第5話 プライド

早朝メグミちゃんは朝日を浴びながら立ち上がった。

砂ぼこりをあげながら今は無き安木荘の残骸の上でゆっくりと立ち上がるその巨体は全身毛に覆われてもっさりしていた。

オレンジ色のショートカットのネコ

ヒゲは白く六本、ネコの口から顔が出せるようになっている。


いつものように、スカート着用を叫ぶ男を踏み潰し、意地悪な婆の家を踏み潰した。


その時、遠く後ろで強烈な光が放たれたので飛びつけてそれを何度も踏み潰した。

59回ほど踏み潰したら光らなくなったのでその日はそのまま巨大化は終えてメグミちゃんは会社に向かった。


会社には自衛隊の人が来ていて上司にそっちの対応が先でいいといわれたので応対した。

女性と男性で来ており軽い世間話から話は始まった。

暑いですね

そうですね

女性の1人暮らしは色々と大変でしょう

そうなんですよ

・・・


あの行為は即刻やめて頂きたい。


少し会話した後に本題に入った。


何故?


メグミちゃんの問いにジッとメグミちゃんの目を見た大佐はメグミちゃんが少し頬を赤らめている間に一呼吸入れて答える


我々の誇りの為にです。


誇り、


そう、この国の安全を守る事こそが我々公僕の誇りです。

たとえ平和ボケな国と外から言われようがボケさせる程の平和を保つ!

今までもこれからも!それが我々の誇り。

そして貴方が今朝と先日行った行為は我々の誇りを傷つけたのです。

我々の誇りを取り戻す為に巨大化し、市民や市民の財産を傷付ける事はやめて頂きたい。


決して激さず、しかし凄みを持たせて淡々と、ハッキリと言い切った。


黙って大佐の顔をぽーっと見つめるメグミちゃんの顔はもう真っ赤っかだった。


失礼ですが、、、

失礼ですが、独身でいらっしゃいますか?


メグミちゃんは大佐に聞いた。

調子が変わり、辿々しいその口調に少し気を抜いて大佐が答える。


妻と2人の子供がいます。


ですよね


正直家族の為にもこのような行為はやめて頂きたい。それも大きな理由です。


わかりやすい人だな


少し沈黙を保った後、丸まった背中を真っ直ぐにしてからメグミちゃんは言った。


やめるわけには行きません。


何故ですか?


その理由を話す事は出来ません。


何故話せないのですか?


それはこうして貴方方が私と話しているからです。


どういう意味ですか!?


その意味がわからないなら話になりません。


やってきた自衛隊二人の首には黒の触手が巻きつき今にも締め殺さんとしていた。


お引き取りを願います。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る