ピアノ

私は、教室をでた。


そのまま、


細長い建物を奥へと進んでいく。


そうすると、


ピアノのある部屋がある。


人間たちがこの部屋を使うことは、


あんまりない。


だから、


部屋の中の空気が、


少しだけ、


椿の家の空気に近い。


休み時間は、


私以外は誰も、


ピアノなんかひかない。


だから、


私はひとりで、


静かに演奏できた。


椿の家を出る前、


パールが私にピアノを教えてくれた。


次に行く世界では、


ピアノがきっと役に立つと。


次に行く世界が、


まさか人間のいる世界だなんて、


その頃は私は、


これっぽっちもしらなかった。


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