第7話メインヒロイン?
俺は店員さんに持ってきてもらった水をアレンに渡した。
アレンはそれを一気に飲み干すと少し酔いが冷めたのか起き上がって背伸びをした。
「おい、アレンお前なんで女だって黙ってたんだ?」
俺は気になっていることをアレンに言った。
ずっと男だと思っていたアレンが女だと言うことを知り戸惑っていた。
「それはただ君が勘違いしただけだろ普通、僕は女に見えるだろ」
アレンは眠そうな表情で言ってきた。
そりゃあ顔見れば女って分かるけど兜で隠れていたしこいつのしゃべり方とか仕草だけを見ていると、どこからどう見ても男にしか見えない。
「兜で顔見えなかったんだよ普通に顔見れれば女って分かるよあと多分お前、受付のお姉さんにも男って思われてるぞ」
受付のお姉さんはずっとアレンの事を“くん”付けしていた。きっと俺と同じでアレンの事を男と思ったのだろう
「そんなに僕って男に見えるかい?」
「その僕って言うところが男に見えるんだよちゃんと私って言えよ」
俺はアレンを指差して指摘した。
「あとその鎧を着るのを止めてもうちょっと女らしい格好すれば大丈夫さ」
アレンが着ている鎧は結構ゴツい鎧で体のラインは全く分からないその鎧のせいで今も俺は女と話している感じがしなかった。
「分かったよ、明日店に行って召喚士用のローブとか着ればいいんだろ?」
「そう言うことだちゃんと可愛らしいスカートとか買えよそうすればお前は王道ヒロインになれるぜ!」
俺は親指を上にして言った。
俺はせっかく異世界に来たのだから異世界ハーレムとかを経験してみたいそのための第一歩はまずアレンを可愛らしい格好をした女の子にすることだ。
「ごめんよ、ちょっと何言ってるか分からないよでも僕はスカートとか履くきはないよ」
アレンはすごく嫌そうに眉をひそめて言った。
こんなに嫌な顔をされるとは思わなかったちょっと傷付いた。
「どうして、スカート履かないの?履いてくれよぉ」
俺はアレンに泣きついたがアレンはますます嫌な顔をしてきた。
だが俺はアレンのスカート姿を想像してみた。それはとても可愛らしいメインヒロインになったアレンの姿に鼻の下を伸ばしていた。
「僕のスカート姿でも妄想したか?そんなやつの前では絶対に履かないよ!」
そっぽを向いてアレンは立ち去ってしまった。
まさかこれで俺とアレンの関係は終わりとかないよな?そんなことになったら俺は今の言動を一生後悔することになりかねない
俺は急いでアレンを追いかけた。
すると後ろから酒臭い匂いがしたかと思ったら肩を誰かに捕まれた。振り返ると酔っぱらって顔を真っ赤にした長くて真っ白な髭を蓄えた老人が居た。
「おい!どうした兄ちゃんそんなに血相かいて女にでも逃げられたか?」
「まあ、そんなところだよ急いでいるんだ止めないでくれ」
なぜかこの老人は今俺が急いでいる理由をピタリと当ててきた。もしかしてこの人、偉い仙人かなんかか?と思っていたが別に今はどうだっていい早く追いかけないと見失っちまう!
「そうかそうかなら早く急げよでもな今の時間、街の外には行っちゃ行けねぇあそこにはアンデッドや噂の黒鎧のモンスターもいるからなぁ」
良いから早く行かせてくれよ分かったよ離してくれよ!俺に絡むんじゃねぇ俺は苦笑いを浮かべつつそうですかと返して老人の忠告をしばらく聞かされた後アレンを追いかけた。
チクショー!足止めされたよ!なんだよあのじいさん俺をボッチにするために送られた刺客かよ!なんだよ黒鎧のモンスターって!もしかしてこれゲームであるような伏線イベントか?俺そんなヤバめのモンスターと会いたくないぞと思いながらアレンが向かった方を走って追いかけた。
アレンが向かったと思われる道を追いかけてみたがアレンの姿はどこにもいない
「おいおい!どこ行ったんだよアレンのやつこっちじゃねぇのかクソー!どこだ!アレンッ!」
俺はアレンを探して叫んだ。
その叫びはただ夜の街に響いただけでなにも返っては来ないと思っていたら
「キャーーー!誰か助けてくれ!」
どこかで甲高い女性の悲鳴が聞こえてきた。
「もしかしてアレンか?あいつこんな悲鳴出せんのか?でもアレンじゃなくても助けに行かねぇと駄目だろ!」
無駄に正義感の強い俺はその悲鳴を黙って聞いてはいれず、その悲鳴がした方へと走っていった。
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