第140話 デュエル大会決勝

デュエル大会には、途中20分の休憩が設けられている。

同時に4試合が行われるため、2時間以内で大会は済まそうと思えば可能ではあるのだが。

グランマは、観客席には戻らず、決勝が行われるメインステージの傍にいた。

決勝の後に、表彰式が行われる為だ。


「お疲れではないですか?」


黒服を着たチーフが、グランマに話しかけた。


「大丈夫ですよ。」


「気分が悪くなったら直ぐ言ってくださいね。」


何せ、70を超えた年配者であるから、運営としても気を使う。


「ありがとう。」


グランマは、ニッコリと微笑んだ。



決勝、カラット対マルス。


ここ最近の二人の戦闘は、全て近接戦闘で行われていた。

以前までは、マルスが距離を取ろうとしていたのだが、カラットに詰め寄られあっさりというケースが多かった為、マルスも近接技術を身につけた。

それが、グランマに剣闘士と言わしめた蹴りである。


二人の戦闘は均衡してるようにみえているが、実際、マルスの攻撃は、全て裁かれていた。


「本当に面白いわ。」


グランマは狂喜の笑いを浮かべた。

圧倒的な強者を見て、心の奥からこみ上げる殺意。

強い者を倒したいという欲求。

70過ぎて、尚、こんな気持ちが残ってたなんて、自分自身で驚いた。


観客席で見てたクレインは。

拳を握りしめ、打倒カラットを心に焼き付けた。

先ほどまでは、「おばあ様の仇を討つ!」と打倒マルスを掲げていたのだが、それも吹っ飛んでしまった。


相手の隙を作りたいマルスは、前蹴りを放った。

カラットはバックステップをする事もなく、軽く横に避けた。


「ちぃっ!」


マルスは舌打ちをした。

カラットは避けると同時に攻撃を仕掛けていた。

手のワンツーに、蹴りの右左。

いつものような多彩な攻撃で、マルスを翻弄した。

全てを防げるわけでなく、ダメージを蓄積していくマルス。


結局、双方、大技を出す事無く。

いつものように、体力を少しずつ削られ、マルスが敗北した。


好勝負のようにも見えるが、圧倒的な実力差の勝負だった。

見る人にしか、実力差は判らないが。


「カンピオーネは何であんなに強いんです?」


観客席で、クレインは、パルコに聞いた。


「さ、さあ?会った時から強かったわよ?」


パルコがβで出会った時、既にカラットは、強かった。


「何で強いんですか?」


今度は、リアルの先輩であるタイマーに聞いた。


「さ、さあ?」


もちろんタイマーがわかるはずもなく。



メインステージで表彰式がとり行われ、無制限デュエル大会は、

大盛況のうちに幕を閉じた。

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