第25話 疑惑の記憶
「はぁ! せぁ!」
「くっ……!」
数時間後、授業の一環である剣術訓練の時間。
全身にのしかかってくるような重い一太刀を、一つ一つを必死に流す。
対戦相手は僕のもう一人の親友にして、ホノカの同級生のレイタ。頼れる僕の兄貴的存在だ。
何かを指導したり、叱ったりするときはとっても厳しい。けど、面倒見が良くて、困ったときは助けてくれる優しい側面も持つ。
「どうしたネルス!? その程度か!!?」
声を荒げながら、レイタは激しく竹刀を次々と振り下ろす。
連続して振り下ろされる竹刀を、僕は必死に一つ一つ竹刀で弾いていく。弾くたびにカンッ!っていう甲高い音が、道場内に響き渡る。
村の学校で週に一度開催される、剣術訓練。
ルールは単純で、とにかく相手に一太刀入れた方が勝者。盾とかそういった身を守る装備、要は、利き手ではない手を使って身を守る持ち物は特にない。
あるのは竹刀だけ。
まあ強いて言うなら、それ相応の防具一式は身に付けてはいる。けど、相手の一太刀を防ぐのは身をかわすか、竹刀で弾くしかない。はたから見れば、身をかわすのが一番手っ取り早いのかもしれないけど……。
「おらおらおら! どうしたどうしたネルス! その程度か!? 防戦一方か!?」
「……っ!」
レイタが振り下ろす竹刀の一撃一撃が重く、弾くたびに態勢を崩される。
そこから立ちなおして、避けようとすると、その瞬間を一瞬にして狙われる。弾くことを繰り返してしまっている分、レイタの猛攻が続く限り、なかなか一振り一振りをかわす余裕は生まれない。
いや、その隙を与えていないといった方がいいのかな。
「ぐっ……くっ……」
レイタの猛攻に、僕は必死に食らいつく。一撃一撃を自分の竹刀で何度も何度も必死に弾いていく。
「おらぁ!」
「うわっ……!?」
レイタは下から上へと竹刀を振り上げる。それをかわすことなく、弾きにいった僕は身体を後ろへと仰け反ってしまった。
けど、まだ僕は竹刀を離さずにいる。
竹刀さえあればまだレイタの猛攻に食らいつくチャンスはあ……。
「………」
けど、その時に僕の視界にとあるものが目に入ってしまった。
それは天井に深く染み付いた焦げ目。紫色の焦げ目。
それは、幼少期のトラウマ。僕が引き起こしてしまったあの事故の傷跡。
コントロールのきかなくなった僕の魔法が一気に複数放たれて、一つはホノカのお父さんを直撃。そして残りは天井へと当たった。
天井に染み付いた複数の紫色の焦げ目は、僕の無力さを物語る数少ない証拠だ。
「………」
あっけにとられた僕は、態勢を立て直すことを忘れていた。
「はぁっ!」
レイタの竹刀の一突きが、僕の頭上を突き進み、僕の竹刀に直撃。
遂に、僕は持っている竹刀から、大きく手を外してしまう。
そしてその瞬間……。
「隙アリだ!」
「ぐっ……はっ……」
レイタは竹刀を左から右へと大きく振り、僕の胴体……正確には横腹付近に一太刀を入れる。竹刀をはじく音とは異なる、キィーーンッという甲高い音が僕の横腹から響き渡る。
それは、僕の敗北を意味していた。
「勝者! レイタ!」
試合を取り仕切っていた先生の口からそんなセリフが発せられた。
それは、僕の敗北を意味していた。
「はぁ……。僕の負け……か」
正直、レイタの剣技をはじくのに精一杯だった。というか、弾く事ですら、あと3回、いや、2回出来たのかどうかも怪しいところ。
この村で最強の剣術使いレイタ。その技は計り知れない。
その称号の凄さを改めて思い知らされる。
やはり僕の実力不足を感じる。
いや……それ以前に……。
「はぁ……」
倒れこんで再び視界に入るソレをみて、僕は思わずため息をつく。
