第7話◆勇者達よりラビィさんがチート?◇
俺達は未だに動いてはおらず、倒したゴーレムに座りながら休んでいた。
「なぁ、ラビィ」
「……何?」
「ステータス見てもいいか?」
「……見せるための道具ない」
「『超鑑定』があるから大丈夫だ」
「……はい。私の全てを見て……」
そう言ってラビィは、ローブを取って手を広げた。
綺麗な白い肌と、手に収まるサイズの……。っと危ない。……いい加減俺も耐性を付けなければ!
「着てていいから! 風邪ひくぞ」
「……魂族は風邪ひかない」
「着ないんだったら街中では一緒に歩けないな」
「……着る」
これは有効だったようだ。という事で、『超鑑定』を発動してラビィのステータスを見た。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ラビィ 魂族 Lv.426
職業 なし
・スキル
身体透過Lv.-、パートナーステータス共有Lv.MAX
体内魔力変換Lv.-、魔法攻撃耐性Lv.5 魔力回復ブーストLv.MAX
・魔法
闇Lv.-、水Lv.4、風Lv.3
・固有能力
消滅魔法
・加護
闘神の加護 武器化(モデル︰完全体)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
あのゴーレムを軽く蹂躙できたのは、ラビィのステータスが共有されてたからなのか。
それと、めちゃくちゃレベル高いし他にも突っ込みたいところはあるが……。
「思ってた通り、余裕で勇者よりも強いな」
「……そう? 今回の勇者ってそんなに強くない?」
「今回のって事は他にも会った事あるのか?」
「……ん。あの時は死にかけた。人数は七人くらいだった……?」
「死にかけたって……」
「……昔の話」
「後は消滅魔法ってなんだ? 何となくわかるが……」
「……こう……相手をパッって消す魔法……」
「うん。説明下手だな」
「……下手言わないで」
頬を膨らませて怒ってる? 可愛いな。地球には目の保養に効果がある子なんていないぞ? 異世界来て良かった。
「武器化したらこの固有魔法はどうなるんだ?」
「……パートナーが使えるようになる。けど、今まで数人しか使えてなかった。使えたとしても相手の武器を消すとか……。使う魔力の割には小さい現象しか起こせてなかった」
なるほどな。ラビィ自身が使われることを嫌がっていたのもあるだろうが、信頼や相性で使えるかが決まるんだな。
「じゃあ、俺だったら使えるかもしれないな……」
「……ヒョートならきっとできる」
「そうだな、ステータスも確認したし、そろそろここから出るか?」
「……どうやって出る?」
「ちょっと待ってろよ……。出口探すから」
俺は魔力で空間を知る『サーチ』を使ってみることにした。本で見ただけなのだが使えるだろうか。
放出した魔力は壁に当たると帰ってくるようにしてあり、魔力が帰って来ない所が出口ってわけだ。
すぐに出口は見つかった。
「今まで上を見なかったから分かんなかったけど、上か……」
「……出口見つかった?」
「上だよ。上なのは良いんだけど壁に色んな魔法の術式が見えるんだよ。多分罠だな。アレを一つ一つ壊してくのもな……。最後は結界で蓋がしてある」
「……じゃあ、私の消滅魔法で結界を壊せば?」
「それはそうなんだけど、壁を登ってあそこまで行くのは……。いや、いいのが思いついたぞ。フフフ……」
「……ヒョートがなんか悪い顔してる」
俺が今やろうとしているのは技神がやっていたアレだ。どうやって発動しているのか分からないが、本で見た魔法から作ってみたいと思う。
……結果は微妙なの出来ました。
今までは、考えるだけでできたのにおかしいな?
「よし、出来たぞ。ラビィ。武器化出来るか?」
「……ん」
思い浮かべるのは、有名な狩りゲームで出てくるような大刀だ。
「『太刀へ』」
和風で少し長く、刃の部分は黒くてかっこいい!
