08 作品愛を語ってみれば/三谷 朱花さま

 突然ですが、私が初めて読んだBL系作品は、少女時代に愛読していた漫画雑誌で連載が始まった漫画でした。

 タイトルや詳しいストーリーは忘れてしまったのですが、他のいかにも少女漫画な連載作品たちがキラキラキャピキャピしていた中で、その漫画はかなりシリアス(?)で、同性を初めて愛してしまった主人公が自分の思いに気づいてとにかく情熱的に相手に迫り、相手も強引に組み敷かれているうちに当惑しながらも主人公に友情以上のものを感じ始めていくという……。

 BLとしては王道の展開なんですが、当時BLに免疫のなかった私には衝撃的なストーリーでしたね。


 何が衝撃だったかって、男同士の恋愛云々というよりも、主人公が思いを寄せる彼が無理やり組み敷かれ、可愛い彼女とも別れさせられてそっちに引きずり込まれて悩み続けていく展開がなんとも痛ましくて、主人公の身勝手さにドン引きしてしまったんですよね。

 これがもし自分の好む設定や展開の作品だったりしたら、BLの作品にもっと興味がわいたりしたのかもしれません。

 そう、この作品の主人公、秋ちゃんのように。


『作品愛を語ってみれば』

 三谷 朱花 さま

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054885595792


 イケメン度:★★★☆☆

 イケメン属性:作家系イケメン、羊の皮をかぶったオオカミ(?)系イケメン


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 まずは作品紹介ページからあらすじを一部抜粋。


「園田秋子はBL作品が好き。いつもならネットで予約注文するところが今回に限って予約しそびれた。背に腹は代えられぬと新刊を買いに本屋に来たら、思いがけない人物と出会ってしまった!」


 主人公の秋ちゃんが会ってしまった人物こそ、今作品のイケメン枠、辰巳先生。

 彼はなんと秋ちゃんが買い求めた作品を書いた人気のBL作家でした!

 しかも、彼は学生時代に一度だけ会ったことのある合コン相手で、秋ちゃんの言葉がきっかけでBL作家への道に進んだといういわく付きの人物だったのです。


 彼の印象を、秋ちゃんは「雰囲気イケメン」であると評しています。しかも強調するかのように何度もその言葉を繰り返します。

 彼の容姿の描写はほとんど出てこないので、実際イケメンなのか本当に雰囲気だけなのかは不明です。

 ただ、後編で腐女子秋ちゃんの背景が見えてくると、辰巳先生は実際にイケメンなんじゃないのかなあと推察できるようになるのです。

 二次元のBLキャラにはまる秋ちゃんはリアルな男性を恋愛対象として見ないように、無意識のうちに自分の感覚を歪めてるんじゃないのかなあ、と。


 だからこそ、辰巳先生にご飯に誘われても、いつの間にか「秋」と下の名前で呼び捨てにされても、彼が秋ちゃんに熱っぽい眼差しを向けても彼女はそこに潜む彼の感情に気づかなかったんだと思います。

 いや、もしかしたらそれに気づかないよう、「男性BL作家=ゲイ」という思い込みの枠に彼の言動をはめ込んでいたのかも!?


 そんな秋ちゃんを辰巳先生はグイグイと押していき、自宅に連れ込むことに成功します。

 個人的には秋ちゃんが辰巳先生に少しのトキメキすら覚えないまま流されていくのが途中から心配になってしまいました(^_^;

 これ、下手したら犯罪なんじゃないのかなあと。

 秋ちゃんの無防備さに漬け込んでいく辰巳先生が、まるで童話に出てくるオオカミのようにするすると彼女の隙に入り込んでくるシーンにはハラハラしてしまいました。

 これで少しでも秋ちゃんの方に彼へのトキメキが見られればこのハラハラがドキドキに変わっていたんだろうけどなあ(苦笑)


 秋ちゃんが自身の身に迫る危険にどう対処するのかは、ぜひ本編を読んでご確認ください!

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