ホノカには気にするなといわれたけど、やっぱりそうはいかないみたいだ。
「ネルス」
試合を見ていた皆の歓声が飛び交う中で、レイタは倒れこんだ僕の目の前に立ちはだかった。
「ほら、起きろ。大丈夫か?」
そう言って、レイタは僕に手を差し伸べてくれた。
「あ、ありがとう」
レイタの手を掴み、ゆっくりと立ち上がる。試合中はとても厳しかったけど、でも普段はやっぱりレイタは優しい。
はあ、試合でも優しくしてくれると気も楽なんだけど。
ま、そうはいかないか。これも訓練だし。
「やっぱり強いや。レイタは」
「お前のさばきもなかなかよかったぞ。まさか、ことごとく弾かれるとは思わなかった」
「え、ええ? そ、そうかな?」
「ああ。少しずつだが、腕上げているようだな」
レイタはそう言うと、うっすらと微笑む。
「いい試合だった」
レイタは今一度、僕に手を差し伸べる。
だから僕もその手を握った。
僕らのその姿を見て、周りのギャラリーのみんなは歓声と同時に拍手をする。
そして、試合を見ていた先生も、レイタに向かってこう口を開く。
「流石はレイタ。村一番の剣術使いなだけある」
「いえいえ、そんな」
「レイタ。お前なら、このテンドールの王国を守るギルドが一つ、ギルド警察ディーフに入ることも夢ではないだろう。何なら、先生が推薦状をだな」
ディーフにレイタが入る!? そしてそれが夢ではないだって!?
と、というか推薦状!?
「す、すごいよ! レイタ! まさか君にそこまで実力があるなんて!」
ディーフ。ギルド警察ディーフ。
街や村で発生するあらゆる犯罪、更には魔獣の手から人々を守る治安維持組織。人々にとってはまさにヒーロー的な存在だ。憧れる人も多い。
当然、僕もそうだ。
僕だって、林間学校の時とかにお世話になった事がある。
「やっぱり、レイタは凄いや! でも、それに比べて僕は……」
ディーフは数あるギルド警察の中で、僕が入りたいって思っている組織。
でも、その夢もどうやらレイタに先を越されてしまったらしい。
レイタぐらいの実力で推薦される。それを考えると……。
「僕は……全然だめだ……」
「ネルス……?」
僕を励まそうとしているのか、それとも僕を気にかけているのか、レイタはこう口を開く。
「いや、そんなことない」
「いや、あるよ……」
レイタの顔を見ずに、僕はそっと目を伏せる。
そんなことある。あるんだ……。
レイタの剣技を見てはっきり思った。僕はまだまだだって。レイタクラスにならないと、ディーフに入るなんてまだまだだろう。正直、僕には到底無理そうだ。
「僕は全然強くなれないや。剣術もレイタに追い付きそうにないし。それに……」
「いや、ネルス。俺は……」
「レイタ。僕の分まで頑張って。そしてディーフに入るんだ」
「……!?」
レイタならきっと入れる。僕が憧れていた、ギルド警察ディーフに。だから、せめて、精一杯応援しよう。
僕ができないことを、レイタならきっとやり遂げてくれる。
「レイタならきっと僕の夢を叶えてくれる。君は、僕の誇りだよ」
「ちょ、ちょっと待て! ネルスお前ひょっとして」
「え……?」
レイタが何かを言おうとした瞬間、剣術訓練時間終了のチャイムが道場中に響き渡る。
「ふむ。終了の時間だな。本日はこれまで! 皆解散!」
先生のその声と共に、周りにいた皆は立ち上がり、ガヤガヤと音を立てながら道場から出ていく。
「レイタは少し残れ。推薦状の件で話があるからな」
「あ、いや、でも……」
レイタはどういうわけか、若干顔を曇らせながら僕の顔をちらっと見る。
いったいどうしたんだろうか。
さっき何か言いかけたけど、もしかしてそれと何か関係が……?
