第4話

俺は先週天音とした会話を思い出していた。

確か、タバコの煙の話だったか。

「何だ、また芸術だ、とか言い出すんじゃないだろうな。」

先週天音は俺が吸っていたタバコの煙を見て「煙の揺れ具合が切なくて妖しくて綺麗!芸術だね!」等と言ってのけたのだ。

また例の如くコイツの琴線に触れる何かがあったのだろう。そのまま俺に何かまくし立てると駆け足でどこかへと立ち去って行った。

「違うよ!私の話聞いてなかったの!?」

お前の話をまともに聞ける奴がいるのならお目にかかりたいね。

「そっちじゃなくて、その後の話!」

確かに、何事かまくし立てていた気がする。

しかし先週の俺は、週刊誌のラブコメの続きが気になっていた為、話半分で聞いていたのだ。むしろくだらないエピソードを少しでも覚えていたことに自分で感動している位なのだから凡夫である俺にそこまで求められても困る。

「だから、出来たんだって!」

正直、今日のこいつはいつもよりグイグイ来て気持ち悪い。キノコでも食べたのだろうか。

「何が出来たんだよ。タバコの火を出し続ける装置でも作ったのか?」

冗談めかして言うと

「ちーがーうー!!」

一拍おいて

「タイムマシン!タイムマシンが出来たんだって!」

どうやらついに頭がイかれてしまったらしい。

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