第129話 ロシアンルーレット

サーデロ山は、陰鬱な森よりも、もっと低いレベルのキャラ育成に適してる山で、今もそこそこ人がいるマップである。


当初、6人PTでレベル上げの予定していたが、二人ほどこれなくなった。

その為、4人PTで出かけたのだが、戦闘が終わり、回復もしないうちにポップが当たってきた。

とっさのことで、最初に攻撃を受けた二人が死亡。

やばいと思った残り二人は、急いでバトルフィールドから離脱しようとしたが、一人は追いつかれ死亡した。

1人生き残った男は、下山したかったのだが、POPが結構わいていて、登るしか逃げ道がなかった。

バトルフィールドでログアウトする場合は、3分間の待機時間が発生する。

何処でログアウトしようが、再ログインした時は、登録してるログポイントからになるので、ログアウトする場所に意味はない。

デスペナルティも物が無くなる訳でもないので、死んでログアウトしても問題は無かった。

しかし、この時、この男は、パニック状態になっており、そんな事も思いついてなかった。

体力を回復しないとと、あせってウィンドウを開こうとする。

後ろらは、POPの敵が迫ってきており、男を更に慌てさせた。

アイテムウィンドウを開くつもりが、装備ウィンドウを開き、焦ってキャンセルしようとしたら、装備してしまった。


釣竿を・・・。


わけわからなくなって、崖に追い詰められた時。

男は、ある事に気が付いた。

物凄く高い崖、下を見ると海があるにはある。

そして、竿を装備した時に、釣れる場所になると出るアイコンが表示されていた。


「こんな所で釣りが出来るのか?」


ある程度の高さがある場所では、釣りをする事は出来ない。

最初の頃は至る所でチェックが行われてきたが、今まで出来た場所が無いのでそのうち、誰もチェックしなくなった。

しかも、サーデロ山の崖は、相当高い。

釣りが出来るなんて、誰も思うはずは無かった。


男は、竿を持って、崖に立ち、糸を垂らした。


そして、POPに突っ込まれ、相手に先制を取られ、即死亡した。

すっかり、POPに追われていた事を忘れていたのだ。


男は、ツレルンのギルドメンバーだった。

翌日、有志12人を募って、再びサーデロ山へと向かった。

12人は、ツレルンとバラサンの2つのギルドから参加した面々だった。

目的の崖までは2PTで、難なく到着した。

といっても、回復アイテム等は結構使用している。

崖につくとPT解除して、一人一人が釣りを始めた。

場所はそんなに広くないので、人と重なって釣りをする事になる。

パーティーを組んで居なければ、ゴースト扱いなので、重なっても何の問題もなかった。


そして、有志達が釣りを開始して、5分後。

POPの敵が向かってきた。

まだ、誰も魚をかけてなかった。

有志達は、構わず釣りをした。


運の悪い一人に、POPの敵が当たった。

敵と戦闘になった人間は、直ぐ釣りを辞めて、不意打ちに耐える体制を、取るつもりだったが、あっさりと死んだ。

そうすると、POPの敵は、最初に出現した場所に戻っていった。


この場所は、POPの回遊コースになっていて、5分に一度敵が来る。

有志、残り11人。

男たちは、釣りに集中した。


そして、3人の犠牲が出た頃、ついに一人がヒットさせた。


「おいバラすなよっ!」


そう言って、一人が立ち上がり、犠牲になるべくPOPの敵をまった。

慎重に釣りをしたため、更に二人の犠牲者を追加したが、ついに釣り上げる事が出来た。


「「「シ、シマアジだと・・・。」」」


釣り上げた魚を見て、有志達は興奮した。

今まで、発見されることがなかったシマアジのポイントをついに見つける事ができたのだ。


が、偶々かもしれない。

そう思い、有志達は、再び釣りを始めた。

その日は、結局、2匹目を釣る前に、全員が死亡した。


合掌。

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