第8話◆残された勇者達〜その一〜◇

 氷兎がラビィと出会っている頃。奈月穂はーー


 私には小学生の頃からずっと好きな人がいる。

 それは幼馴染みのうーちゃんだ。何回か鈍感なうーちゃんの為に涼ちゃんが考えた色仕掛けをしようとしたけど、全てうーちゃんのお姉さんのせいで潰れてしまっている。

 あのお姉さん……手強かったな……。いや今はそんな事よりも……。

 そんな大好きな彼が、この世界に来てからは無能扱いされていた。クラスの皆や兵士達はうーちゃんの前では何も言わないけど、影では邪魔だと言っていた。だけど国王様は、うーちゃんの呪いについて調べていたりしていていい人だと思った。

でも、そんな人が迷宮に行くのがいいと言った時は少しびっくりして反論してしまった。

 その後の話で護衛も付けてくれて、うーちゃん自身が行きたそうにしていたので、行かせてあげることにした。

 私がちゃんと守ってあげなきゃいけなかったのに……私は……守れなかった……。

 うーちゃんがいない……。それだけで私は壊れそうだった。頭が割るように痛み、胸も苦しくなり、死にたくなった……。

 うーちゃんが消えた後、私たちはレイアル王国に戻った。

 戻るとそれぞれ、国王様が二日間好きなようにしていいと二日間の休みを貰った。

 私はもうずっと泣いている。止めようと思っても止まらない。彼が見たら泣くなよと言ってくれるだろうか?

 ……休みの二日を過ぎても涙は止まらなかった。そんな時に涼ちゃんがきた。


「ねぇ、奈月穂少し聞いてくれるかしら?」


 聞きたくない。例え友達でも今は誰とも話したくない。


「鎌江君のことなんだけど」


 うーちゃんの事ならもっと聞きたくない。


「彼、生きてる可能性が高いわ」

「……え?」


 自分でも驚く程声がかすれていた。でも、それどころじゃない。気になる言葉があった。

 生きてる? ……どうして?


「私、帰ってきてから国王様に頼んで一緒に転移について調べたの。そうしたら魔物は分からないけど、人は転移系の魔法を発動したとき、何かがある所には飛ばないの。別の場所に飛んでしまうのよ」

「……だから?」


「簡単に言うと壁の中とか土の中には入れないの。何故か海には入れるみたいだけどここはまだ研究が必要ね……。もしも鎌江君が地面に向けて転移を打ったとしたら、鎌江くんは消えないの。だから鎌江君はきっと生きてるわ」

「い、生きてる……?」

「あの辺の地下に洞窟なんかありそうに無いから、どこかの平原とか森の中とかって言う可能性は高いわよ? しかも、あの武器化ゴーレムとバラバラになったのなら、もっと生きている可能性が高くなるわ」


 私はその話を聞いた瞬間力が抜けた。もう二日以上も寝ずに泣き続けていて、体力は限界だったのだろう。

 思えば皆に迷惑をかけてしまった。そうだ……。少しでも生きている可能性があるのなら、うーちゃんを信じよう……。それが出来ないならお嫁さんになんてなれないっ!


「ありがとう。涼ちゃん。それと、ごめんね……」

「いいのよ……。ゆっくり休みなさい」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 そして更に二日が過ぎた。

 私はうーちゃんが生きていることを望んで、帰ってきたら今度こそ守れるようになるために、涼ちゃん達と草原の魔物を狩って頑張っていた。そんな時国王様から招集が掛かった。


「さて、帰ってきたばかりで少し早いかと思うが勇者達には学園へ行ってもらおうと思う。何故かと言うとちょうど新入生の試験期間だからだそうだ。面倒だから早くよこせと先程連絡が来てな……」


 うーちゃん間に合わなかったな……。


「試験……ですか?」


 そう言えば青葉くんはうーちゃんがいなくなった後もあまり変わらなかった気がする。本当にうーちゃんのこと嫌いだったのかな?


