第20話 説教

「どういうことですか?説明してください。」


ここは、鋼の翼のギルドルーム。

タイマーはパルコに正座させられていた。


「どうもこうも、一緒にラーメン食べただけですよ。」


「コンパ抜け出して、ご飯を強引に誘ったとか?」


「抜け出したというか、引っ張っていかれたんですが・・・。」


「そもそも、いい年して、コンパって。」


「数合わせでしょうがなく・・・。」


「で、ミラちゃん実害はなかったの?」

パルコが心配そうに聞いた。


「連絡先を教えてしまって・・・。」


「ちょっとタイマーさん、マジ怒りますよ?」


「い、いやね。今度、オフ会どうかなと思いまして。」


「本当にそれだけですか?」


「は、はい。」


「ミラちゃん、次に何かあったら直ぐ教えてね。」


「う、うん。」


「身内に凄腕のスナイパーいるから、安心して。」


「・・・。」

旦那の事だろう。タイマーは何も言えなくなり沈黙した。


「で、今度タイマーさん抜きでオフ会する?」


「うん。」

ミラが勢いよく返事した。


「ちょっ、俺抜きって酷くないですか?」


「「ないです。」」


「・・・。」


「まあ、私が行くとなるとスナイパーも同席だから、タイマーさんも来てもいいですよ。」


「・・・。」


「スナイパーさん?」


「えっと、ミラちゃんには、オフ会の時に紹介するわ。」


「うん。」


「リーダーには、私から伝えとくから、タイマーさん日程調整の連絡係よろしくね。」


「了解。」


「少しでも、変なメールとかしたら、スナイパーに報告するから。」


「・・・。」


「あれ、先輩が正座してる。」

珍しく、カラットがギルドルームに入ってきた。

というか、タイマーが呼んでいたからだが。


「おお、遅かったな。」


「僕は、ちゃんと働いてますんで。」

グサっ・・・。


「え、えっとだな仕入れて欲しい物があるんだが?」


「また堅松樹ですか?」


「いや、ライトカーボンメタルだ。」


「それって今ある鉱石の一番レアな奴じゃあ?」

パルコが言った。


「そうなんですか?」


「採れる場所は、閉ざされた門の近くで、敵は出ないらしいんだけど、ランク的に採掘出来る人が限られてるとか。」


「このゲームの採掘や伐採は、放置出来ませんからね。VR機で生産する人は、貴重です。」


「そうなのか?手に入れるのは難しいのか?」


「なんとかしますけど、何に使うんです?どうせ竿だとは思いますけど。」


「ああ、ロッドメーカーさんと昼に話して、ライトカーボンメタルなら、名前からしても、ロッドに使えるんじゃないかという話になってな。」


「先輩のロッドは、最前線組の武器より高価かもですね・・・。」


「カラット君、坑夫に知り合いが?」

パルコが聞いた。


「いえ、木こりに知り合いが居ますんで、その人に聞いてみようかと。」


「もし、手に入るなら、私にも少し回して欲しいんだけど。」


「いいですよ。双剣に使われるんですか?」


「うん、片方の剣をライトカーボンメタル製にしたいなあと、前から思ってたのよねぇ。まさか釣りの竿に使おうとする人間が、いるとは思ってもなかったんだけど・・・。」


「あまり期待しないでくださいね。」


「うん、わかったわ。」


「で、パルコさん、俺はいつまで正座してれば・・・。」


「どうせ痺れないんだから、ずっとしててください。」


「えー・・・。」

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