☆24 物語は終わる

 え、と声が出た。

 ゆっくりと時間は動き、紅恋くれんの腕がB・Bの体を貫いた。血は出なかった。B・Bの体がぐらりとくずおれた。紅恋は一歩引いて、寂しそうな顔して微笑むと目を閉じて倒れた。ひかりは飛び出すと紅恋の体を支えた。

「ひ……かり?」

 紅恋はすぐに目を開けた。

 いつもの紅恋だ。

「ひ、洸、あたし……」

「B・B!」

 時がやっと普通に動き出した。叫んで彼女に近寄る、洸も、紅恋を支えながら彼女の傍まで行った。スーツの腹部には大きな縦長の口が開き、そこからは青い火花が散っている。彼女は薄く目を開いた。

「B・B!」

「ね、言ったとおりだったでしょ……」

 B・Bは笹舟ささぶねのほうを向いて言った。

「ごめんなさい、最後まで、役に立てなくて……」

「そんな、謝ることなんかない。君は今までずっと、しっかり役目を果たしてきたじゃないか!」

 紅恋と洸、そしてチームの面々は、うろたえたまま、ただじっと彼女を見つめていた。

「あなたの気持ちが、わかったから、私は随分救われた気がする……」

 彼女は倒れたまま上を向いた。

「洸、龍巳、スー、リタ、聡貴さとき、デリスト……」

 順番に、目を合わせて名前を呼ぶ。

 彼女の目からは、悪意はもう欠片も感じられない。

「ごめんなさい……」

「謝らないで。ねぇ、あたしたち、そんなにあなたが辛い思いをしてるなんてこと知らなかった」

 洸は言った。

「言わなかったんだもの、知らなくて当たり前よ」

「B・B……」

 素納多そなた飛雄ひおが、黒衣こくいを運んできた。

「黒衣!」

 紅恋は青ざめて叫ぶと洸の手から離れて彼に駆け寄った。

「洸、あなたには特に謝らなければならないわね……大切な両親に、こんなことをしたんだもの……」

「そ、それは……でも」

 簡単に許せるはずがない。しかし、今B・Bは死にかけているのだ。まるで遺言のような喋り方に動揺する洸に、B・Bは微笑んだ。罪を犯した人間の顔だった。それでいて、お姉さんのような、友達のような、家族のような存在でもあったことを思い出させるような表情だ。

