ノーブルラビット:14日目
ズウウウン…!!!
ダンジョン内のどこか遠くで爆音が轟く。その音を聞き、部下の眷属達が固唾を飲む。仕方のないことだ。何故ならこのダンジョンにそのような轟音の原因になるようなトラップはない。或いはクロ様達、ネームドの眷属方でもこのような衝撃を伴う魔法は扱えないであろう。この音は、確実に冒険者達が使った魔法の余波なのだ。それが冒険者達との交戦経験のない私達の緊張を煽るには十分だ。
広さ約20m四方の部屋、そこに控える我々ダンジョンモンスターの防衛隊は指揮官となる私と山賊うさぎの頭どの、コンダクターバードの奏者どのの3匹に、部下にあたる兵隊イタチ達3匹、子分うさぎ5匹の眷属モンスターとテイムした野良モンスターのホーンラビット、穴掘りネズミ、鼻歌鳥それぞれ5匹ずつ、シノビリスが3匹という構成だ。この広さではこれが限界であろう。それに冒険者達が如何にして戦うかも不明瞭だ。故にネームドの方々はまずは戦線に出ずにマスターの護衛という形で、戦えない働きマウス達と共にコアルームに控えて頂いている。主戦力を温存しているため、ここでの我々の任務は敵の情報収集がメインだ。戦力差がある場合には撤退を許可されている。というよりも撤退するように言われてる。そうマスターは優しい方なのだ。我々眷属は倒されても最悪リスポーンできる。だがマスターはそれを良しとはしない。我々が傷つくことを嫌う。だからこそ、私達は悪戯に倒されてはならない。それはマスターを傷つけることになるのだから。それに…
「ちょっ、そーちゃん!自爆もいいけど、あんまりダンジョン壊さないでよねっ?!」
マスターの楽しげな声が聞こえる。彼女はダンジョンマスターの権能としてダンジョン内のものと意思疎通ができる。だからこうしてダンジョン内の冒険者とやりとりするのだ。冒険者、マスターの幼なじみとその連れとなる2人組、ソウどのとラッシュどの。彼らと交戦する際のマスターは無邪気に遊んでいるようだ。だがその実、そうではない。ー 私は知ってしまった。前回の戦いの折に。その瞳の奥に宿る激情を。それは内に秘めた強烈な思い。冒険者達に向いているようでそうではない感情。或いはーーー 自責の念とでもいうのだろうか。だがその想いは我々が土足で踏み入っていいものではないだろう。少なくとも今はまだその時ではない。私は静かに瞑目する。
それからどれだけの時間を緊張と、そしてひっそりと忍び寄る恐怖の中で過ごしただろうか。直感ではあるがそれは告げていた。今日こそ、その日であると。冒険者達と戦わねばならぬ時が近づいている。もうすぐそばまで迫っているのだ。そして部屋に駆け込んでくるシノビリス、斥候の報により緊張感は一気に高まる。ピンと部屋の空気が張り詰めるのを感じた。
「はぁ。おいおい、そんな固くなるな。怯えた山賊なんぞ、誰が怖がるか。まずは、へらへらニヤつきでもして余裕を見せつけてやんだよ」
落ち着いた頭どの声が張り詰めた部屋に静かに響く。一山を統べるとも言われる山賊頭領のモンスターだ、肝が座っていて、こういう時は頼りになる。それに比べ私はまだまだ未熟者だ。だからと言って自らを奮い立たせない理由にはならないだろう。
「さぁ、皆の者!案ずることはない!ここが我らの初陣だ!恐れることはない、輝かしい一歩を踏み出し、冒険者達を迎え討とうではないか!」
「「「おおおおぉぉぉ!!」」」
部屋に張り詰めた緊張を払拭するように雄叫びをあげ士気を高揚させる。そこに奏者どのが鼻歌鳥達の指揮を執って、バフスキル『戦歌高揚』を付与する。程なくして冒険者達を迎える眷属達は不安が一蹴され、高揚感と落ち着きがいい具合に共存した初陣にしては上出来な雰囲気だった。