「そうだ。入るには入るのだが、向こうから一応試験をしろと言ってきてな。お主達には試験を受けてもらう事となった」


 青葉くんのことも気になるけど、試験て何するんだろう? うーちゃんが居ないから帰って来るまでは、自分で情報を集めなきゃ!


「あの……。試験って何ですか?」

「試験か? 試験は試験官との軽い戦闘らしい。因みにだが試験官は学園長と私の息子と娘のようだ。三人とも強いから頑張るようにな」


 学園長!? ……大丈夫かな? 失格とか言われないかな?

 私は地道な努力のおかげで勇者達の中では結構強い方なので落ちることは無い。と言いたいけど……心配だなぁ……。


「では、外に馬車を用意する。それに乗って行くのだ。今から一時間後に出発するので遅れないように!」

『はい!』


 国王様が部屋を出ていくと、私達はそれぞれ行動を始めた。


「ねぇ、涼ちゃん、辻都くん一緒の馬車乗らない?」

「おう、OKだぜ」

「いいわよ」

「僕もいいかな?」

「あ? なんだ青葉か、僕って言ったから分かんなかったぞ」

「いちいち、私とか使っていると疲れるんだ。……で四人乗りの様だし同じ馬車に乗っていいかな? 皆決まったようだし、ここしか空いてなくてね」


 私はあまり青葉くんのことは好きではない。だって、いつもうーちゃんのこと悪く言うし……。だから『他の所に……』と言おうとした。 

 だが、軽く見回してみると、本当にもう既にグループは出来た後のようだった。これじゃ断れない……。仕方ないか……。


「……うん、いいよ」

「ありがとう、じゃまた後で」


 一時間後に予定通りに全員集まり馬車は出発した。学園のある魔法都市までは、五時間程で着くらしい。

 馬車の中では青葉くんが少しうるさかった。途中でうーちゃんの話になって、青葉くんが『彼は死んで楽になったのかな……』とか言い出したからつい怒鳴ってしまった。それからは馬車の中は無言だった。

 気まずい……。やっと魔法都市に付いたのは夕方前で四時くらいかな?

 魔法都市の名前はアルトシアと言うらしい。アルトシアは、レイアル王国と同じく周りを外壁が覆っている都市だ。

 王国との間に小さい森があって冒険者の初心者達には丁度いい魔物が出て来ることが有名で、いつしかそれがあだ名になり、初心者の森と呼ばれているようだ。

 都市の周りには迷宮も幾つかあり、そこから珍しい魔道具が出てきたりするらしい。ちなみに迷宮の推奨すいしょう冒険者ランクは大体はCらしい。冒険者のランクって幾つあるんだろう……。

 魔法都市と言われる理由はそれだけでなく、学園の影響が一番大きい。幾つもの新しい魔法や技術を作りその理論、技術を持って、成功した人が何人も出ていてここは、魔法都市と言われるようになったようだ。

 この知識はほぼ全てうーちゃんと会った時に、話してくれたものだ。……会いたいな。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 魔法都市に入ってまず私達は、全員で新入生の試験を受ける為の登録に行った。

 試験会場は校内にある四個の実技場で行われて、終わるとその場で合否ごうひが決まるとのことだった。

 普通の受験では、他の受験生よりも強すぎる固有能力などを持っているのに、使えない場合は技術上昇クラスへと強制的に行き、そこで力の使い方を学ぶようだ。他には、この学園は順位制になっていて、最高がSランクで最低がCランクだ。

 この基準は、冒険者ギルドのランク分けを甘くしたような感じなのだそうだ。

 ランクにはそれぞれ枠があってSなら十人、Aなら五十人、Bは七十人、それ以下はほぼ全てが、Cランクという感じなのだそうだ。

 卒業した後はこのランクが関係してくるので、皆Sランクに入るために頑張って鍛錬たんれんしたり、勉強したりしているようだ。この頑張っている過程で新しい魔法などが生まれるらしい。