「完璧だな」
《……うん、やっぱり相性いい》
「じゃあ行くぞ……『神速・(仮)』」
そう、技神のアレとは神速だ。
何も難しいことは考えず、罠に感知されずに通ればいいんだ。
俺は太刀を構えると思いっきりジャンプした。信じられない速さで空中を上がっていく。
早すぎて、タイミングが心配だ。早く詠唱しよう。
「我の前に立ちはだかる全ての障害を消しされ『ゼロ』」
ラビィの固有魔法だからか、これには詠唱が必要だった。
効果は凄まじく、結界に使うとガラスが割れるような音と共に全て吹き飛んだ。
そうして、俺らは脱出に成功した。
《……ヒョート。やっぱりできた》
「ハハッほんとに良かったよ。アレできなかったら結界にぶち当たるからな」
正直、失敗してたら笑い事じゃないが、成功したので笑っておこう。ラビィも武器化を解いて、少し笑っていた。破壊力がやばい! こ、これはちょっとした兵器だ……! 落ち着け……。話を続けよう。
「で、この迷宮はどこが出口なんだ……? 上か? それとも下に行くしかないのか?」
「この迷宮は一度入ったらクリアしないと出れないから下しかない」
「……何で知ってんの?」
「……捕まった時に寝てるふりして聞いた」
「いや、逃げろよ」
「……あっ」
何? この子アホの娘かしら。今、気づいたみたいな反応してるし。俺の嫁はアホの娘か。悪くない。
ラビィという名の目の保養を眺めながら歩いていると前方になにか動いているのが見えた。
アレは……何だ? そうだ。こんな時こそ鑑定だな。
《キングオーガ Lv.150》
最近の悩み 人が来ない。
ふむ、何かいらない情報まであるぞ? こんな情報いらない!
それはともかく強いのか?レベルも上限がいくつなのか調べていれば良かったな。これじゃ、強いか弱いかわからん。ゲームだったら百五十って結構高いよな?
……まぁ、様子を見ながらやるしかないか。
「なぁ、魔法の練習したいんだけどいいか?」
「……実験台? ここの魔物は運が悪い」
実験台? 違うぞ? 少し試し打ちしたらたまたまそこにいて、たまたま当たっただけだよ。
まずは……身体強化の練習でもするか。
最初はラビィの力を借りずに九割でいくか。え? 魔法打ってないって? 気にしたら負けだ。
俺はオーガの顔に向けて走り出し、殴った。
拳が触れた瞬間に綺麗にオーガの頭が吹き飛んだ。九割で完全なオーバーキルか。首がない死体から流れ出す血は生臭く最悪だ。中途半端に残り、返り血は浴びたくないな。
何回かキングオーガを倒した結果、五割くらいで生きていた。レベルとかが上がったら倒しやすくなるのだろうか?
そう言えば倒していくうちに体が軽くなってるけど気のせいか? 戦闘は初めてだしこの体に慣れたってことか? ……疑問が多すぎだ。
「……ヒョート……凄い。何かポンポン倒して行く」
振り向くとラビィが少し目をキラキラさせながら言っている。父さん、母さん俺は幸せ過ぎて死ぬかもしれないよ……。
「よし、もっと頑張ろう!」
「……おー」
俺達はそんな感じで、楽に迷宮を攻略して行った。
~オマケ~
本編とは関係ないです。
「ねぇ涼ちゃん」
「ん?どうしたの?」
「今日変な夢みたんだ」
「ふぅん…どんな夢だったの?」
「えっとねうーちゃんが、白い髪の女の子とイチャイチャしてる夢見たんだ~そんな事あるわけないのにね」
「そ、そうね、その割には黒いオーラ出てるわよ……」
「あ、ごめんね?でも、本当だったら潰すんだ~」
「さらっと怖い事言うようになったわね……」
「うーちゃんをたぶらかす奴は私が成敗してくれるっ!」
「本当にやりそうな勢いね……」
今日も平和?な、奈月穂達であった。
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