それから程なくして来訪者達が現れる。冒険者達は経験値が違う。それが私が初めに抱いた率直な感想だった。警戒しつつも確かな歩みで彼らはやってきた。恐れがない。少なくとも我々のように初陣なんかでは決してないのだろう。だが怯んではいけない。
「よくぞここまで来られた、冒険者よ!だがこれより先は我ら騎士の誇りに懸けて一歩も進ませはしない!」
そう私が彼らに宣戦布告すると、当然のように彼らは抜刀し高らかに応じてくる。
「なら押し通るまでだ!こっちも引く気はねぇんでな!いくぞ、いざ尋常に…」
「「勝負!!」」
戦いの火蓋が切って落とされる。冒険者の一人、マスターの幼なじみであるソウどのが駆け出す。
「弓兵、牽制です!彼らを近づけさせてはいけません!」
野良モンスターを迎撃するようにまず弓で牽制をかけるが効果は薄い。ソウどのは剣で軽く矢を弾く。が、その間に騎兵隊を散開させ包囲を試みる。しかしラッシュどのが部屋の入口近くまで下がり背後をとらせないようにして、強力な風魔法を纏った矢で牽制をする。ならば分断をしたいところではあるがソウどのが踏み込み過ぎずといった立ち位置まで下がり、バランスをとってくる。無理に分断を試みれば、風の矢と炎魔法の格好の餌食となってしまうだろう。何より彼らの魔法は強力であった。ソウどのの炎魔法は一撃で土の防壁を貫き、ラッシュどの風の矢は疾く、騎兵隊がその矢を喰らってしまうのは時間の問題だろう。今はまだ奏者どのが指揮する空中遊撃隊の援護を受け持ち堪えてる感じだ。
「おいてめぇら!防壁は役に立たねぇ!塹壕を使え!騎兵隊ども!槍から弓に武器を変えろ!てめぇらも牽制でいい!踏み込み過ぎんな!」
頭どのの指示が飛ぶ。お互い特に被害はなく膠着状態、という訳でもない。こちらは状況を打破する手がなく、あちらは踏み込めばいくらでも魔法でこの状況を打破できるだろうし、そこまで大きな痛手を負うこともないだろう。やはりここは敵の魔法などのスキルを使わせ、戦力をある程度把握して早めの撤退か。隣で頭どのも小さく頷く。だがその視線は厳しいものだ。私はこの戦線はどれだけ保つか、いつ撤退をすればいいか。そんなことを考えてしまっていた。撤退くらいは出来るものだと…。
「おい、ラッシュ!上が邪魔だ!」
「おうよ!」
「…っ!おい、奏者ぁ!引けぇえ!!」
頭どのの怒声が飛ぶが、時既に遅し…。
「『ブラストショット』!!」
旋風を纏った矢は回避しようとする奏者どのを乱暴に吹き飛ばす。矢の直撃こそ免れたものの奏者どのは纏った風魔法の餌食となり、受け身もとれず壁に激しく叩きつけられ、力なく地に落ちていく。
「奏者どのぉ!!」
急いで落下地点に駆けつけ、ギリギリのところでなんとか奏者どのを抱きとめる。奏者どのは戦闘不能にこそ陥ってないものの相当のダメージを負い、戦力として数えられるものではないだろう。
「頭どの!」
「あぁ、分かってるよ、騎士さま。おぅ!てめぇら!撤退だ!空からの援護が望めねぇ以上、無理だ!弓兵ども!騎兵隊が撤退できるように牽制を忘れんなよ!」
牽制をしつつ、罠や待ち伏せも折り込みながらの撤退で、ネームドのクロ様達が迎撃の準備をするための時間を稼ぐ、元々用意していた作戦だ。が、敵も簡単にそれを許すほど甘くはない。
「ソウ!踏み込みすぎんなよ!」
「んなこと分かってる!『フレア』!!」
すかさずソウどのが攻勢しかけ、撤退で隙ができた兵隊イタチを炎魔法が襲う。
「おらぁ!!そんな簡単にやらせるかってんだよ!」
ガッ!
