第5話
「なぁ、おまえって死にたくなったことあるか?」
通学路を歩きながら、隣を歩く稲本に聞いてみる。
リストカットについて詳しく調べていくと、リストカットは大量出血を狙った自殺行為の一種であった。ということは新原さんは自殺を図ったのか?あの傷はかなり新しいものだと思う。つまり新原さんは・・・
「・・・なき、まなき!」
「あ?どうした?」
「どうしたはこっちのセリフだ。急に死にたいかなんて聞いてきたと思ったらぼーっとしやがって。」
「あぁ、悪いな。で、おまえは死にたくなったことあるのか?」
「ん~・・・。俺はないかなぁ。別に死にたくなるほどストレスなんてないし。」
ストレスか・・・。クラスでの新原さんを見てると、別にストレスなんて感じられないんだけどなぁ。美人だし、人気者だし、優しいし、かわいいし。学校に着くと昇降口でくつを履きかえてる新原さんをみつけた。制服の隙間から昨日の傷をのぞこうとしたところで
「なにじろじろ見てんだよ。きもいぞ、変態。」
いいところで突っ込んできやがったのは、クラス委員の野々原さん。明るくて活発な美人だが、とにかく口が悪い。聞いただろうか。『きもいぞ、変態。』美人な女の子の口から出てくる言葉じゃないだろ!
「み、みてないし・・・。」
もごもごと言い返すことしかできない俺に軽蔑するような視線を送り付けながら、
「行こ、菜穂。」
と言って、新原さんを連れて行ってしまった。おのれ・・・野々原め。新原さんのは一緒に登校する友達もいるみたいだし、どうしてリストカットなんか・・・。
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