第2話 危険な世界
「僕はラックル。見ての通りエルフ、そして、キミとは恐らく同郷だと思う。ここで見捨てるのは寝覚めが悪いからね、簡単な情報提供をしておくよ。キミの名は?」
「俺の名は、〈未設定〉だよ」
「うん、さっさと名前決めようか」
やっぱり自分でつけるのか。
そうだなあ。
「涼太、そのままで良いか」
「あ、漢字とか使えないから」
駄目出しされる。
「・・・じゃあ、リョータで」
ボウッ
ステータスの名前の欄が埋まる。
「OK、リョータ。この世界の説明をするね」
「よろしく」
「まず注意して欲しいのが・・・この世界には奴隷制度が有る。この世界に来た異世界人は、直ぐに死ぬか、金持ちが道楽で奴隷にするかのどちらかだ。異世界人は珍しい固有スキルを持っている事が多いからね。所有したがる道楽者は多い」
おやまあ。
「自分で身を護ったり、色々判断できるようになるまでは、異世界人であることも、固有スキルも隠した方が良い。出来ればずっと隠しておいた方が良いけどね」
「なるほど」
ラックルが、軽装の服を差し出す。
「その服装は目立つから、後でこれに着替えておいて」
色々助かるなあ。
早速。
「後でって言っただろ?!何で今着替えるのさ。せめて木陰行ってからとか!」
良いじゃん。
別に。
おっさんなんだし・・・はっ。
「俺ってひょっとして若くなって魅力的な外観に・・・?」
「ないない。転移者は見た目とか変わらないし、こっちの世界の美的感覚は、日本と一緒だよ」
・・・それって、俺のハーレム計画とって致命的なのでは・・・はっ、そこで奴隷か。
「ふむ・・・奴隷制度を利用すればハーレムも・・・」
「それは可能だろうね。ただ、奴隷にされた人だって感情が有るんだから、大事にしてあげてね。というか、何でハーレム?」
「異世界転移と言えばハーレムだろう?」
「うん、その歪んだ考えはすぐに破棄しようか?」
ええ・・・
「いやー、俺の固有スキル、ハーレムが必要みたいで」
「ん・・・なるほど。じゃあ、お金貯めないといけないね。まあ、人間族でスキル無し、低素質、普通の見た目なら、そこまで高くないよ」
「美人のエルフが良いなあ」
「うん、僕を目の前にして良く言えたね」
ラックルが半眼で言う。
「・・・とはいえ、実際、捕まって奴隷にされる同胞は多くてね。一度奴隷にされると、お金を積んで買い取るしかない。大事にしてくれるなら、止めはしないよ」
ラックルが困ったように言う。
「人狩りが行われているのか」
「うん。森から出たタイミングや・・・酷い時には村に襲撃があるね。無理に助け出しても、隷属呪法が暴走するし。エルフだけじゃないけどね」
「・・・異世界人も良く捕まると言ってたな」
「酷い奴になると、扱いは酷いし、自分が死んだら殉死する契約にするし。まあ、キミは良い扱いと、死亡時は解放の契約にしてくれると嬉しいよ」
「・・・実は結構危険な世界・・・?」
「うん。だからこうやって知識を授けているんじゃないか」
もっと平和な世界が良かったなあ・・・
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