ドオン…!
兵隊イタチを狙った火球は進路が逸れて、壁に激しくぶつかり爆ぜる。寸でのところで頭どのが棍棒で弾いてみせたのだ。が、頭どのの棍棒も吹き飛ばされなんとかといった感じだろう。そう保つものでもない。このままでは撤退もままならない可能性が高い…
「おぅ、若造共。こっちにも意地ってもんがあんだ、舐めてもらっちゃこまる…!おい騎士さまよぉ、後は任せたぜ?」
「頭どの…?」
それだけ言い残した頭どのは一人、冒険者達に向けて駆け出す。言い知れぬ不安が頭をよぎる。
「頭どの!!何を…!!」
「あ?こっちには秘策ってもんが1つや2つくれーあんだよ!」
冒険者に突撃する頭どのの足元が淡く光ったかと思うとそれは地を這うように次々に広がっていく。魔法陣!予め、引かれた線をなぞるように巨大な魔法陣が部屋を覆う。その淡く広がる光が頭どのを連れて行くようで、その声が遠く遠くに聞こえた。
「おぅおぅ!覚悟しいゃ、てめぇらぁ!!」
「おい、ソウ!これは不味いぜ!!」
「退避だ、ラッシュ!!引け!」
一瞬遅れてハッと我に返る。ここは安全な隠れ家でもなんでもなく、危険と隣合わせの戦場なのだ。例え頭どのの切り札であっても、寧ろ切り札だからこそ巻き込まれればただじゃ済まない。
「皆さん急いで!!巻き込まれないように!!」
部下達への指示に焦りの色が浮かぶのが自分でもわかる。元々頭どのが何か仕掛けをしていたのは知っていたが、これは…、土魔法。それも緻密に構成された高度な魔法なんかではない。乱雑に組み上げられ、簡単に暴発するような初級の錬成土魔法。こんな乱暴な術式を起動させれば…!
「おらぁ!いくぜぇ!!」
ガカッ!!!
部屋が眩い光に包まれる。頭どのの姿はまるでその光に呑まれたみたいに消える。
「頭どのぉ!!!」
魔法陣が次々に起動し、暴走、滅茶苦茶に生み出された岩塊はダンジョン内の部屋のバランスを崩し、片っ端から崩落する。
ズズズウウウン!!!
堰を切ったように天井は落ち、崩落する。なだれくる岩の隙間から冒険者に向けて駆け、まだ次々にダンジョンを崩壊させていく頭どのの後ろ姿が微かに揺れて、チラリとだけ見える。私も後を追おうとするが行く手はすぐさま岩に阻まれる。何よりここにいては危険だ。
「くっ、下がれぇ!皆下がるのです!迎撃は無用、皆マスターの元まで退避なさい!!」
奏者どのに手を貸し、撤退の指揮を執るがなんとも歯がゆかった。覚悟が足りなかった。いつから頭どのはこうなることを予期し覚悟していたのだろうか。頭どのの戦況判断は正しい。きっと先程のまま撤退していれば逃げ場のない一本道が仇となり、彼らの魔法を避けらず、我々は壊滅、被害は計り知れないものになっただろう。だからといって、こんなことをすれば頭どのが犠牲になるのは必至だ。土煙が落ち着きつつあるダンジョンの先を見据える。まだ地鳴りのような轟音は聞こえるのだから、頭どのがダンジョンを崩しつつ戦っているのだろう。だがきっと、予め準備していた魔法陣を使い切れば戦う術はのこされてはいまい。
「そこの貴方!奏者どのを頼みます!貴方が指揮を執りマスターと合流してください!私は頭どのの援護に迎います!」
「えっ、隊長?…」
兵隊イタチが困惑するのを半ば無視するようにして、私はシノビリスを呼びつける。
