第15話 最終回 五分の魂
さあ最後の戦いだ
富士五胡に足をつけながら
怪獣は熱光線を巨人に発射した。
巨人は腕をクロスさせ負けじと光線を打ち出す
空中でぶつかり合う光線、数秒後爆発を起こした
その爆炎を蹴散らすように怪獣の蹴りと巨人の肘鉄がぶつかる
その衝撃から空気は震え富士の樹海が揺れた
怪獣は飛び上がりしっぽ攻撃
巨人はその尻尾を取り投げ飛ばした
怪獣は光線をはいてその反動で空を飛び
振り返り飛び膝蹴りを巨人に食らわせた
よろめく巨人に追撃を加えようとする怪獣に
待ってましたのカウンターを加えた
メグミちゃんがチャンスで詰めを誤るわけはない
その確信が放ったカウンターは見事に怪獣にヒット
よろめきつつもカウンターを加えた巨人はそのまま倒れた
怪獣ももらったカウンターで倒れた
先に立ち上がったのは巨人だ
目の前の獲物に心を奪われつつ、
獲物と化した怪獣の狩人への足払いを躱す冷静さを持ち合わせる
冷徹な巨人は獲物の息の根を止めるために連打を続ける
連打を受け続け
もはや連打が終わる時を待つのみの獲物に
奥の手を出すスキを与えることはなかった
次第に動かなくなった獲物にさらなる連打を与え
最後の蹴りを加えた巨人はようやく
動きを止めた。
動きを止めた巨人の前に白い十字架が現れた
なんだあれは
ゴウダ大佐は叫んだ
あれが我々が知らない存在の一つか
やはり我々にメグミちゃんの力になることはできないようだな
何が起こっているのかわからんようでは正しい行動をとることはできない
ならばここは行動しないことが正解かもしれな・
それは違います
サキザキ・・・
我々は自分の得た情報の中から我々の信じた行動をとるべきなのです
たとえ間違っていたとしても・・・
そうでなければ死人と同じです。
・・・いや・・・そうだな
我々は信念に従い行動しよう
白・・・!
よくやった青年
これで試練はすべて終了した
試練?
そうだ君には詳細を教えていなかったがこれは我々から人類への試練だったのだ
今まで君が戦ってきた着ぐるみ怪獣はすべて我々が仮想で作った敵の姿だったのだ
順を追って説明しよう
今、宇宙は危機を迎えている
様々な怪獣が生まれ全宇宙で暴れ回っている
何よりその数は膨大で我々だけではとても手が回らん
そこで我々が管理している星々の中で有望な戦士を見出すことになった
それが君だ青年
君は選ばれた勇者だ
光り輝く石が天から降ってきた
それをやろう勇者よ
それさえあれば私の力がなくても巨人になれる。
希望の巨人よどうか宇宙を救ってくれ
巨人が石を受け取った瞬間
カッテナコトヌカスナ
白い十字架めがけてメグミちゃんの攻撃が放たれた
白い十字架はすんでのところでその攻撃をかわした
次の瞬間、怪獣の体は黒い鎖で縛られた
動けなくなった怪獣はそのまま倒れこんだ
驚いた
まだ動けたとはな
白い十字架はおびえながら声を上げた
黒!
ああ油断した
メグミちゃんさすがだわかっていても止められなかった
何を言っている貴様
人間一人コントロールできないのか
お前が思うほどメグミちゃんは甘くないぜ
メグミちゃん
お話ししてくれや
間髪入れずにメグミちゃんが言う
貴様らの話を信じる根拠がどこにある
宇宙の危機を救ってくれだと?
私たちを一方的に利用しようってのか
何が試練だ
対等ではないその物言いに腹が立つ
その感情に従っただけだ
それは私にとって命より大事な持ち物だ
誇りか
ゴウダ大佐は遠く離れた作戦本部で歯を食いしばってつぶやいた
貴様はわかっていないのだ
宇宙の平和を守る我々の尊き思想を
黒!そいつはもう用済みだもう殺してしまえ!
殺す?
させるものかよ
自衛隊の砲撃が二つの十字架に集中した
な、なんだ!?
自衛隊の決戦は今ここにあり
メグミちゃんを死なせるな!!
くっこいつらは立場というものがわかっているのか
全宇宙の運命をとして正義を執行している我々の邪魔をするとは
知らないのさ
む?
彼らは知らない、我々の知っている希望もそして絶望も
ならば黙ってみていればよいのだ
そこが傲慢なんだろ
知らないんだから知っていることから判断するしかない
彼らの判断は戦うことなんだろう
無知の知もないのかこやつらは
あるのだろう
自分が無知であることを自覚したからといって
何もしないことが正解かもわからない
だからこそ行動する
それが彼らの決断のようだ
度し難し!!
白い十字架は中心からビームを出して
自衛隊を一掃した
貴様ら何をしているのかわかっているのか
宇宙を危険にさらしているのだぞ
この一瞬一瞬にも我々の救いを待っているというのに
やかましい!!
白い十字架を巨人の鉄拳がぶっ飛ばした
せ、青年!?
人を傷つけるものに正義などない!
ば、馬鹿者め
メグミちゃんを放せ!黒いの!
はいはい
メグミちゃんから黒い鎖が取り除かれた
黒!
なんだ?メグミちゃん
すまないな
いいってことよ
見事だったぜあの奇襲は!
まあせいぜい頑張るんだな
頑張るのは私ではない
青年のほうだよ
ふふ
メグミちゃん大丈夫か?
ああ
ありがとう青年
でもなぜ殴ったんだ
何となく気に入らなかっただけだ
正直、もうよくわからなくなって
メグミちゃんの高笑いが鳴り響いた
大佐!
おお
サキザキ君
無事だったか
はい
奇跡的に死人も出ておりません
おい、白
なんだ黒
どうする
もういい我々の使命は達したんだ
この星には彼らがいれば大丈夫だろう
確かにそれでもいいんだけどよ
なんだ?
なんか気に食わなくねぇか?
なに?
俺ら悪者みてぇじゃん
・・・貴様
たまには昔に戻って遊んでいこうぜ
急ぎの用もないしさ
だから言っているだろう我々の助けをまつ人々が・・・
俺らもさたまには人間性ってやつ?
取り戻しておかねぇとさ
・・・
メグミちゃんがああなったのはお前のせいじゃないのか
お前が最初にメグミちゃんと会った時の印象が悪かったからだろ?
・・・しょうがない少し遊んでやるか
よっしゃ
十字架は合体し灰色の十字架となった
地球人類よ
われは善と悪一つになった完全存在である
君らの意思大いに受け取った
われらの怒りを買ったこと後悔するがいい
あくまでわれらと同等だと主張するのなら
われと戦え地球人を超えしものよ!!
灰色の十字架から灰色の巨大な人型が現れた
なんだまだやる気か
上等だ
巨人は木刀を持ち
メグミちゃんはオレンジ色の猫へと着替えた
しかし戦おうとするメグミちゃんを遮り
ここは俺たちに任せろと巨人は言った
どんな苦難でもかかってこい
そのすべてを超えた男になってやる
フルフェイスの両方からたけだけしい角をはやして
巨人は行く
その背中を満足げに見送った
髪がボサボサですよ
駆け寄ってきたサキザキに2つの髪結いを貰いツインテールにして貰った
いつの間にか元のサイズに戻っていたメグミちゃんは丸くなって眠ってしまっていた。
めでたし、めでたし
着ぐるみ怪獣メグミちゃん @dantuzidou
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