第3話 出世払い

「とりあえず、戦闘能力を身につけることだね。冒険者ギルドで仕事をこなすにせよ、自分の身を守るにせよ・・・」


ラックルがひょっと座ると、気楽な様子で尋ねてきた。


「リョータ、君のステータスは何か特徴が有った?あ、固有スキルの内容は言わなくて良いよ。魔法か物理か・・・の選択に関係があるなら、その点だけ言って欲しい」


「俺のステータスは、殆どCだね。魔法は、火水風地光闇、全部C。固有スキルは魔法に関係がある」


「成る程。珍しくは無いね。この世界、誰でも練習すればある程度何でも出来るようになるんだ。だから、属性の才能がないとどうこう、って事は無い。むしろ、もう少し偏らせる事をお勧めするよ」


「全属性使えた方が強いんじゃないのか?」


「そうでもない。適正、というのは、親密性、とでも言ったほうが良くて・・・全部Cと、誰かのFならCの方が強い・・・って訳でもない。ただ単に偏っているかどうか、を示す指標で、全体的にどうこう、はあまり気にする必要がない。特化して育てた方が楽に強くなれるから、その方がお勧めかな。例えば、僕は水がSで、火がCだ。反属性を上げると、もう片方は下がりやすい」


「下がってもCかあ・・・」


「水がAで、火がFの人の方が、多分水強いんじゃないかな。とりあえず早めにステータスを偏らせる事をお勧めするよ」


うーむ。


「・・・火って格好いいから火かなあ・・・」


「なら、火を中心に使って、水はあまり使わない事だね。また、暇な時に火をイメージしてみたり、火の側でのんびりしたり・・・そういうのでも属性値は上がる。本当に特化している人は、家の中が火のイメージでいっぱいだよ」


「・・・そこまで特化する気はないかなあ・・・」


全部使えたら格好良さそうなのに。


「後、回復がZなんだけどこれは?」


「それは当然だね。この世界、男女で出来る事が結構分かれていてね。男性は攻撃魔法、女性は回復魔法しか使えないんだ。補助魔法はどちらも使える」


成る程。


「とは言え、回復魔法カテゴリーに攻撃魔法があったり、攻撃魔法カテゴリーに回復魔法があったりするんだけどね。でもまあ、やっぱり男性は攻撃魔法、女性は回復魔法だね」


後は・・・


「魔法ってどうやって使うんだ?」


「頭の中で魔法をイメージするんだけど・・・最初は難しいかな」


ラックルが手の平に水の塊を浮かべる。


「体の中に魔力を流してあげるよ。それで魔力を意識すれば・・・後はそれを操作して・・・」


ラックルの手が、緑色に光り始める。

そして、俺の肩に触れ・・・光が流れ込む。


体の中を何かが流れていくのが分かる。

これが魔力か・・・それを・・・操作・・・


ゴウッ


手の先に、炎が生まれる。


「ん、そんな感じ」


ラックルが頷く。


「魔法も2種類あって・・・世界に定義をする構造物がある、文様魔法・・・そして、自分で1から組み立てる、自然魔法。今使ったのは自然魔法だね。文様魔法は、文様を覚えたり、契約したり、色々縛りがあるけど、手軽に高い威力が出せる。さっき言ってた隷属呪法も文様魔法だよ。・・・隷属呪法の構造体を壊してしまえば、奴隷制度は崩壊する筈なんだが・・・暴走したら怖いし、中央神殿の奥って噂だし、どうしようもないね」


自分が奴隷になったら困るけど、ハーレムの為には奴隷制度が必要だと思うんだよなあ。


「後は、冒険者ギルドにでも登録して、少しずつ強くなると良いよ。今回の授業料は出世払いでいいから、今度あった時にまだキミが無事なら、何か手伝ってよ」


ラックルがにっこりと笑う。


・・・あれも聞いておかないと。


「後さ」


「何?」


「娼館とかってあるのか?」


「商館?街にあるけど」


「いや、女の子を買う場所」


ラックルが蔑んだ目をする。


「・・・キミは何を言っているんだい」

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