第130話 シマアジ

シマアジ、スズキ目アジ科の魚で、鯵の中の最高級の食材。

最大で1mを超える大型魚であり、釣りのターゲットとしても人気が高い。

ちなみに、タイマーの現在の記録は、122センチ。

もちろん川で釣ったものだが・・・。


連合の副GMエイトは、ツレルンのギルドルームを訪れた。


「シマアジの場所がわかったようだね。」


事前に、ヨンペイに連絡を取っていたので、ヨンペイは、ギルドルームに待機していた。


「ああ、偶然。見つけたみたいだ。しかし、情報はやいな。連合は、隠密でも雇ってるのか?」


「いや、バカッターに投稿してたよ。」


「・・・。」


今まで、誰も見つけてない場所を見つけた興奮で、呟いてしまったようだ。


「俺としては、ヨンペイには、このまま川で釣って貰っても構わないんだけど・・・。」


「いいよ。せっかちな連中ってのは、何処にも居るんで。」


「すまないね。」


「一応、師匠にもメールで聞いてみたんだが。」



【えっ、ポイント見つかったの?凄いね。頑張って99匹釣ってきて。】

と激励のメールをヨンペイは貰っていた。



「噂の釣り仙人かあ。あまり他の人を気にしないタイプかな?」


「そうでもないんだ、これが。悉く最長記録塗り替えてるから。」


「それは凄いね。」


「ただ、せっかく師匠に釣りを教えて貰ってる手前、最後の一匹は川で釣りたいんだが?」


「構わないよ、それくらい。それにうちで護衛部隊を作ったって、一日じゃあ無理でしょ?」


「多分・・・。実際、自分で釣ってみないと1時間で何匹釣れるか、わからないし。」


「POPの敵の周回コースなんだよね?敵は何だっけ?」


「ブラックタイガーだよ。」


「なるほど、じゃあ1部隊で事足りるね。」


こうして、シマアジ釣りの為の護衛部隊が組まれることになった。

次の日、ヨンペイは5人の護衛のパーティーに入れて貰い、シマアジのポイントへ向かった。

そこには・・・。


5、6人が並べる狭いポイントに、70人くらいの釣り人が重なって、

釣りをしていた。

もちろん、ツレルンとバラサンの人間が殆どで、違う人間も何人かは、いるが・・・。


「お前ら・・・。」


ヨンペイは、呆れて声を掛けたが、釣りたい気持ちはわかるので、責める事は出来なかった。

仕方なく、ヨンペイも重なって釣りを始めた。

護衛部隊は、5人でパーティーを組み直し、その辺で世間話をしたり、釣りを眺めたり、各々が暇を潰していた。

5分ごとに来るブラックタイガーも、連合のメンバーからすれば相手では、なかった。

5人パーティーの場合は、5~8匹の敵が出るのだが、8匹出ても5人で余裕で殲滅していった。

もちろん、スキルや魔法といった物は使用しているので、回復薬、MP回復薬等バンバン使っていた。

前線組にとっては、そういう消費アイテムはゴミのように所持してる物で。


結局、ヨンペイは1時間で20匹のシマアジを釣る事が出来た。


「あと3日護衛して貰えば、98匹になるよ。」


ヨンペイは、護衛の中に居たエイトに話した。


「了解、護衛は3人でもいけそうなんで、ヨンペイの都合に合わせるよ。」


「わかった。またメールするよ。」


「よろしく。」



ヨンペイは、5人の護衛と共に下山した。


こうして、70人近くで行われるデスルーレットが始まる訳だが、70名が全滅する前に接続時間が2時間に達した為、多くの者が強制落ちを食らってしまった。

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