「さぁ、行きなさい!マスター達と一刻も早く戦線を再構築するのです!後はマスターやクロ様の指示に従いなさい!さぁ!」
なんて形のない指示だろうか。だがたったそれだけの指示でまだ苛烈極まる戦場へと疾駆する。きっとこの行為をマスターは喜ばないだろう。だが一時の感情に任せ、頭どのの救援、或いは弔い合戦のために行くのではない。まだなのだ。まだ犠牲が足りない。頭どのだけでは時間が稼ぎきれないのだ。後を任すとはそういうことでもあるのだろう。仕方がなかったとはいえ頭どのがダンジョンを崩落させたことで、戦線の再構築は新たな場所で行わなければならない。その時間くらいはなんとか私で稼げよと、そう託されたのだ。だからきっと、頭どのの救援に間に合ったとしても無意味だ。そこから2人とも力尽きるまで戦い、時間を稼がねばならない。しかしそれでも焦燥が募るばかりだ。無意味でも間に合いたい。ただの勝手な願望。そしてそれも叶わなかったことを薄ら感じとる。一瞬強風が吹き抜けたかと思うと、近付きつつあった轟音が静かになっていったのだ。魔法陣を使い果たしたか、その前に頭どのが討ち取られたか。考えても仕方の無いことだ。静かに唇を噛み締める。
まだ煙の立ち込める荒れたダンジョン内を駆けると話し声が聞こえてきた。
「くっそー、あの山賊うさぎやりやがるぜ!またアレを使うとは思わなかったぜ」
「だな、そこらのネームドよりよっぽど手強い。」
ソウどのとラッシュどのの2人だ。2人はまだ潜伏を発動させることもなく油断を仕切っている。ここは先手必勝です…!
(シノビリスさん…!)
(ヒュッ!!)
「あぶねぇ!!」
キィィィン!!!
私の細剣とソウどのの片手剣が激しく火花を散らして交錯する。シノビリスの『縮地』に私の『風の加護』をのせた高速での一撃はギリギリのところで防がれてしまう。すぐさまシノビリスは離脱をしダンジョンの闇に紛れる。幸いなことに崩落したこのエリアではサニーモス達の活性は失われ薄暗く、影に紛れるのにはいい環境になっていた。
「ちっ、ソウ!『気配察知』で捉えれるかっ?!」
「無理だ!攻撃の気配がやっとってとこ、だっ!」
カキィィィン!
またも影からの速攻はソウどのに防がれる。流石に直線的な攻撃では無理ですか。ならば…
カラァン…ガララァ…
カラカラ、カラァン、ガラガラ、カンカン…カララァン…!
「おい、何してんだこれは!」
「ちっ!石を手当たりしだい投げたり風魔法を乱発してやがんだよ!これじゃ奴の気配だけに集中が出来ねぇ!」
そう、『気配察知』はあくまでマナ察知のスキル。辺りに魔法を乱発し周囲のマナを乱せば十分な撹乱になる。ギリギリのところでこちらの攻撃が防がれてしまっているのも、言い換えればあと少しこちらの攻撃が通るとも言える。
「ラッシュ、てめぇも自分で周囲に気を配れ!いつ来るかわかんねぇぞ!」
(甘い…、上です!!)
『風の加護』の補助をうけたジャンプで音もなく空中に躍り出る。そこは意識の外となる頭上。『気配察知』も乱され容易にカバーもできない領域…!
ヒュンッ、、、スバッ!!!
「ぐぁっ!くっ、!!」
ラッシュどのを頭上から急襲し、一刀両断する。そしてすかさず離脱を…!
