第18話 ゲーム過去編「定例会議」
「薄い本についてだが、個人のキャラ名が特定できるような物は、宜しくないと思うのだが?」
ベルラインが議題として、薄い本を取り上げた。
ここはギルド「聖騎士団」のギルドルーム。
いつもの定例会議が行われていた。
「心配するな、既に手は打ってある。」
ギルバルトが答えた。
「ほう、普段は悪乗りしそうな貴様が、どういう手を打ったんだ?」
「特定できるような本を購入し、運営に送った。即座に取り締まってくれるそうだ。」
「随分と手際が速いじゃないか。」
「ああいったものは、無くなればいい。」
「・・・。貴様、頭でも打ったのか?」
「ギルドマスターとして、当然の事をしただけだ。」
「・・・」
ベルラインは困惑した。
「ちなみにどんな本を送ったんだ?」
「個人の事もあるので言えない。」
「私の事ならかまわん。気にしてないからな。ベルサラ本とかも送ったのか?」
「いや、送ってない。」
「そうか、私の本は送ってないのか、特に構わなかったのだがな。事前に相談してくれればいいものを。」
「ベルの本は送ってある。」
「ほう・・・、相手は誰だ。」
「言いたくない。」
「貴様が言いたくない相手だと?貴様が熱をあげてるローラとかいう奴か?」
「違うっ!ローラたんの本は、ほ・・・。」
「ほう、保存してあるんだな。安心したぞ、いつものギルバルトだ。」
「・・・」
「団長、まさかギルベル本を送られたのでは?」
幹部の一人が言った。
ギクっ!
「き、貴様、そのような物を買ったというのかっ!」
「お、落ち着けベル。確認の為だ。」
「何の確認だというのだ!」
「ベル、お前の本の内容は、8割が受けらしいな。」
「それがどうしたっ!」
「俺の本は10割が、俺が受けだっ!」
「・・・。」
「最初は、俺とシンゲンがカッコよく表紙になってる同人誌を見つけ、何気なく買ったのが始まりだった。」
それが、ギルバルトの不幸の始まりだった。
「家に帰って読んで、びっくりした、というか冷汗がでた・・・。」
「・・・。」
「それから色々、同人誌の販売会にも顔を出し、作者とかいう奴と話をしてみたが、俺は受け確定なのだとか。更に聞いてみると女性では、ベルが受けという立場にあるのを聞いた俺は、どうしても確かめたくなって、ギルベル本に手を出してしまったのだ。」
「なるほどな。それでも貴様が受けだったと言う訳か?」
「ベル、お前の通り名は、頑強と呼ばれているらしいな。」
「興味はないが、そう言われてるらしい。」
「俺の通り名は、総受けだっ。」
「「「・・・・」」」」
こうして、しょうもない定例会議は終わった。
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