「あなたは優しい子。本当に、ごめんなさい……」

「もういい……もういいから……」

「あなたたちも……二人とも、ごめんなさい」

 彼女は二人にも目をやって、謝った。素納多と飛雄は首を振った。

「きっとこれも運命だったんだよ。今となってはそう思う」

「ええ、操られているときに散々うらみましたから。もう、これ以上は忘れます」

「ごめんなさい……」

 彼女は目を閉じ、また開いた。だんだんと、その目からは光が消えていっているように見えた。生命力と呼んでもいい、何かが抜けていくのを感じた。

「二人も、今まで、あたしが操るために復元した人たちも、みんな私が死んだら元に戻る……お願い、供養してあげて。私の我儘だけれど、もう私にはできないから」

「分かったとも、僕が責任を持ってやろう」

 笹舟が頷いたのを見て、B・Bは嬉しそうに微かに唇を綻ばせた。

「紅恋、あなたにも、あなたの恋人にも謝らなくては……」

 紅恋はびくっと身を震わせた。彼女の顔を見た。

「あの……」

「いいの。きっとこれが正しい結末よ。あなたは気にしないで。それに、彼女からきちんと教えてもらえるはず」

 紅恋は黙っていたが、彼女の様子からは意味を理解できていないことがよくわかる。B・Bはにっこり笑って、何も無い空間を見た。

「私たちを迎えに来たのですか……?」

 灰色のローブを纏った人影が空間に現れた。黒衣の使っていたものと似た、それより大きな鎌を携えている。

 その人影は人のものとは違う響きを持った声で言った。

『そうだ。そしてそのついでに私の息子を引き取りに、な』

 紅恋は体を強張らせ、渡すものかと彼の体を抱き寄せた。

 フードに隠れて顔は見えないが、彼女に向けて言った。

『そうか、お主が息子と共にいた……大丈夫だ。息子を復活させるために一時冥界に連れて行くだけだ。永遠に会えないというわけではない』

 彼は息子に目を向け、続けた。

『こいつの気持ちも、わかってやれないわけではないのだがな……あの時はお前の名が死者の名簿から消えていて、冥界で散々慌てたものだ。もし、奴が命を奪ってしまっていたら、どうしたらいいとな』

 彼は笑った。

『生きていたと知ってほっとしたが、息子はお主をさらって姿をくらますし、本当にこうも心が噛み合わないと、どうしたものかと頭をかきむしったこともあったな。丁度いい、この機会に、たまには親子で少し話し合ってみるか』

 B・Bのほうを向くとにやりと笑った。

『主は冥界からすれば大罪人だ。しかし、実を言うとこのきっかけをくれたお前にはほんの少々感謝をしているところもある』

「それは良かった」

 彼女は微笑んだ。

「じゃあ、どうやらそろそろ駄目みたいね」

「B・B!」

「私は悪いことをしたわ。それは自分でもわかっていたの。でもどうしようもなかった、体が勝手に動いたの。人を助けるはずの存在だったのに周りを滅茶苦茶にした。きっと私は、傷ついていたんだわ。とっても、人間、くさいわね……皆、巻き込んで、ほんとうにごめんなさい……」

 さようなら。

 そう言って、彼女は目を閉じ、その上で鎌が振るわれた。

 B・Bの体は入れ物になった。魂がなくなって、からっぽの器に戻った。悪人の死とは思えなかった。どうしても、面倒を見てくれた人という側面があるからだ。一緒に時間を過ごした仲間だという思いは消えなかった。

 チームの仲間たちは涙を流したり、堪えたりするのに忙しかった。笹舟が真っ先に膝を折って、彼女の体を抱きかかえて静かに嗚咽を零した。泣き声は段々激しくなった。洸は、大人の男性が大声で泣くのを初めて見た。

 静かに涙が零れた理由は、それだけではなかった。素納多と飛雄は、洸のほうを向いて笑っていた。

 二人の体は青く光っている。

「洸、ごめんね! あたしたちは、あなたと会えなくてとても寂しかった。あなたを一人にして、寂しくさせて、ごめんね。本当に悪い親だったと思う。こんな風にだけど、会えて嬉しかった」

「お母さん!」

「洸、ごめん。辛かったよな」

 彼の目には優しい光。いつも見ていた、優しい光が戻っている。飛雄は洸の頭に手を置いて、くしゃりと撫でた。

「お父さん……」

「仲間に囲まれて、楽しく過ごしてるみたいだな。安心した……よかったよ」

「お父さんっ……」

 洸の目は潤んでいたが、その太陽の日差しのように暖かくなった父親の声を聞くと、涙はもう止まらなかった。

「ごめん、本当にごめんな。もっと、一緒に遊んだり、したかったな」

「あのね、洸、誕生日に、大切なことを教えてあげるって言ったの、覚えている?」

「うん……」

「あの日、あなたに特別な能力があるってことを打ち明けて、それで初めて組織に連れて行こうと思っていたの。あなたはそれを、一人で知ることになってしまったわね……ごめんね」

