11「問い詰めたい」サキ


「それで? どういうことなの? クランリーテ。スピーチの練習なんて、嘘よね?」

「うっ………………ごめんなさい」


 あたしたちは風の塔の一室に場所を変えていた。二人がさっきまでいた部屋で、散らかったテーブルに壁際に大きな棚がある。

 たぶん部室なんだろうけど、結局なんの部活動か聞いてない。気になるけど、それは後回し。


「あ、あの! 怒らないで! えっと……」

「サキよ。サキ・ソウエンカ」

「サキさん! わたしがね、魔法のこと秘密にしてって言ったから、だからクラリーちゃんは嘘ついたの。わたしが悪いんだよ」

「違うよアイリン。私の注意が足らなかったんだよ。バレちゃって本当にごめん」

「謝らないでクラリーちゃん! わたしの魔法が未完成だったせいだから!」

「はいはい。そっちの謝罪は後でやりなさいよ」


 クラリーって、当然クランリーテのことよね。クラリーって呼んでるんだ。

 ふーん……そうなんだ……。


「って、それより説明を! ――いえ、その前に。クランリーテ。ひとつ、聞きたいんだけど」

「な、なに?」

「練習のこと、嘘なの?」

「スピーチ練習のこと? ……うん、ごめん」

「違うわよ。……魔法よ。魔法と一緒だって言ってたでしょ。あれも嘘?」

「え? あぁー、それは本当だよ。どれだけ魔法のイメージができても、魔法の大きさを調整するには何度も使って覚えるしかないから。練習あるのみ」

「いつも……家で?」

「うん。帰ってから属性魔法を一通り練習してるよ」

「クラリーちゃんすごい! そんなことしてるんだぁ」

「……アイリンも少しはやった方がいいと思う」

「ううっ!」

「ふぅん……毎日練習、ね」


 そっか。天才でもやっぱり練習してるんだ。

 わかってはいたけど、本人から直接聞けたのは大きい。

 だってそれなら、あたしだって。頑張れば、いつかは。


「サキさん?」

「……じゃ、次。さっきの、魔法? 説明してくれる? まさかとは思うけど……離れた場所にいるこの子と会話してたなんて――」

「す、すご~い! サキさんよくわかったね!」

「……アイリン……」

「――本当に、そうなのね? 離れた人と会話をしていた……。ど、どういう仕組みなのよ?」


 アイリンと、観念した感じのクランリーテが魔法の説明をしてくれる。

 離れた場所にいる人と会話する魔法。名前はまだ無いらしい。

 さっきの白い宝石を持った人同士で会話ができる。あれって……ガランせきよね? どうしてあんな石を使っているのかしら。魔法道具に使う石ならもっといいのがあるでしょうに。

 魔法を作ったのはアイリンの方で……どうも未分類魔法のようね。属性魔法ではあり得ない。

 しかも、宝石を手にした人は自動的にその魔法を使用する……?


「……は? 自動的に決まった魔法が発動する? それで遠くの人と話ができる? な……なによ、そのとんでもない魔法!!」

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