第134話 つれない
それから、一週間、毎日4時間、タイマーはラインテンションを張った状態で待ち続けた。
「これだけ待って、当たりらしきものが無いって事は多分違うな。」
タイマーは、そう結論付けた。
今度はラインを緩めた状態で、当たりを待つことにした。
そもそも、たたでさえ物干し竿ってだけでも竿としては、丈夫すぎるのに頑丈な物干し竿というからには、釣れる魚も半端なくデカいのだろう。
当たりがあったら、一気に持っていかれるのかもとタイマーは思った。
それから一週間が経過。
当たり無し。
釣り堀実装から、3週間、ついにヨンペイも釣るのを辞めていた。
ヨンペイは、何か条件があるのでは?と考え始めていた。
世間では、釣りの話題も無くなり、来週行われる無制限デュエル大会の話題に変わっていった。
ヨンペイは最初の川でタイマーと会っていた。
「どうですか、師匠?」
「全然駄目だね。テンション張っても、緩めてても当たりがないよ。」
「色んな人が色々試しても、駄目だし、師匠が駄目っていうなら、何かしらの条件があるんじゃないでしょうか?」
「うーん・・・。言える事は、時間が少ないって事かなあ。」
「え?」
「一日12時間は欲しいよね。やっぱり・・・。」
「そんなのは、師匠だけかと・・・。」
「リアルの釣りでも、当たりが無いときは全然ないでしょ?」
「それはそうですが?」
「そんな時はどうしてる?」
「場所移動出来るならしますが、無理なら粘りますよ。」
「でしょ?」
「でも、師匠、ゲームはすぐ辞める事も出来るし、いつでも再開する事も可能ですよ?」
「そのいつでも出来るってのが、駄目なのかもね。」
「とりあえず、今挑戦してるのは、師匠くらいで・・・。」
「本当、制限とってくれればなあ。」
「やる気満々ですね?」
「まあねえ。」
これくらいの粘りがないと、誰も発見する事が出来なかった層を発見する事は出来なかっただろう。
「一応、自分も時間がある時は挑戦してますが・・・。」
「何かあったら、メールするよ。」
「お願いします。」
次の日、タイマーは、今度はゼロテンションを試してみた。
ゼロテンションとは、テンションを掛ける一歩手前の状態で、ゼロテンション釣法と呼ばれる釣りもあった。
これも、一週間頑張ってみたが、特段変わった様子はなかった。
「うーん、ゼロテンションでも駄目か・・・。」
来週は、色々な釣法を試してみようとタイマーは思った。
そんな時、公式である発表が行われた。
平素よりバーチャルファンタジーGXをご利用いただき誠にありがとうございます。
長らく行われていました制限デュエル大会ですが、プレイヤーの皆様のレベルも上がり、制限をつける必要性が少なくなってきました。
つきましては、今後の制限デュエル大会は、中止とさせて頂きます。
尚、無制限デュエル大会は、これまで通り、執り行いますので、皆様のご参加をお待ちしております。
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