

ギルドお勧めだけあって、かなり美味しい。


「えっと・・・ワームル牛のフィレステーキと、エイドール産のワインと」


「ちょっと待って」


注文しようとした俺を、ラックルが止める。


「0が5個とか並んでるんだけど。値段良く見た?」


「見たよ?昨日乱獲したせいで、お金は余裕があってね」


娼館も利用できたし。


「・・・おかしいな・・・ちょっと見ない間に何かおかしな事になってる気がするよ」


チートスキルあるんだからこんなもんじゃね?

格上を3回まで倒せるからなあ。


料理とお酒は、ラックルにも喜んで貰えた。

普段からお金を節約してるので、贅沢はしたことがなかったらしい。

・・・多分、同胞を助ける為にお金貯めているんだろうなあ。


「成る程・・・もう53レベルかあ・・・かなり早いね。キミ、成長チートとか持ってるの?」


「いや、俺が持っているのは、回数制限のある魔法威力強化だけかな」


「それはそれで便利そうだけど、そこまでレベルアップ早くならない筈だけど」


考え込むラックル。


「そうだね、良ければダンジョンに行ってみる?アーティファクトを出せば、一攫千金を狙えたりするよ」


「ダンジョンか、行ってみたいね」


面白そうだ。


「気をつけてね、ソロでは行かないほうが良い。必ず盗賊職が必要かな」


盗賊かあ・・・


「僕の職業が盗賊系列なので、僕と一緒なら大丈夫だけどね」


便利だ。


--


ここがダンジョン・・・


「盗賊スキルかあ。俺は魔道士系極める予定だし、ちょくちょくラックルを誘わせて貰うよ」


「うん。こちらこそよろしくね。一人じゃどうしても火力不足でね。君が育ってくれれば有り難い」


「ダンジョンもそうだけど、分からない事ばかりだよ・・・」


常時鑑定状態。

やっぱり人に向けてやったら怒られるんだろうな。


敵が現れる。

スライム2匹、蟻が1匹。


グリーンスライム

 レベル:12

 強さ:弱い

 備考:毒


ジャイアントアント

 レベル:31

 強さ:弱い

 備考:酸のブレス


「グリーンスライムとジャイアントアントか。スライムが毒持ち、ジャイアントアントは酸のブレス。ジャイアントアントは30レベル超えてるね」


「詳しいね?!」


俺の独白に、ラックルがびっくりした声を上げる。

鑑定しただけだってば。

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