第149話 聖騎士団定例会議

「という事で、来週の土曜日にレイドボスの討伐をする事になった。」


聖騎士団の定例会議で、ギルバルトは幹部たちに報告した。


「おおー、腕が鳴りますね。」


「こういうの本当に久々だよな。」


「しかも大人数で討伐なんて。」


幹部たちは盛り上がっていた。

が、一人。


「私は今回、不参加でも構わないか?」


「はあ?」


まさかのベルラインからの不参加の申し出に、ギルバルトは脳天をハンマーで打ち砕かれたようになった。


「じ、時間か日にちが、あわないなら、今なら変更できるぞ?」


ギルバルトの中では、ベルラインに一部隊を任すことが決まっていた。

ガルフと互角の盾能力を有し、指揮能力も申し分ないベルライン。

それだけでも、居ないと困る存在であるが、ベルラインにはガルフ以上に士気に関わる圧倒的なキャラクター性がある。

ベルラインは参加しませんじゃあ、納得しないギルドが多々あった。


「ふ、副団長、副団長が不参加となると連合が何を言ってくるか・・・。」


幹部の一人が言った。


「そ、そうですよ。連合だけならまだしも、教会からもきっと。」


「ヨルムンガンドからも何か言われそうだよな?」


「聖騎士団が音頭をとってるのに、副団長が居ませんと・・・。」


他の幹部たちからも声が上がった。


「ベル、日時が合わないなら・・・。」


ギルバルトは、再び日程調整の話を切り出したが。


「日程の問題じゃあない。」


「そ、そうなのか?何か問題でもあるのか?」


「気が乗らないだけだ。」


「・・・。」


ギルバルトは絶句した。


「「「・・・。」」」


幹部たちも絶句した。



ギルバルトは頭の中でグルグルと思考しはじめた。



連合の場合。


「ベルは気が乗らないので今回は不参加となった。」


「はあ、何言ってるの?舐めた事言ってると、私達帰るわよ。」


まるで、目で人を殺すかのようにギルバルトを睨むスザンナ。


「さすがにギルバルト主体で、ベルラインが居ないと俺も庇いようがないよ。」


困った顔で言うエイト。



教会の場合。


「ベルは、今回不参加に・・・。」


「3分以内に連れて来てください。」


氷の女王が復活した。



ヨルムンガンドの場合。


「今回、ベルは都合があって。」


「あっそ、私はいいんだけどね。ターヤにはギルバルトから説明しといてね。」


「・・・。」




【まずいっ、ゲームから抹殺される事態に・・・。】


ギルバルトは真っ青になった。


「だ、大丈夫ですか団長。」


幹部たちが、心配して声を掛けた。

今にも死にそうな顔のギルバルトを見て、ベルラインは、少し悪い気がしてきた。


「むう・・・、どうしても私が参加しないと駄目なのか?」


コクコクコク。

死にそうな顔で頷きまくるギルバルト。

まるで人形のようだった。

不気味な・・・。


「少し、時間をもらっていいか?明日には返事をするので。」


コクコクコク。

ギルバルトは頷いた。

その後、ベルラインは、ギルドルームを後にして何処かへ行ってしまった。

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