 私達、勇者は特別クラスと言う文字通り、特別な勇者のみのクラスに全員入ることになっているみたいだった。私的には特別扱いされていて他の生徒から反感を買いそうで少し心配だなぁ……。

 そんな事を思いながら受付の人からの説明を聞いていた。

 それからすぐに透明な宝石の板の様な受験カードをもらい、皆で国王様が予約しておいてくれた宿へ向かった。荷物を置くと外はもうすっかり暗くなっていた。

 私達はチェックインした後、宿に付いている豪華なレストランで夕食をとりながら話をしていた。


「ねぇ涼ちゃん、試験は明後日で明日は暇だし森に行ってみない?」

「森? 森って近くの初心者の森の事?」

「そう、そこなら危なくないでしょ?」

「そうね……。でも一応、騎士さんと辻都くんも連れていった方がいいんじゃないかしら?」

「うん、そのつもりだよ~」

「それならまぁ、安全かしら? 試験前で確認したいし丁度いいわね」

「じゃあ決定だね。今日は馬車に乗ってて疲れたし私はお風呂入って寝ることにするよ。お休み、涼ちゃん」

「私もそうするわ。お休み」




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 約束通りに私達は、初心者の森に来ていた。


「じゃあ騎士さんよろしくお願いします」

「了解です。私は周りを警戒するので存分に戦って下さい」

「ありがとうな、騎士さんよ」

「いや、これは私の仕事ですから」

「それじゃあ、いくわよ」

「あ、森に入る前に話しておきたいことがあるんですが……」


 少し緊張した顔で私達を呼び止める。どうしたんだろう?


「なにかしら?」

「今日ギルドで聞いたんですけど、この森で熊が武器化したらしいです。それで何人も新人がやられたみたいで……。迷宮のゴーレムよりは全然弱いですけど、それでも気をつけた方が良さそうです」

「はい、気を付けますね 」

「因みに討伐してしまってもいいらしいですよ?」

「ん? いいのか?」

「はい、報酬が出るって言ってました」

「……おい、加納いけるか?」

「さぁ? 会ってみないとわからないわね」


 二人共、真面目な顔して何言ってるんだろう。ゴーレムより弱いと言っても武器化はしているし、あんな体験したのになんでやる気になるのかな……。


「いや、二人とも会わないっていう考え方は……?」

「いずれ倒すのよ? ならいつやっても変わらないじゃない」

「そっか……。そうだよね。……うん。もし会ったら無理しない範囲で戦おうね」

「流石桜井だな! 話がわかるぜ」


 辻都くん……。正直私は怖いよ……?