 素納多は洸の体を優しく抱きしめた。その体には温もりがなかったけれど、心が引きつれるようになって洸は泣いた。洸はぶんぶんと首を振った。

「あなたは素晴らしいのよ。あなたの力は、祝福されるものだっていうことを、教えてあげたかったの。あなたを孤独にさせて、ごめんね。だけど、あなたは戦ったのね」

「おっ……おかあ、さぁん」

「あなたは、立派な私の娘よ。飛雄さんも、私もとても誇りに思う。それでね、お詫びにもう一つ、大切なことを教えてあげる」

 洸は二人を見た。二人は顔を見合わせてから、にっこりと笑って洸をもう一度抱きしめた。

「それはね、私たち二人とも、ずっとずっと、どうなっても、たとえ死んでしまっても、ずっと……」

 素納多が洸に目を合わせた。


「あなたが、大好きだって事よ」


「っ……!」

 洸は声をあげて泣き出した。

「お母さ……おとう、さんっ……」

 二人を包む光が強くなる。彼らは微笑んで洸の名を呼ぶ。

「洸、ずっとずっと、どうなっても愛してる」

「洸、あなたはずっと輝いているわ。希望の光よ」

「どこにいてもずっと見ているから」

「どんなに離れていても絶対に見てるから」

「ほら……笑ってくれないか?」

 洸は、泣きながら、それでも笑おうとした。

「無理矢理じゃなくてもいいのよ」

 素納多は微笑んで洸の肩に触れた。

「洸が言ったみたいに、泣きたかったら泣いて、笑いたいときに笑って、怒りたいときに怒って、ずっと、自分を貫いて、それでも、辛い夜、苦しい夜はあるから、そんな時は空を見上げて」

「幾千の星は、人々の魂。星使いはそうやって教えるんだ」

「私達はずっと空にいるから。あなたの道を照らすから」

 洸は呼んだ。

「お父さん! お母さあん!」

「さよなら」

「おい、そうじゃないだろ」

 飛雄が素納多を優しくそっと小突いた。

「あら、そうだった?」

「そうだ。俺はある本でこれを見つけて感動した。だから、お前にもこう言おうって言っただろ」

「ああ、そうだったわね」

 二人は笑って、言った。

「洸、元気で」

「また、どこかでな」

 人影が鎌を振るった。二人の体からも魂が抜けて、からっぽになった入れ物がぐったりと倒れた。洸は力の抜けた二人の体を抱きしめた。

「お父さん、お母さん。あたしも大好き。大好きだから」

 だんだん、彼らの体温は無くなっていく。洸は、それをずっと感じていた。そして、人影は黒衣の傍に来た。彼の持つ鎌には様々な色に光る三つの魂がまとわりつき、ゆらゆらと揺らめいていた。

 紅恋は黒衣を抱きしめ、生き返らせてくれるのだ、と自分に言い聞かせた。けれど、この手を離したくない。渡したくないという気持ちは消えず、人影を見つめた。

『また、この世に戻るには、少なくとも数年かかる。それでも、お前は待つ気があるか?』

 紅恋は、ごくりと唾を飲み込んだ。だが、芯の強い瞳で相手を見据え、言った。

「黒衣が戻ってきてくれるなら、あたしは何年だって、待ちます……!」

 その涙に濡れていても、なお強い光を絶やさない瞳を見て微笑むと、黒衣の腕を取って引いた。黒衣は軽く宙に浮き、その体は空中で静止した。

『できるだけ、早く帰す。女を悲しませるような奴は非道だからな』

 声を出さずに笑った。そして、彼は黒衣と三人の魂を連れて強烈な光と共に消えた。

 そこには、三つの入れ物と、チームの面々と、記憶を取り戻したドクターと、一人の少女が残された。洸は涙を拭いて、もう一度、両親の体を抱きしめた。安らかな顔をしている彼らに向かって言うように、洸は言った。

「……考えてみれば、酷い話だよね」

 彼らの体をゆっくりと横たえ、洸は皆を振り返った。

 B・Bの体に向かって歩いていった。そして、彼女を見つめる。それはもう空っぽで、すでに「彼女だった物」に変わっていた。とても安らかな顔をしていて、顔には、僅かに微笑さえ浮かんでいる。微笑みは穏やかで、ほんの少し前まで向けられていた悪意と呪いの塊のような物と比べると、同じ〝微笑み〟とは到底思えなかった。

