近未来短編

@wakame-1996

老舗

「テレビをご覧のみなさん、各業界の老舗を紹介する「老舗探報」のお時間です!本日のレポーターを担当します、カワセです!さて、今日はタケモトソリューションズにお邪魔しています。こんにちは、よろしくお願いします〜!」


「タケモトソリューションズ、第一開発部主任補佐のコウノと申します。よろしくお願いいたします。」


「タケモトさんはこれ初めて聞いたのですが、和暦?っていうんですか、平成14年?西暦でいうと2002年ですね、からずっと続けている老舗なんですね〜!早速ですがタケモトさんではどんな製品を作っていらっしゃるんですか?」


「はい、弊社では創業期からずっとお客様が必要とするプログラムを受注作成しております。今では少なくなってしまった手作業による、一行一行こだわったプログラミングが弊社の強みです。」


「え〜、手作業でプログラミングをされているんですか〜!」


「えぇ、やはり手作業でないと製品に味が出ないんですね。AIによるプログラムは確かに早く正確ですが、人の手が入ることによってより深みが出ます。」


「はぁ。そういうものなんですね。せっかくなので作業現場をみさせていただくことはできますか?」


「もちろんです。こちらが作業場になります。」


「うわぁ、すごいです、物理キーボードですね、初めて生でみました〜!この四角い文字が出ているものはなんですか?」


「これはディスプレイです。パソコンの画面を出力する機械ですね。」


「思念操作しないコンピュータは大変ですね〜!こちらはどんなプログラムなんですか?」


「はい、こちらは勤怠管理を行うプログラムになります。創業当時から継ぎ足し継ぎ足しで作っている秘伝のソースが用いられています。」


「ちょっとみてみましょうか...うわぁ、すごい行数、1ファイル100万行超えてますよ!?」


「秘伝なので。」


「はぁ。あ、もうそろそろお時間ですね、本日の老舗のタケモトソリューションズさんでした!それではまた次回!さようなら〜!」






「いやあ、取材に行かなくてもワンコーナー作ってくれるとはAIサマサマだなあ。実際に手でプログラムを書いている会社なんて今時あるわけないじゃないか。こんな適当な番組を作るだけでまた「日本は遅れてる!」とかいう反響がもらえて視聴率が取れるんだからたまんないね。」



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