第148話 レイドボス討伐始動

ローラはちょっとムカついていた。

隣でバシャバシャと大きな音を立ててるタイマーに。

タイマーは、ロッドを思いっきり下げて、ラインを送り込む

ボタンを押した。

ようやくオオカミウオは、バレて静かになった。


「1匹くらい釣ってもいいんじゃないの?」


ローラが言った。


「時間が勿体ないからね。」


釣り上げる時間とデスペナルティなんて食らってたら、

時間制限を言い渡されてるタイマーには、勿体ない以外の何物でもなかった。


「それより、ローラは、随分と当たりが判って来てるね。」


ローラは当たりを視認しては、合わせを入れているがいっこうにヒットしない。

事前には聞いてるもののストレスがたまりにたまっていた。


「これ腹立つんだけど?」


「少しは、他で釣ってくるといいよ。息抜きになるし。」


タイマーは、ギルドルーム内の釣りは、一日4時間に制限されている。

それ以外の時間は、最初の川で釣りをしていた。

アルバイトが無い日だが。

失業保険を貰ってるので、バイトが無い日の方が多いわけで。

この日は、ヨンペイは用があり、ONして居なかった。

ヨンペイもライン当たりが判り始めたのだが、ローラには負けていた。


「あいつが居ない間にヒットさせて、どっちが上か証明しないとね。」


「俺としては、二人が釣れるようになってくれれば万々歳なんだけど。」


結局、タイマーは2時間の間で一度だけヒットさせることができた。



それから修練に修練を重ねた結果、1時間に一度の割合でヒットできるようになった。

そして、ついに周りが動き出した。



「仙人がついに1時間に一度はヒットできるようになったらしい。」


パルコから連絡を受けたギルバルトが他のメンバーに言った。

連合のギルドルームで、連合の副GM達とガルフが周りにいた。


「ヨンペイの方は、まだ無理っぽいよ。」


エイトが言った。


「討伐隊は、何人組むつもりだ?」


ガルフが聞いた。


「50人前後集めて、5部隊に分けようと思う。」


「随分大がかりなんだね?」


「一番小さいギルドルームでも出現してるからな。恐らく50人くらいが

 討伐ラインだと思ってる。」


「なるほどね。」


「50人で討伐するとして、小さいギルドルームでは狭くないか?」


「ギルドルームは、バラサンを借りる事になっている。」


「最大ギルドだな。」


「ああ、メンバーの方も目星はついてるから、来週の土曜決行で構わないか?」


「うちは問題ないよ。」


連合の副GMエイトが答え、他の5人も頷いた。


「随分、急だな。うちは4、5人しか参加できないかもだが?」


「ガルフには、1部隊を担当して貰いたい。」


「それはいいが。」


「うちは何部隊だせばいい?」


「14、5人出してもらうと助かる。」


「それ位でいいの?もっと出そうか?」


「いや、各部隊に僧侶と魔術師を配置するから、そこまでの人員は要らない。」


「というと、教会と。」


「ヨルムンガンドか。」


「内々に話は通してある。」


「教会は別として、魔女たちとそんなに親しかったっけ?聖騎士団って。」


エイトが聞いた。


「うちもそれなりに女性団員は居るからな。」


「ヨルムンガンドですって!あそこのGMは、確かベルファンっ!」


連合の副GMスザンナが言った。


「誰だそれは・・・。GMはミズガルドだ。」


「名前じゃないのよ。ギルバルト、あなたベル様を使ってヨルムンガンドと取引したわね。」


スザンナは決めつけて言った。


「ヨルムンガンドと話をつけるのに、ベルは一切かかわってないが?」


「嘘ね、大方、一週間、ベル様を貸すとかそういう約束を・・・。」


「何度も言うが、ベルは物じゃないぞ・・・。」


「ミズガルドさんは、よく知らないけど。副GMはターヤさんだよね?」


エイトが聞いた。


「うっ・・・。」


ターヤの名前が出たとたんにスザンナは何も言えなくなった。


「サポート協議会の会長さんがいるギルドだし、そんな取引はしないでしょ?」


「当たり前だ。何か要求してくるようなギルドなら、こっちから願い下げだ。」


「・・・。」


「他は、野武士くらいか?」


ガルフが話を戻した。


「教会から、森の住人にも声かけて貰ってる。」


「打ち合わせはどうする?」


「当日、一旦集まってそこでしようと思う。」


「当日でいいのか?」


「何せ、情報が無いからな。水のブレスを吐く位しか。」


「なるほどな。」


「盾は、水耐性のあるのを頼む。」


「わかった。」


ガルフが答えた。

詳細な日時は、後日、ギルバルトがメールで知らせるということで、話しあいは

終わった。




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