第24話 誕生日プレゼント
宇品は、いつものように仕事を終え23時過ぎに帰宅した。
嫁は、毎日遅くなっても出迎えてくれる。
「誕生日くらい早く帰れないんですか?」
「40も過ぎると自分の誕生日も忘れてしまうよ。」
「私の誕生日を忘れたとかいったら、ぶっ殺しますよ?」
「だ、大丈夫。絶対忘れないから・・・。」
目が座ってた嫁にビビりながら、遅い晩飯を食べた。
「これ、美緒からですよ。」
そういって、嫁は、ケーキと包装された箱を手渡した。
「み、美緒が・・・。」
ここ何年と誕生日プレゼントなんて貰ったこともなかった。
「美緒は起きてるかな?」
「もう寝てるんじゃないですか?」
「そうか・・・。」
箱を開けると、中にはネクタイが入ってた。
嬉しそうに自分にあてがってみる。
「似合いますよ。」
「そ、そうか? しかし美緒はお小遣いでも貯めてたのかな?」
「バイトしてますよ。」
「なっ、聞いてないぞ。どんなバイトだ?」
「さあ、詳しくは聞いても教えてくれなかったんで。」
「ちょっと美緒を起こしてくる。」
「バイトくらいで、なんです?自分が高校の時もしてたでしょ?」
「い、いや・・・その俺は男だし・・・。」
「美緒は、しっかりしてるから大丈夫ですよ。」
「しかしだな、その、怪しいバイトとか、あるだろ、色々・・・。」
「自分の娘が信じられないんですか?」
だんだん嫁の目が座ってきたんで、宇品は黙ってケーキを食べた。
「旨いな、このケーキ。」
「私も頂きましたが、美味しかったです。多分駅前のケーキ屋のかと。」
「クリームもしつこくないし、俺でも食べれるよ。」
娘が買ってくれたケーキをパクつくように食べきった。
ジージー
携帯のバイブが震えた。
「誰だ、こんな時間に・・・。」
時野からメールが届いた。
はっぴーばーすでー
と平仮名の内容だった。
「添付ファイルがついてるな。」
そう言って、クリックすると、美緒の写メが映し出された。
「み、み、み、美緒~。」
あせって、美緒の部屋に駆け込もうとする宇品の首根っこを嫁が掴んで止めた。
「あら、可愛らしい写メじゃないですか。駅前のフォンデの制服ですよ。さっき言ってた、ケーキ屋の。」
「なっ、怪しい店じゃないのか?」
「誰からのメールですか?」
「俺の同級の時野だよ。」
「時野さんが、美緒に変な店なんて紹介するわけないでしょ?」
昔から時野は、女性陣には評判が良かった。
「あいつの本性しらないから・・・。」
「こんな笑顔、私も最近見たことないですよ?」
「こんなのはな、営業スマイルだ。」
「本人が気に入ってればいいんでは?」
「む、明日の朝、問いただそう。」
「お礼を言うだけにしといてくださいね。」
「しかしだな。」
「二人とも強情なんだから、すぐ喧嘩になるでしょ?せっかく、美緒が誕生日プレゼントくれたっていうのに。」
「う、うむ・・・。」
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