「レイタ? どうかしたの?」
「あー……その、だな」
レイタは何か言いたげに口を開く。でも、開いただけで、はっきりとは何も言わなかった。
「いや、何でもない。今度話す」
「ん? うん?」
今度話すって、一体何を話すんだろう? 僕何かしたかな?
「とりあえず、今日は先に帰ってくれ」
「う、うん。わかった」
まあ、何か言いたそうな感じだったけど、先生に呼ばれて忙しそうだし、てか、推薦状の件ってこれもうただ事じゃないよね!
邪魔しちゃまずい。早く帰ろう。
「明日、推薦状の話聞かせて! それじゃまた明日! 先生、それじゃまた!」
「うむ、気を付けてなネルス」
「あ、ああ。また明日……」
「……?」
レイタは戸惑ったように、僕の顔をちらっと見るとすぐに伏せる。やっぱり、何か言いたげな様子なのがちょっと気になる。気になるけど……
「じゃあ、明日聞かせてね! 推薦状の話!」
それ以上に、僕はレイタのギルド警察ディーフ推薦の話の方が気になる。
でも……
「………」
先を越された悔しさ、そして、震え。あと、胸がモヤモヤする。
嫉妬かな……。
いや、そんな感情抱いたらダメだ。レイタは僕よりも凄い。
これは事実なんだから。
でも、もし、もしだよ。
もし今日、僕がレイタに勝っていたら……?
「くっ……」
二人に聞こえない声で、僕は思わず口を漏らす。
でも、僕は必死にその感情を押し殺す。
……今日は帰って、明日ゆっくり聞くとしよ。
そして、レイタを応援するんだ。
僕は自分にそう言い聞かせる。
「じゃあ……お疲れさまでした……!」
そう言って、この道場を後にする。
でも、この時、僕の声は擦れていた。
「先生、ネルスのやつ……」
「うむ。あの様子、どうやらそのようじゃな」
「本人、気が付いてなさそうなのがまた……」
「辛い事じゃな。はてさて、どうしたものか」
「伝えた方がいいですよね?」
「そうじゃな。もしかしたら一年前のサンライト修学旅行の時の記憶がすっぽり抜け落ちているのと関係があるのかもしれぬな」
「はい。というか、それしか心当たりがありません」
「ふむ……そういう事なら……」
「? 先生、それって……」
「例のキーホルダーだ。お前からネルスに返してやってくれ。ひょっとしたら何か思い出すかもしれぬからな」
「はぁ~~あ、やっぱり勝てなかったよ」
「そっか……」
剣術訓練終了後、僕はホノカと共に歩いていた。
ホノカとはご近所さん。家からもそんなに遠くはない。だから、帰るときは、時間が合えば一緒に帰っている。
そんなホノカと共に帰路につく中、僕は今日の試合について話す。
「レイタの一太刀、とっても重くてさ……」
「レイタは強いもん。仕方がないよ」
僕を励ますように、ホノカはニッコリと微笑みかける。
けど、それとは裏腹に僕はため息をつく。
「それでも勝ちたかったなぁ。村一番の剣術士に」
「ネルスは負けず嫌いだもんね。でも、勝てるの?」
「多分勝てない。今のままじゃ」
さっきのレイタの太刀さばき。あの一撃一撃がとっても重かった。
それを掻い潜って、レイタに一太刀を入れる。
正直、今の僕にはできそうにない。
……届きそうにない。
「もっと、強くならないと……。剣も、魔法も」
「え? 魔法?」
「あ、ああ、えーっと……どっちも頑張んないとなーって」
レイタとの訓練中に、あのことを思い出して気がそれた……なんて、言えるわけがない。言い訳にしていいわけがない。
魔法も剣も、どちらも頑張んないといけないんだ。
どちらも使いこなせるようになる。特に剣術。それもレイタ以上に。
じゃないと、ディーフに入るという僕の夢は絶対に叶わない。
「夢を叶えるために、もっと頑張らないと」
「夢……か」
はぁ……っと一回ため息をつくホノカ。
そして……。
「魔法の構造をイメージして、意識を集中する。でも、その時に、自分の想いをありったけ込めろ」
正面を見きながら、ホノカは突然そう口に出した。
「ホノカ?」
「魔法を使う時、その魔法で何をしたいのか。その魔法で何を成し遂げたいのか。魔法に向かって精一杯想いを込めろ。そうすれば、魔法もその想いに応えてくれる」
「……?」
ホノカ? 君は一体急に何を……?
