第17話 ゲーム過去編「女子会」

「ベルに聞きたいことがあるんですが?」


今は、冒険の休憩中。

サーラントは、ベルラインに寄り添うように腰かけていた。

正式版が始まって以来、やけにくっついてくるサーラントに、ベルラインは、困惑していた。


が、βからの戦友ということもあり、無下にもできず、寄り添うのを黙認してきた。

異性であればパーソナルエリア警報が出てもおかしくない距離だ。


「なんだ?」


「ベルファンとかベルサラって何の事ですの?」


「・・・。」


「ギルドの人たちに聞いても、教えてくれないんです。」


【トイレ休憩で落ちてる奴は、まだ戻ってこないのか】

ベルラインは、心の中で思った。


今日は、眠れぬ教会の一人と聖騎士団の一人、計二人のLv上げを行う為の冒険だった。

サーラントとベルラインは、護衛のために付いてきていた。

トイレ休憩に行ってるのは、野武士から護衛に来てる男性だ。


「人にはそれぞれ主義というものが存在する。あまり詮索しない事だ。」

ベルラインは、苦し紛れに答えた。


「また主義ですの・・・。」

そうこうしてると、野武士の人間が戻ってきたので、再びLv上げが始まった。




どうしても気になったサーラントは、パルコがONしてるのを確認し、連絡をとった。

鋼の翼のギルドルームで話をしようということになった。

現在は、ヴォルグ、パルコ、カラットの3人しか所属しておらず、

ギルドルームを使用する者は、殆ど居なかった。

サーラントはパルコが苦手ではあったが、それは剣を抜いてるときであり、通常時は、良き相談相手となっていた。


「パルさん、ベルファンとか、ベルサラって何の事ですの?」


「あちゃあ、ついにサーラちゃんの耳にも入ってしまったか。」


「私に関係することですの?てっきりベルに関係することかと・・・。」


「まあどっちもかな。」


「???」


「ベルファンはね、ベルラインファンクラブの略ね。」


「なんとなくわかります。」


「で、ベルサラの方は、ベルラインとサーラントを見守る会の略かな。」


「な、ななななな、何ですの、それは・・・。」


「二人を温かく見守ろうって事だけど?」


「ど、どどどどど・・・。」


「落ち着いて、サーラちゃん。他人の主義というか趣味みたいなもんだから、サーラちゃんは気にせずに。」


「気にするなってのが、無理ですっ!」

顔を真っ赤にしてサーラントは言った。


「そうなると思って、皆、サーラちゃんに言わなかったんでは?」


「そ、それはそうですけど・・・。ベルは、この事知ってますの?」


「多分ね。」


「パルちゃん、こんばんわ。サーラも居たのか。」

タイミングよくというか、悪いというか、ベルラインがギルドルームに入ってきた。


名刺交換していれば、相手が居る場所が、大体特定できる。

冒険していれば、その地方名が表示され、ギルドルームにいれば、

ギルドルームと表示される。

ただ、どこのギルドルームにいるかまでは、特定できない。


【間が悪い人って、本当にいるのね】

パルコは内心でそう思った。


テーブルはなく、円形状につらなるソファは、パルコの趣味。

ベルラインは、他の二人と同様にソファに腰をおろした。

いつもであれば、サーラントが近くに寄って来るのだが、そんな素振りも

見せずに、うつむいていた。


「どうかしたのか?サーラ?」


「な、なんでもありませんわ。」

ベルラインが、パルコの方を見ると、パルコは、やっちゃったみたいな

顔をしていた。


「もしかして、サーラ、あの事をパルちゃんに聞いたのか?」


「き、気になってたから、しょうがないじゃないですか・・・。」


「他人の主義だから、気にするなと言ったろう。」


「そうですけど・・・。」


「まあねえ。薄い本なんかも出ちゃってるけど。気にしない事ね。」

パルコが爆弾発言をした。


「パ、パルちゃんっ・・・。」


「何ですの?薄い本って?」


「知らなければいいのよ。」

パルコが誤魔化そうとする。


「サーラ、他の所では、絶対に聞かないようにしろ。」


「気になりますの・・・。」


「くっ、貴様が他でやらかしたら、とんでもない事になるからな、仕方ない。薄い本とはな、18歳未満禁止の本だ。」


「???」


「わかってないみたいよ?いい、サーラちゃん薄い本ってHな本の事よ。」


「へ?私とペルは女同士ですよ?」


「だから、そういう本よ。」


ボッ

火を噴いたようにサーラントの顔が赤くなる。


「サーラ、これに懲りたら何でも知りたがらない事だな。」


「つ・・・つまり、私がペルに迫られるみたいな?」


「何を言ってるんだ・・・。」


「殆どがベル受けの本らしいわよ?」


「受け?」


「つまりサーラちゃんが、ベルちゃんに迫るって事よ。」

ボッボッボッ

火山が大噴火したような顔になった。


「わ、わわわわっわ、私が、ベルを・・・。」


「ギャップ萌えという奴だろ。他人の趣味なんか気にしない事だ。」


「あら、ベルちゃんは平気みたいね?」


「見なければいいだけだ。」


「ど、何処に行けば買えるんでしょう?」


「おいっ・・・・。」

ベルラインが突っ込んで、事なきを得た。


が、後日、ネットでも買える事をパルコが伝えたのは言うまでもない。

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