「じゃあそろそろ行きましょうか?」

「うん」


 私達は森の中に入って直ぐに魔物が出てきて戦闘を始めた。初心者の森だけあってかなり弱かった。

 安心して技を確かめながら順調に狩りをし、森の奥地へと進んでいった。


「なぁ、熊でねぇんだけど本当にいんのか?」

「それは、熊に聞いて欲しいわね」

「涼ちゃん……。それ熊に会ってるからね?」


 その時、木の後ろや草の影からグルァァァァッ! と聞こえた。

熊の話をしていたからかな……? 来てしまった。それも魔物は基本群れるはずが無いのに二十体以上はいる。


「う、嘘でしょ!? そうだ騎士さんは?」

「……いないわね。どこに行ったのかしら?」

「いや、いるぞ。この熊共の向こうにいる」

「な、何で……?」


 鎧の上から黒いフードを被って不気味に笑いながら立っていた。どういうことか頭が混乱していて理解できなかった。


められたって事よ……。多分邪神教か何かじゃない?」

「勇者要らないって言ってる奴らか?」

「そんな人達いたの?」

「どこの世界でも皆で仲良くなんて出来ないのよ……。まったく疲れるわね」

「まぁ、んな事どうでもいい。それよりもこの熊はどうする?流石にきついぞ」

「おーい作戦会議はいいかぁ? 行くぞ〜?」


 ニヤつきながらフードの男は喋りかけてくる。


「ちっ舐めやがって……」

「舐めてない。だから今殺すのさ〜。後々邪魔になるからな! 迷宮で全員死亡ってなるはずだったのに、あの迷惑なガキのせいで余計な手間がかかった」

「迷宮って……あなたのせいなの!?」

「俺のせい? 違うねぇ! 俺は悪くないからな。あいつが転移打ったのが悪いんだろ? ってかそろそろめんどくせぇから死んでくれるか?」


 そう言うとむちを取り出し熊を叩き始めた。

 叩かれた熊から徐々に近寄って来る。そんな事はどうでもいい! 目の前にいるこの人がうーちゃんを酷い目にあわせた奴の仲間。

 許さない……。謝っても許さない!


「私が魔法で回復とサポートするから涼ちゃん達は倒していってくれる?」

「わかったわ。それと脳筋さん身体強化使えるんでしょうね?」

「使えるに決まってんだろ! そういうお前は器用貧乏になってるんじゃないだろうな?」

「あら、言ってくれるわね?」

「あぁ? やんのか?」

「負けないわよ?」


 二人は喧嘩を始めた。この状況で喧嘩できるなんて馬鹿なのか、自信があるのかどっちなんだろ……。喧嘩じゃなくてあの男を殺すことに専念しなきゃ。


「二人共? 殺るのは熊の方だよね? そうだよね? それとも違うのかな?」

「そ、そうよ? だから振り上げてる聖杖せいじょうをおろしましょう?」

「ちょ……。それは結構リアルに痛いから止めないか?」

「まぁ、後で話し合うとして……。さっさとアイツを殺ろうよ。ね?」

「な、奈月穂? 殺してしまうのは不味いんじゃないかしら? 捕まえて自警団に突き出すのがいいわよ……?」

「桜井の後に般若はんにゃ見たいなの見えんの俺だけか? 今ならドラゴン倒せんじゃね……?」


 辻都くんは後で話さなきゃなー。……それは置いといて、あの人殺しちゃったら人殺しだもんね……。この世界じゃ当たり前でも殺人者にはなりたくないからなあ……。


「そうだね……。じゃあ捕まえて自警団につき出すでいいかな? それと辻都くんあとでお話しようね」

「お、おう……。おっしゃ! まかせとけ!」


 辻都くんが飛び出していったその時だった。私達の横を大きい何かが物凄いスピードで通っていった。


「あっぶねぇ! な、何だ?」

「人ね……」


 涼ちゃんの言う通り人だった。その人は二メートルを越えている身長で、角刈りの大男だった。その男は身長よりも長い大剣を振り回してあっという間に熊を倒していった。


「な、何でギルマスがこんな所にいるんだよ!?」

「HAHAHA! さぁ悪党よ! おとなしく捕まるか痛い目にあって捕まるか選べ!」

「ちっ! どっちも嫌に決まってるだろ! 脚に付与『スピルブ』! 水の精霊よ全てを隠す濃霧のうむ顕現けんげんさせよ『ミスト』!」


 その瞬間辺りに霧が出始めたが、大男はと言うと……。


「理論魔法と詠唱魔法をほぼ同時に使うか……。だがしかし! 無駄だァ! 断竜だんりゅう剣術『剛波ごうは』!」


 剣を横にひと振りしただけで霧を全て消し去った。だが肝心の男は消えていて、しかも私達のことを忘れているのか衝撃がこちらにも少し来て私と涼ちゃんは尻もちをついてしまった。


「きゃっ!」

「もう、脳筋と同じで闘うことにしか脳が無いのがないのかしら……。お尻が痛いじゃない……」

「すげぇ……」


 辻都くんだけは、何か凄い感動してるし……。


「む? 逃げたか。……っとそうだ」


 あ、私達のとこに来る! ど、どうしよう涼ちゃん! と思い涼ちゃんに目を向けると涼ちゃんもオロオロしていた。何か可愛いなぁ……。

 涼ちゃんで、現実逃避をしていると話しかけられた。


「大丈夫かい?」

「……あ! はい! 大丈夫です」


 危ない危ない……。涼ちゃんで現実逃避してる場合じゃなかった!