「こんな風に笑っちゃって……」

 洸は苦笑して、思いっきり舌を突き出した。

「ば――――か!」

「……洸?」

 皆は、洸の行動に首を捻った。

「だってさ、よく考えなくっても、酷いじゃない。あんなに散々辛い思いをさせて、あまつさえ龍巳とあたしのお母さんとお父さんまで操ってさ! それで死んじゃって〝ごめんなさい〟だよ! そりゃないよね?」

「そりゃあ……そうじゃない、とは言わないけど……」

「だけどさぁ、ひーちゃん……」

「あたしは納得いかないっ」

 洸は龍巳に飛び掛るように近づき、人差し指を彼の鼻先に突きつけた。

「あ――――んなに酷いことされといて、気にしてないって言うの? 信じられない!」

「でも、洸さん……」

 皆戸惑っていた。洸は泣いた痕が残りながらもすっきりとした笑顔で、不満があるといった様子には逆さから見ても見えなかった。

「あの……やっぱりその、B・Bさんは……その」

「そうよ、今更そう言ったってどうなるって言うの?」

 笹舟はB・Bの亡骸を抱いたまま、悲しげに言った。

「洸ちゃんの言う事ももっともだ。でも、もう死んでしまった人にそう言うのは……」

「ドクター。あたしはいたってマジメです」

 洸はにっこりと笑うと人差し指を立てて喋り始めた。

「確かに今更ではありますが、逆に考えると〝もう死んじゃってるわけだし〟ってことで、死人に口無し。ぶーぶー文句を垂れたって、何にも言われないんです。だから、思ってること言っちゃおうと思って」

 洸は早口にそう言うと、またB・Bへ向き直った。

「ほんっとにあなたは酷いことをしたのよ! 仲間同士で戦わせたり、お父さんとお母さんまで無理矢理起こしたりまでして! まったく、ごめんですんだら警察は要らないってことわざを知らないの!? あんたたちが教えたことじゃない! ……でも」

 洸は区切って、続けた。

「でも、最高にスリリングな経験ではあった。それに、あんたがそんなとんでもないこと考えなければ、あたしは、ずっとここに来れなかったかもしれない」

 それを聞いて、戸惑っていたみんなの顔に笑みが差した。

「そうしたら……」

「洸はあたしたちに会えなくて!」

「あたしたちは、洸さんに会えなかったんですよね!」

 リタとスーは洸の隣に来て、にっこりと彼女に微笑みかけた。洸も二人に笑い返すと、意地悪そうな風を装った笑顔をB・Bに向ける。

「さらに、あたしは世界に失望して、このまま、この世界を『くだらないところ』で終わらせて、人生を過ごしていたかもしれない」

「それで、ひーちゃんはしわくちゃ陰険ばばぁになってたかもしんないってわけだな!」

 龍巳はにまっと顔いっぱいで笑った。そう、それこそ龍巳よ。洸は彼にも笑いかけた。

「……そうだな。洸が来なかったら、僕は小説について語り合える仲間ができなかったし」

「龍巳は顔の表でだけで笑ってる、とんでもない腐った野郎だったしな」

「おい、でかノッポ! そいつは聞き捨てならねーぞ!」

「なんだよ。本当のことだろ」

 洸は笑って、B・Bを見た。安らかな笑顔だった。大きな仕事をやり遂げたかのように、満足げな。

「だから、一応感謝してあげる。ほんのちょびっとだけ。それから、あたしたちはこれから、この組織をあんたには絶対にできないくらい素晴らしいところにしてみせる。それで、あたしたちは生き残ったわけだから、人生満喫して、死ぬときは大いに満足して死ぬの。あんたは、天国でも地獄でも好きなところへ行って、そこからここを見上げるなり見下ろすなりして、あたしたちの笑顔を見て、あたしたちの作り上げた最高のこの場所を見て、それこそ死ぬほど悔しがればいいわ。そしたら、あたしたちだって、いいざまって笑い返してやるわよ。要するに心配も申し訳無さも罪悪感も全部纏めてゴミ箱に突っ込んどけってこと」

