第4話 雪降夜(ススギコウヤ)

俺とアレンは教えてもらった通りに真っ直ぐギルドへと向かう


さっきまでアレンがキョロキョロして悩んでいたがどっちの道もギルドへは行けず結局反対方向だった。




「なあ、アレンちなみにギルドってなにすんの?」




「なんだ知らないのかギルドは職業を決めてもらったり、クエストを依頼されたりする場所だよ」




アレンは俺の隣を歩き足を大きく上げて歩いていた。


なにか機嫌が良さそうだやっと目的地に近付いた感じがするから機嫌が良くなるのも無理はないな




「つまり、ここのハロワーってところだな良いねぇ思った通りのところに行こうとしてるね」




「ハロワー?さっきから君の言ってることはよく分からないなまあ、そこで職業を決めてもらうわけだけど僕も初めて行くからなんの職業になるか楽しみだよね君は」




なるほどそこで職業を決めてもらうんだな自分で決める事が出来ないのは残念だが多分あっちにも考えがあってそうしてるんだろうつーかアレンも初めて行くんだなだからあんなに迷ってたのか




「今から職業を決めてもらうのになんでアレンは騎士の格好してんの?」




俺は少し疑問を抱きアレンに質問した。


その鎧姿のせいで俺は勝手に頼りになると思ってしまったのでなぜ装備しているのか気になった。




「僕みたいな人は騎士決定なのさ、だから決めてもらう前に装備を買っておいたのさ鎧も槍もここで買ったんだよ」




アレンは装備を見せびらかしながら自慢気に言った。


なんだか自信満々でムカつくな魔法使いにでも決められると面白いんだけどな




「ススギコウヤはなにになりたいんだ?」




「別にコウヤで良いよいや待てよ別にあだ名でも良いんだからユキでも良いかな?」




俺の名前は雪と書いてススギと呼ぶのだが初対面だとユキと呼ばれてしまうのでもうあだ名として小、中、高一貫でユキと呼ばれていた自分でもススギとかコウヤよりもユキと呼ばれる方がしっくりくる。




「ごめんね、どこまでが家名か分からなかったならクロって呼ぶことにするよ」




「いや、なんでだよ!百歩譲ってもそこはユキだからシロだろ!」




「髪が黒いからクロの方が覚えやすいんだよね」




「もう分かったよ勝手に呼んでくれ」




どうやらここでは元の世界の常識が通じないようだ普通ならコウヤかユキになるはずなのにどう血迷ったかクロになってしまったなんだか猫とかの名前のようだ。




「でっ?クロはなにになりたいんだ?」




「そうだなかっこよく剣とか使ってみたいし、魔法も使ってみたいから魔法剣士かな」




「ふーん、無理そうだけどやっぱり目標は高くないとね」




「それ褒めてるのか?それとも馬鹿にしてる?」




「どっちもかな」




アレンは笑顔で俺の質問に答えた。


今分かったことがあるこいつ結構性格が悪い気がする。


知らない間に敵を作ってしまう奴だと思う






そして、真っ直ぐ歩いているとようやくギルドらしき建物の前にたどり着いた。




「さて、お待たせしました。これから俺の異世界ライフの1ページが開かれるんだぜ」




「そうだね、僕の冒険者生活の幕開けにもなるなんだかワクワクするよ」




俺とアレンは木造の大きな建物を見上げた。


その建物はその辺の家なんかとは比べ物にならないくらい大きい100人は軽く入れる程に大きかった。




そして、俺とアレンは同時に大きな扉を開いて中に入った。


中は木の丸いテーブルがいくつもあり、それを囲むように座って酒やら食い物を食って豪快に笑う冒険者達が居た。




良いねぇこの感じ異世界してますって感じだ!


俺は思った通りのギルドでとても喜んでいた。




奥の方にカウンターが見え、そこには女の人が三人座っていた。


きっとあれが受付の人だな




「よし、アレンあっちに行くぞ」




俺は隣にいるアレンを見てカウンターを指差した。


だが隣にいるはずのアレンの姿はなかった。




「おい!アレンどこ行った!」




俺はアレンを探すため叫んだ。


全くあいつは世話が焼ける少し目を離しただけでいなくなってしまうなんてこれはもう才能だぞ




「なに騒いでいるんだクロ、僕はここにいるよ早く来いよ」




アレンはすでにカウンターで受付の人と話していて俺を手招きする。アノ野郎置いていきやがって!俺も連れていけよな!




俺はイライラしながらわざとドスドスと大きな足音をたてながらアレンの元に向かった。




「それでは今から職業診断テストを行いますのでこの紙に書いてある質問に答えて下さい」




金髪でロングな髪をした綺麗な受付のお姉さんは俺達に紙を渡してきた。職業診断テスト?なにそれなんだか本当にハロワーみたいだな俺はてっきり偉そうな神官のおっさんがお主はこの職業で生きていくがよいとか言ってくるのかと思っていた。




渡された紙にはいくつもの質問が書いてありその質問の内容はあなたは明るい性格ですか?とかあなたは前に行くのは好きですか?とかそんなはいかいいえで答えるような質問が100問くらいあったなんだか理想をぶち壊された感がすごいんだけど




そして、俺とアレンは質問に答え終えてお姉さんに渡した。


これで俺の職業が決まるのかドキドキするな俺は期待と不安で胸がいっぱいだったがアレンは堂々と腕を組んで仁王立ちで今か今かと待っていた。




「はい、結果が出ましたよ心の準備はいいですか?」




お姉さんはニヤニヤしながら俺達を見た。


いつもこうやって楽しみにしてるんだろうなこの人




「待ってましたさあ、早く言ってくれ!やっぱり騎士か?それとも戦士か?槍は買ってしまったがソードマスターとかの上級職でも良いぞ!」




アレンは兜を被っていても分かるほど目をキラキラさせながら


待っていた。




「それでは結果発表です!まずはアレンくんあなたは『召喚士』になりましたおめでとうございます!そして、ススギコウヤくんは『モンスタースキラー』になりましたおめでとうございます!」




アレンはもう終わりだみたいな顔をして固まっていた。


俺もモンスタースキラーとはなにかと困惑していたモンスターの部分は分かるのだがスキラーってなんだ?誰か説明してくれ!




「「なんだよ!!この職業はァァァァァァ!!」」




俺とアレンは一緒になって叫んだ。

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