「させるかってんだよ!!『フレイム』!!!」
ソウどのは離脱の隙を与えずに火炎の渦を撃ち込んできていた。そう、きっとソウどのは私を捉え切る前に、私の攻撃の気配を察知した瞬間に魔法を起動させ始めていたのだ。だがその魔法は闇雲に放たれずに、狙い通りのものを捉える。それは、ソウどのの足元。そこに放たれた火炎の渦はソウどのとラッシュどの諸共に、位置を把握し切れていない私とシノビリスを無理矢理焼き払う。以前ソウどのがスライム達に使った戦法と同じだ。自分達のダメージを省みない強引な範囲攻撃。しまったと思うがもう遅い。
「くっ…!」
シノビリスを庇うようにして吹き飛ばされる。すぐに体勢を建て直し、剣を構え周囲の確認。一緒に吹き飛ばされたシノビリスは起き上がれないようだが、戦闘不能に陥った訳ではなさそうで内心胸を撫で下ろす。だがしかし自力で離脱することも叶わなさそうだ。庇うようにして前に立ち、煙を振り払うようにして剣を構えたソウどのを見据える。
「はぁ、やるなノーブルラビット。お前、名前は?」
「私は名乗る名など無きただのノーブルラビットですよ」
「はっ、マジかよ…、あの山賊うさぎも名無しで、お前も名無しだってのか。どうなってやがるここのダンジョンは…!」
「でもまあなっ、これで最後だノーブルラビット!何か言い残して置くことはあるかっ!?」
土埃を払いながらラッシュどのが笑いながら問う。ふぅ、なんとも勘弁して欲しいものだ。渾身の一撃をいれたのにここまでの余裕を見せられては適わない。本当になんとか一矢報いたって程度なのだろう。
「そうですね、リスポーンできるので最後ではありませんが、出来るのなら彼、このシノビリスにはトドメを刺さないで頂けますか?彼は死んでしまえばリスポーンが出来ませんので。」
「オーケー。いいぜ!そのシノビリスにトドメは刺さねぇ。」
「どうも感謝致します。彼は私の勝手に付き合わせてしまいましたのでね。彼が無事にいられるのなら心置きなく戦えます!」
「ああ、来いよ!一騎打ちしてやる、勝負だノーブルラビット!!」
そう高らかに宣言するソウどのを見、そして思わず笑みを零してしまう。まさかシノビリスの命を見逃して貰い、しかも一騎打ちの場まで用意して頂けるとはなんとも有り難い。
「行きますよ、いざ…、」
「「勝負!!!」」
そうして駆け出す死地はやはりどうにも怖い。リスポーンできるとわかっていても迫りくるのは死なのだ。覚悟していなかった訳でも覚悟が鈍った訳ではない。覚悟と恐怖は別物で、襲いかかる刃がただ恐ろしかった。怖い、怖くない筈ないのだ。けれど、それでも引くことはできない。極限の緊張感の中、少しだけ剣筋が遅く見えた。刹那、時間が引き伸ばされた。そんな、感じであろうか…?
「『風走り』!!」
眼前にソウどのの片手剣が迫った絶妙のタイミングで高速の移動スキルを発動する。シノビリスの『縮地』には及ばないが、それでも風を纏ったステップは、ソウどのの剣を躱し懐に潜り込むには十分だ。
「『クイックスラスト』!!!」
ソウどのの太ももの辺りに鋭い突きを撃ち込む。
グサッ!!!
「ぐっ、くそ!!」
突きを受けたソウどのはそれでも怯むことなく素早く片手剣を薙ぎ反撃を試みる。瞬時に私もそれに反応し、なんとかイナして防ぐがそれでもバランスを崩されてしまう。なんとも踏み込み過ぎてしまったツケだろうか。
「はあぁぁ!!『フレア』!!!」
「く…!『加護』よ…!」
隙が出来たところに撃ち込まれる火球を風魔法で相殺するが、それでも自力が違う。威力を殺しきれなかった魔弾が直撃し、受け身もままならなず吹き飛ばされた。体勢は崩れ地に膝をついたまま顔を上げると、一息に距離を詰めてくるソウどのが映る。体勢を整えることもままならず剣を振るい、ソウどのを迎え打つ他なかった。激しく鍔迫り合う事などない。真正面からソウどのの攻撃を受け止めようとした私の細剣は真ん中から真っ二つに折れた。
私は…、切っ先が宙を舞うのをどこかぼんやりと眺めていた。ああ。ふと、私の意識はそこで途切れた。
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