第2話 白の絶望、五色の希望、世界の平和

「いってえっすわ」


「「「!?」」」」


「牛乳、どうしたんだい!? 怪我してみたいだけど、大丈夫か!!」


「Knackered?」


「あわれなり!?」


「あのさ、保健のお姉さんに診てもらったんすけどね、先生、風邪ひいてるらしくてさ」


「おやおや、医者の不養生を地でいくじゃないか。でも、おかしいねえ。先生なら風邪ぐらい、違う、あんたの傷くらい一瞬だろ?」


「それが調子悪いってお姉さん言ってるんすよ、レツさん。自分じゃうまく診れないから、念のためって病院の紹介状をくれたっす」


「「「?」」」」


「つーか、レツさん、どうしてまた、木刀、机の上に置いてるんすか?」


「それだよ、牛乳。あたしも木刀が重くて仕方ないんだよ」


「アイヤー」


「カル君、please, cheeky listen to pretty me. 迷子巨乳、独りで部室に来たのぉ」


「!!!!!!!」


「驚き過ぎだ、牛乳!! でも、ホントさあね。あたしも不思議なの」


「でねでね、カル君、私、私、未来のお嫁さんの私もぉ、モテなくなっちゃった……」


「百ザ様が!?」


「Aha. 別にいいんだけどぉ、カル君がいるしぃ。夢魔サキュバスの力もなくなってきちゃったしぃ」


「おやま」


「センパイ、吾もよかりけれ?」


「Okey-dokey」


「うふ♡ 実は私もさっき椅子で転んじゃいまして」


「林木がか?」


付喪神つくもがみから嫌われてしまいました」


「「「「……」」」」


「センセ? 古池ふるいけセンセ!? いらっしゃいますよね!?」


「先生ならまだ見えてないよ、牛乳」


「え?」


「……我 走 全 力。すみません。遅れました。どうにもこうにも、身体が動かなくて困っております。はあはあ。私も年をとったということでしょうか?」


「「「「!?」」」」


「ふうふう、少しお待ちください。……失礼しました。ふむ。家路いえじくん、ガンジーが見当たらない。そうおっしゃりたいのですね?」


「そす」


「「「!?」」」


「成程。で、キミの結論をお聞かせください」


「わきゃ。ぬー、むだむ団が壊滅した」


「「「!!」」」


「Exactly. お見事です。私たちの能力が消えた。つまりHiがなくなったのです。悪サインはこの世からいなくなりました」


「やったじゃないか!!」


「Chuffed brill」


「いとめでたし!」


「でも、俺ちゃんらも凡人に戻るってことっすね」


「「「!?」」」


「沒錯。私たちもようやく日常に戻れるということです。世界は平和になった。素晴らしいことですが、少し残念ですね」


「貴様ら、何を辛気臭い話をしている? 葬式でもあったか?」


「委員長さん、あんた、あんたは変わりないかい?」


暮内くれうち、貴様のような暗愚あんぐと一緒にするな。私は日々の鍛練を怠っておらぬ」


「で、でで、でも、何かおかしなこととか or something?」


「ない。愚弄ぐろうするか?」


「い、いや、でも、すさまじ」


「林木、貴様までも蒙昧もうまいを抜かすか?」


「ま、いいんじゃね? 考えたら敗けだよ。世界は平和になった。それでいいじゃん」


「黄色、腑抜ふぬけたことをいうと首を刎ねるぞ」


「君 勿 誅。戦隊ヒーローも解散するのです。今まで、学園の守護者であった貴女には感謝を捧げます」


「くだらん。興が冷めた。二度と顔を見せるな」


「「「「「!?」」」」」


「死ね。首を吊って死ね」


「「「「……」」」」


「っちいちちち、ちょっと待ち、雪!? ど、ど、どういう意味だ!?」


「……家路いえじくん、どうして追いかけてくるの? もう二度と話しかけてこないで。サヨナラ」


「雪……」


「おい、牛乳よ!!」


「……なんすか、レツさん?」


「Aさんが話があるってよ、急げ!!」


「ういっす。……ねえ、ガンジーバープー。どうして俺、こんなに切ないんですか? 世界が平和になったというのに、涙がとまらないです。なぜ、貴方は俺を、俺を、Ηλι ηλι λεμα σαβαχθανι?」

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