「すまなかったな。悪党を逃がしてしまったようだ」

「別にいいのよ。助けてもらったんだしね。それよりギルマスって?」

「HAHAHA! それは勿論俺のことさ! 冒険者ギルドの一つ『紅のギルド』アルトシア支部のマスターをしている。シレムだ!」

「なぁ! なぁ! おっさん! さっきの技どうやるんだ!? 教えてくれ!」

「ちょ、ちょっと!? 辻都くん! マスターさんにそんな言葉使っていいの!?」

「ん? お前も大剣を使うのか! さっきの技は『断竜剣術』って言う大剣術だ!」

「マスターさんも言葉使いスルーしてるし……」

「何故かしら……。何か面倒臭いのが一人増えたような気がするわ……」

「まぁ、うん……。ほっとこうよ」

「そうね。それが一番ね……」


 その後、急にギルドマスターのシレムさんによる大剣授業が開かれ、私と涼ちゃんは木の下で二人の修行をじーっと見ていた。

 感想を言うとしたら二人とも暑苦しい! だと思う。

 大剣授業が終わったのは日が沈む頃の事だった。

 移動して私達は門の所まで戻って来て話をしていた。


「いやぁ、あとがとな師匠! 色々と教えて貰って!」


 うん、師匠とか言っているけどもうスルーしておこう……。


「HAHAHA! いいってことさ! 他の奴らより飲み込み早くて俺も楽しかった! 明日も来たらどうだ?」

「すまん師匠、明日は俺ら入学試験があるんすよ」

「入学試験? あの魔法学校か? どっかの金持ちの息子や娘には見えないが?」

「えぇ、私達はこの世界で生まれてないもの」

「お? 加納さっきまでボーっとしてたのに回復したのか?」

「ボーっとなんてしてないわよ。それと話を途中で変な方向に曲げるんじゃないわよ!」

「ははは……。私達は召喚された勇者なんですよ」


 言ってからだけど、これ言ってよかったのかな?


「なるほどな。そんな事より坊主よ。いつでも待ってるから暇な時に来てくれ! 対戦相手とかもしてやるぜ?」

「おぉ! ありがたいぜ! じゃあ試験終わって時間ある時に来るぜ!」


 シレムさんのとても暑苦しく清々しい笑顔に辻都くんも同じ笑顔で答える。


「あら、意外と驚かないものなのね?」

「HAHAHA! お前らの強さは感じるからな!」

「経験と勘ってやつかしら?」

「HAHAHA! そうだな! お前らはきっと強くなるぜ! うちのSクラスの冒険者とタイマンで勝てるくらいにはなるだろうよ!」

「ほんとですか? 嬉しいです!」

「勿論しっかりと鍛練をしたらだけどな?」

「わかってるって! 師匠! これからもよろしく頼むぜ!」

「私達はもうそろそろ戻ります。今日は助けていただきありがとうございました!」

「それじゃあ、失礼するわ。後、稽古けいこつけてくれるのはありがたいけど脳筋に構いすぎて仕事をほったらかさない様にして頂戴ね?」

「HAHAHA! 手厳しいな! だがそれくらい強気がいい。将来はいい嫁になるな! 稽古は気を付けるとしよう。またな!」


 いいお嫁さんか〜。涼ちゃんのウエディングドレス姿……。かわいい……!


「おい、そういえば加納。てめぇいつもいつも脳筋って誰のことだ?」

「そんな事もわからないの? 脳筋?」

「喧嘩売ってのか? そうだよな? そうなんだよな!?」

「売ってないわよ失礼ね」

「じゃあなんだよ!?」

「……暇つぶし?」

「桜井……。コイツをどうにかしてくれ!」

「ごめんね? ちょっと無理」


 こうして、休みなのかどうかわからない私達の休日は終わったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る