「ふふっ、戸惑っちゃった? まあ、そうよね。私も初めて聞いたときは戸惑った。でも、これは本当の事だった」
「え? えーっと……それってもしかして、前にこの村に魔法を教えに来た」
「そう。シュウトさんの受けおり」
「やっぱり!」
そう、大魔法使いシュウトさん。
マージルっていう名前の町にいた凄腕の魔法使い。
魔法学校に首席で卒業して、その後、いろんなところを転々としていろんな人に魔法を教えて回っていたんだっけ。
実際、僕がこの話を知っているのも、シュウトさんが実はこの村にも来た事があるから。
その時に、ホノカはシュウトさんから直接色々と教わっていた。
「魔法を使う際に、そういうふうにすれば、上手くいくんだって。最初は半信半疑でやっていたけど、本当だった。今まで出せもしなかった魔法が少しずつだけど、出せるようになったから」
「そうなの?」
「うん。さすがシュウトさん。大魔法使いって言われていただけあるわ……。まあ、でもそのシュウトさんは、今はもう……」
「ホノカ……」
ホノカは一瞬目を伏せ、拳を強く握った。
……例の訃報を思い出したからだろうか。
僕らも、あのニュースを聞いたときは衝撃を受けた。まさかあの大魔法使いシュウトさんが亡くなるだなんて……。
「だからこそ、シュウトさんに教わったアレコレを実践して、私は絶対にあの魔法を習得してみせる」
「ホノカ……。うん、そうだ、その意気だよ!」
「ま、例の魔法は、いまだに使えないんだけどね」
「………」
「ちょっと、そんな辛気臭い顔しないで。大丈夫。きっといつか絶対に習得してみせる。そしたら、あんたをいろんな場所に連れて行ってあげっから!」
ホノカはそう言いながらニシシと僕に微笑みかける。
「まあ、そういうわけでさ、確かにレイタは強いわ。村一番の剣術士の異名は伊達じゃない。でも、あんたはその剣でレイタに食らいついたんでしょ?」
「う、うん。それが精いっぱいだったけどね」
「十分。アイツ相手にそこまで行けたんなら凄いわ。それにあんたには剣以外にも取り柄があるじゃない」
「取柄……か」
取柄って言っていいのか分からない。分からないけど……。
「………」
僕は黙って、自分の右掌を見つめる。
物心がついたときから使えるあのチカラ。あの魔法。
アレは確かに、少なくとも僕の知る限りでは僕にしか使えない。
他にあんな魔法を使う人は見たことがない。
「剣の稽古もそうだけど、毎晩毎晩、ネルスは例の魔法の練習をしているんでしょ?」
「うん。先生に立ち合ってもらいながらね」
「じゃあ、きっと大丈夫。剣と魔法。その二つであんたはきっとすごい奴になる。レイタにだってそれで追いつくっしょ」
「僕が……レイタに」
果たしてできるのだろうか。僕に。
「………」
あの剣裁きを思い出して、僕は顔を伏せる。
「大丈夫。あんたならできる。前から比べたらちゃんと成長してるから!」
でも、ホノカは僕の顔を覗き込んできた。
「さっき言ったシュウトさんのアレコレを実践してみ! そして、もっともっと練習すれば、きっと追いつくって! 村一番の頼れるお姉さんが言うんだから、間違いない!」
ケラケラと笑いながら、ホノカは再び僕に微笑みかけた。
剣は、からっきしだと思っていたけど、でも、ホノカの言う通り、レイタの剣さばきに必死に食らいつきはした。
それに魔法だって、まだうまくコントロールできるとは決して言い難いけど、でも、以前から比べたら、大分……。
少なくとも、誰かに支えてもらわなくても、一人で出せるようにはなった。
だから、ホノカの言う通り、少しは成長しているのかもしれない。
「そっか……。いや、うん。そうだね!」
考えても仕方がない。
とにかく、今日はレイタには負けちゃったけど、でもいつかはきっと追いつく。そして、追い付いて、僕も立派なギルド警察になる。
僕もディーフに入るんだ!
