第106話 ミルミル復帰

夜にカルディナはギルドルームで悩んでいた。


【薙刀の弱点ねえ・・・。】


習ってはいたが、そんな事は考えたことも無かった。


「どうしたの、カルディナさん?悩み?」


孫同然のカルディナを心配し、グランマが声を掛けた。


「えっ、いや大したことないです。」


「水臭いわね。何でもいいなさい。」


「えっと・・・。」


まさか薙刀の弱点を考えていたなんて言えず。


「えっと、今度、男性役でダンスをすることになりまして、どうエスコートしたらいいのかなあと。」


正直、相手役が男性な時点で、どうでもいい事ではあったのだが。


「あら、素敵じゃない。是非、うちに来なさい。教えてあげるわ。」


「え、ええ。」


カルディナが、グランマの道場へ行ってない理由は、忙しいからとかいう理由ではなかった。

中学まで、親身に教えて貰った薙刀を高校時代一切触る事すらなくて、申し訳ない思いがあって、顔が出せずにいた。

カルディナが通っていた関西の高校では、なぎなた部は無かった。


「あの先生、私、あれ以来、薙刀に触ってないんですが・・・。」


「いいのよ。気にしないで。中々、なぎなた部なんてのも無いでしょう。私はね、あなたの元気な顔がみたいだけだから。」


「じゃあ近いうちに、顔を出しますね。」


「今日は何か予定あるの?」


「いえ、特には。」


「そう、じゃあ一緒に冒険に行きましょう。私のレベル上げ兼ねてだけどね。」


「はあ、別に構いませんが。」


元気のないカルディナを気遣って、グランマは冒険へ誘った。


「初めましてミルミルと言います。宜しくお願いします。」


グランマのパーティには、ミルミルが居た。


「そっちもテスト終わったんだ?」


カルディナが声を掛ける。


「ええ、終わりましたよ。テスト休みなんで、ガンガンONします。」


「ところで何故、貴様が居る。」


ベルラインが、カルディナに声を掛けた。


「いやあ・・・そのう。」


「御免なさいね、ベルラインさん。私が誘ったの。」


グランマが言った。


「そうですか、それなら構いませんが。」


ベルラインも渋々了承した。


「それよりも、カルディナさん近いんですけどっ!」


ベタっとくっつくカルディナに、ミルミルが苦情を言った。


「え~、女同士なんだし、これくらいいいんじゃない?」


「離れてください。」


カルディナを押しのけようとするミルミル。


「私とミルミルの仲じゃない。」


「犬猿の仲でしょうっ!」


ベタベタするカルディナに嫌気がさすミルミル。


「貴様ら・・・。何があった。」


先日まで犬猿の仲の二人が、おかしな関係になってるのを訝しんで、ベルラインが聞いた。


「な、何も無いです!」


「えー、あんな事あったのにぃ~。」


「気にしないでください。」


くっついてくるカルディナを遠ざけながらミルミルが言った。


「ま、まあミルミルが、そう言うなら・・・。どうしても困ったら、私かグランマさんに言うといい。グランマさんはカルディナの先生だからな。」


「本当ですか?」


「ええ、クレインの祖母でもあります。」


グランマが言う。


「え、えええええっ・・・。」


驚くミルミル。


「あ、あのベタつくの注意して貰ってもいいですか?」


ものは試しで、ミルミルはグランマに聞いてみた。


「カルディナさんっ。」


「は、はいっ。」


グランマに注意され、カルディナはベタつくのを辞めた。


「す、凄い。カルディナさんがいう事聞くなんて・・・。さすが、クレインさんのお祖母さん。」


「まだ、わからない事がいっぱいあるから、教えてくださいね。」


グランマは丁寧に挨拶をした。


「は、はいっ!」


こうして4人は、グランマのレベル上げに向かった。

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