 洸はくるりと両親のほうも向いて、言った。

「これはあんたたちにも言えることなんだからね! よくもずうっと孤独にしてくれたわよね。いくらうらんでもうらみ足りないわよ! 勝手にさっさと出かけちゃって、それで勝手に死んじゃって、誕生日にプレゼントもケーキも無し! あんたたちが居なくなってからずっっっとそうだったんだから! おまけにあたしはひねくれるし、B・Bがここへ連れて来なければずっとそのままだった。っていうか、そもそもこんなことに巻き込むのが間違いだったのよ。あんたたちの決めたとおりに、あの日にあたしに全部を伝えて、あたしをここへ連れて来れば、それでよかったのにさぁっ! ……まぁでも、そのおかげで、あたしは自分の醜くて汚いところと一緒に、深いところまで知ることができたんだけど」

 洸は、B・Bと同じく安らかな笑顔を浮かべている両親に向かって、人差し指をちっちっと振った。

「だから、あたしがこういう考えをできるようになったってのも、あんたたちのせいでものすごい経験をしたおかげだけど、だけどその分ものすごく辛くて苦しくて大変で……挙句の果てに操られて、『死して永遠に』だもんね。二人も辛かったか知んないけど、あたしのことを考えてよ! 生きる希望も無くなったって感じよ! わかる!? ……とにかく、あたしが言うのは、二人で大人しくどこかでゆったり暮らしなさい。それで、あたしに可哀想なことをしたなぁって、それはもう、ものすごーく、ものすご―――く後悔しなさいって事。それだけ。元気に暮らしているあたしを見て、悔しがるでもよし、微笑むでもよし。あ、そうそう、手の掛かる娘が勝手に育つのを、はらはらしながら見守りなさい。いい事といえば、あたしはあたしにしか従わなくてすむってことよね。嫌なのに大人に従わなきゃならないなんて、嫌で嫌で溜まらないもの」

「洸ちゃん、それだけ言えば、もうすんだかい?」

 楽しそうに、しかし苦笑しながら笹舟が聞いた。洸はもちろんと言った様子で頷く。彼は楽しげな皆を見ると微笑を浮かべ、B・Bの髪を撫でた。

「君には、辛い思いをさせたと思ってる。でも、ごらん。君のおかげで、子供たちは大きく成長したように、僕には見えるよ……」

 B・Bの顔が、また少し、優しげに綻んだ気がした。

 洸は顔いっぱいに笑顔を浮かべて、口を開いた。

「皆! まだ、やることいっぱいあるでしょ!?」

 だから、あたしは走り出す。

 休んでなんか居られない。休んでなんか居るもんか。

 あたしは、あたしたちは未来へ向かって猛スピードで駆け出すんだ。

「やるぞーっ!」

 洸は叫んで拳を突き上げた。

「おおーっ!」

 皆も、つられるように次々と、手を突き上げて声の限りに叫んだ。洸たちには灰色の天井も、青く、晴れ渡って見えた。見てて、お父さん、お母さん。

 あたしは光るから。

 地上したからそこを見上げて、力いっぱい光るから。

 二人がすぐに気付くように、どんな星にも負けずに、一番強く光ってみせる。地上で、一番に光るから。

 だから、見てて。しっかり、見ててね。


 洸は笑顔だった。だけど、すぐに泣き出してしまった。強がっていた彼女を、仲間が暖かく包み込んだ。


 こうして、洸の物語のうちの一つが終わりを告げた。

 彼女は大きな悲しみを幾つも乗り越えた。

 その結果、今、彼女の手には乗り切らないほどの宝物と、溢れるほどの光がある。

 彼女は、もう二度と暗闇で泣くことはない。

 彼女は、もう二度と暗闇には捕らわれない。

 彼女は止まらない。

 未来が、彼女たちを待っているからだ。

 例え、そこにたどり着くまでにどれだけの苦難が待ち受けていようとも、彼女は進む。

 掛け替えの無い仲間と、共に。


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