ブルー
パールの教えてくれた曲は、
なぜか全部ト短調とホ長調だった。
でも、
単調と感じたことはなぜか、
一度もない。
むしろ、
教えてもらった曲を、
大切に大切に
弾いていこうと思うばかりだ。
今日弾く曲は、
さざ波のような、
繊細で美しい、
『ブルー』という作品。
でも、
作曲者が誰なのか、
パールは教えてくれなかった。
今考えてみれば、
そこに何か理由があったのかもしれない。
旋律に夢中になりかけたとき、
誰かが部屋のドアをあけた。
私は驚いて、
演奏を止めた。
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