第5話 成長
生後半年にもなると『魔力操作』の練習を行っても気絶することは少なくなった。
あまりに暇なので半年間『操気』と『魔力操作』の練習をひたすら行っていたお陰か、気と魔力の保有量も多少は増えている。
《
【名前】シリウス・アステール
【性別】男
【年齢】0歳
【種族】人族
【ステータス】
体力:7
気力:100
精神力:5050
魔力:100
【スキル】
『超耐性』『洞察』『解析』『操気』『魔力操作』
》
『洞察』により、自分の能力をこのように数値化して確認できることも分かった。
各ステータスの意味は『解析』で確認できた。
《
体力:筋力や瞬発力などの、肉体的な力を総合的に示す指数。
気力:内包する気の最大量を示す指数。
精神力:心の強さや集中力、ひいては魔術を扱う力を総合的に示す指数。
魔力:内包する魔力の最大量を示す指数。
》
産まれたばかりは気力も魔力も5しかなかったことを考えると、大分マシになっただろう。
そして、明らかに突出している精神力。
これは産まれたばかりの頃から5000もあったのだ。
よく生前も精神力が強いと友人に言われてはいたが、自覚はなかった。よくその会社でやっていけるなとか、これで挫けないなんて鋼の精神だとかよく言われたが、イマイチ意味が分からなかった。
しかしこうやって数値で示されると、認めざるを得ないかもしれない。
もしかして彼は『洞察』スキルを所持していたのだろうか、という馬鹿らしい疑問が湧く。
ちなみに父さんと母さんのステータスを確認したかったのだが、この通りだ。
《
【名前】レグルス・アステール
【性別】男
【年齢】26歳
【種族】人族
【ステータス】
能力差が大きすぎるため『洞察』に失敗
【スキル】
能力差が大きすぎるため『洞察』に失敗
》
《
【名前】ミラ・アステール
【性別】女
【年齢】24歳
【種族】人族
【ステータス】
能力差が大きすぎるため『洞察』に失敗
【スキル】
能力差が大きすぎるため『洞察』に失敗
》
どうやら能力差があまりに大きいとステータスとスキルを確認することが出来ないようだ。
世間一般のステータスを確認したかったのだが…… 残念だ。
しかし、乳幼児である自分の能力は、成人と比べるとかなりの能力差があるであろうことは分かった。
感覚的に、父さんは魔力、母さんは気力の保有量が特に凄まじい、と感じてはいる。
それにしても、前世ではそれこそ死ぬほど働きまくっていたので、こんなにゆっくりとした時間を過ごすのは久しぶりだ。
働かずに日々を過ごすことにもどかしさを感じつつも、久々の連休(?)を僕は満喫していた。
そういえば、最近少しずつこちらの言語が理解できてきた。
前世の会社では様々な国のクライアントがいたため、言語習得は得意なのだ。
毎日しつこいくらい絵本をせがみまくっても嫌な顔一つせずに読んでくれた母さんに感謝だ。
流石に肉体がまだ未熟なので上手く発音することは中々難しいけど、簡単に意志を伝えるくらいならできる。
「ただいま! 今日はラビをとってきたぞー! やっぱり狩りは難しいなぁ」
「ありがとうあなた。私の大好きなラビのお肉ね!」
どうやら僕が産まれる前は母さんが食材を調達していたようだけど、僕が産まれてからは父さんが代わりに狩りをしているようだ。
見るからにインドア派な父さんだ、苦手な狩りを頑張ってくれて感謝しかない。
僕はまだ離乳食しか食べれないのだけども。
「ありあおー! おとーあん!」
お礼を言いつつ父さんにたどたどしく歩み寄る。
「シリウスぅぅぅ!! シリウスももう少し大きくなったら父さんが狩ってきたラビを食べさせてあげるからなぁぁぁ!!!」
僕を抱き上げて泣き喜ぶ父さん。
暑苦しい。
さて、ここ半年は気力と魔力の操作と保有量の増加に務めてきたわけだが、実は未だに魔術が使えていない。
気力は生前にも馴染みがあったおかげで身体強化に使うことができるようになったのだが、魔術はどうすれば使えるのか見当がつかないのだ。
適当にメ〇とかファイ〇とか唱えてみたが、うんともすんとも言わなかった。
その魔力の保有量から魔術に精通していると思われる父さんに聞いてみるか…… とも思ったのだが、恐らく却下されるだろう。
魔術が僕の想像通りの物なら、子どもに刃物を持たせるに等しい行為だからだ。恐らくある程度成長するまで待たされるだろう。
しかし…… 早く使ってみたい……
勉強やスポーツ、音楽、武術などは、知識の吸収が早く、身体が成長していく子どものうちから鍛錬した方が伸びが早い。
恐らく魔術も同じではないか、と思っている。
仮に呪文や魔法陣などを覚えるとしても、頭が柔らかい内に覚えるほうが有利なはずだ。
では、どうやって魔術を習得するのか。
父さんの部屋に、魔術に関する書物があるのではないかと見ている。父さんのレベルが高すぎて入門書などはない可能性もあるが、確認する価値はあるだろう。
最近ようやく二足歩行ができるようになり、多少は家の中を自由に歩けるようになってきた。またある程度の文字も読めるようになってきている。
二人の隙を見計らって父さんの部屋に忍び込む計画を、密かに立てるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます