第62話 【ゲーム過去編】ダンシングメイス

「最初に確認しておきたいことがある、ミルミルさんは、現在の職業は、クレリック見習いだよな。」


二人でパーティーを組んで道すがらベルラインが聞いた。


「はい、その通りです。」


「将来的には、ビショップになるつもりか?」


「まだ、決めてません。クレリックで止めてる人が殆どなんですよね?」


「クレリックとビショップの違いは知っているな?」


「はい。大体はネットで確認しました。」


「これは、あまり重要視されてない事だから、ネットにも載って無いと思うんだが、ビショップになればメイスは装備できないぞ。」


「えっ・・・。」


「ビショップになるつもりなら、今のうちからスティックに変えた方がいいだろう。」


「私は、メイスを使いたいです。だから、クレリックで止めようと思います。」


「わかった。では、メイスについて一つだけ教えておこう。実戦で見せたいので、回復に専念して貰ってもいいか?」


「はい、お願いします。」


2匹の雑魚キャラとの戦闘が始まった。

ベルライン一人でも、勝てる相手だ。


いつものように盾強化と扇動のスキルを発動させる。

扇動のスキルを発動させると、スキル発動者に対するヘイトを上昇させ一定時間、敵を引き付けることが出来る。

ミルミルは、ベルラインがダメージを受けたのを確認して、回復魔法を使った。

悠々と大きな盾を持ち、敵の攻撃に耐えるベルラインは勇ましかった。

ベルラインは、ゆっくりとメイスを持ち上げ、カウボーイが縄を回すような素振りをする。

3回回したところで、一気にメイスを叩き落とした。

雑魚と言っても決して一撃で倒せる敵ではないが、ベルラインは一撃で雑魚を粉砕した。


「す、すごい・・・。」


「今のが、メイスのスキル、ダンシングアタックだ。」


「3回回すことで、攻撃力がアップするんですね?」


「違うな。」


「へ・・・。」


「ダンシングアタックは、動作中に呪文が発動できる。私は大した呪文は持ってないので、攻撃力アップの呪文を発動して使ってるだけだ。」


「なるほど。」


「今のは、判りやすいように使用しただけだが、このダンシングアタックは、攻撃しながらも呪文の発動が可能だ。」


「えっ・・・。」


「つまり回復しながら、攻撃が出来るかもしれないということだ。」


「かもしれないですか?」


「回復魔法を私は持ってないからな。確認が出来ない。補助魔法は間違いなく使用できるけどな。」


「私がメイスを使っていくとしたら、重要なスキルになりますね。」


「そうだな。僧侶が装備を出来るというのは、私も知らなかったのだが、もしかしたら、僧侶に適してる武器なのかもしれんな。」


「こんな大事なことを教えてもらってもいいんですか?」


「構わんよ。私はデュエルをやる訳でもないしな。」


「あ、あのベルラインさんっ!私、聖騎士団に正式に入団しますっ!」


「そうか、では、これからはミルミルと呼び捨てにするが、構わないか?」


「是非っ!よろしくお願いします。」




「ギルバルト、ミルミルが正式に入団したいそうだ。」

ギルドルームに戻った、ベルラインは、ギルバルトに報告した。


「そ、そうか。一応体験入団ということだからな。まずは一週間ギルドを体験してもらって、その後正式ということで。」


「だ、そうだ。ミルミル。」

ベルラインがミルミルに聞いた。


「はい、皆さん宜しくお願いします。」


ミルミルは、ぺこりと頭を下げた。

ギルドルーム内には、ちらほらと団員が居た。

3人以外が、男性で、男性たちは喜んだ。


「僧侶って初だよな。」


「可愛らしい女の子だな。」


「ま、待て、カルディナの例だってあるだろ・・・。」


「た、確かに・・・。」


聖騎士団の男子団員の心の中にカルディナショックは、今も爪跡を残していた。


「失礼な、屑どもね。最初は喜んで迎えてたくせに。」


最初は、丁寧で女らしいカルディナだが、慣れれば男を屑扱いする性格だった。

ギルバルトは、カルディナに目くばせをした。


【この一週間が勝負だからな】


【はいはい、わかってますって】


何故かこの時だけ、以心伝心の二人だった。

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