「ありがとう! ホノカ! 僕頑張るよ!」
「うんうん、その意気その意気」
「頑張って、夢を叶える。ディーフに僕も入るんだ!」
「うんうん……って、え?」
ホノカはどういうわけか、眼を丸くする。
「え? どうしたの?」
「あんたの夢って、ディーフに入ることだっけ?」
「え? うん、そうだよ。いやだなあ、前からそう言っていたじゃないか」
「…………」
僕がそう答えると、ホノカは急に立ち止まり、顔を若干曇らせる。
なんだろう?
いったいどうしたのだろうか。
「ホノカ?」
「いや、その夢はやっぱなしになって、前に助けてもらったアカイヒトって人と、気になる女の子。その三人で世界を回ることじゃなかったっけ? 約束したんじゃなかったっけ?」
「え? 女の子? 赤い人ならまあ知ってるけど……でもそんな約束したっけ?」
「え? え!? いや、あの……なんだっけ? ほら、エクレア? ちゃんだっけ? そんな名前の人!」
「エ……クレ……ア?」
『私はクレア。もうすぐ11歳になります』
「……!?」
「え? ネルス?」
『ソード君とシールド君とマジックちゃんは、3人で一つのチームっていう設定なの。だから、これを私たちがそれぞれ持っていれば、例え離れていても、いつでもどこでも一緒だよ!』
「え……」
なん……だろ? 今の声……。
なんか、一瞬……何かを思い出したような……?
いや、違う……?
いや、ちょっとまって……。
僕……僕……。
『お母さんの……お母さんの……仇』
「なっ……!」
「ねえ、どうしたの? なんか突然、目、見開いちゃってるけど……?」
「ホノカ、僕……。もしかして……僕……」
「ネルス?」
なん……だろう?
なんか……息が苦し……。
「ぜえ、はあ……ぜえ、はあ……」
頭が痛い……。
割れるように痛い……。
なんか、何かが僕の頭の中に響き渡って……。
この声、もしかして……夢の……?
『許さない……! あなたは、あなたはお母さんを……!』
「……っ!」
だ、めだ……、目が回って……意識……が……。
「ネルス? え、ネルス!? ちょっと! ネルス! しっかりし……」
「………」
……目で見えていた記憶にあるのはここまで。
そこからの記憶はよくわからない。後で目が覚めた時、僕はまたソレを忘れていたから。
ただ、目が覚めてから二つ、分かったことがある。
「ちょっとすまねえ。こちらはギルド警察ディーフの副団長、アレンというものだ。ちょっと尋ねたいことがあってな……」
「ギルド警察!? なんでこんなところに? って、そんなことは今はどうでもよくて! ちょっと助けてください! ネルスが! 友達が急に倒れてしまって!」
「なに? ネルス……だと? わ、分かった。とにかくどこかに運ぶぞ!」
一つは、この時に偶然……ギルド警察の人が僕らを尋ねに来ていた事。
そしてもう一つは……。
『さよならは言わない。また、会おうね!』
誰かの事を……。
僕にとって大切な何かを、僕は一つ忘れているという事。
「デイン様、見つけました。例の少年です」
「そうか。では、あとは任せた」
「ケケ? デイン様は手は下さないと?」
「少々気分が優れなくてな」
「と、言いますと?」
「目眩がする。あの少年を見ているとな」
「そうですか」
「ゲルマ、あとは全て任せた。私は立ち去るとしよう」
「わかりました。ケケ、なぁに、すぐに終わりますよ……。何もかもね」
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